中国の海南省(海南島)の海口にあるMission Hills Haikou / ミッションヒルズ海口
全10コースあるなかでThe Vintage Course / ヴィンテージコースをラウンドしてきた。
ミッションヒルズ海口や、その他のコースの紹介はこちらの記事をご覧ください。
ヴィンテージと名付けられたこのコースをプレーする前に、ミッションヒルズのホームページのコース紹介を読んで、ちょっとワクワクした。
そこには、こう書かれていた。
The Vintage is patterned after the classic courses built at the turn of the century… National Golf Links, Fishers Island, Maidstone, Chicago Golf Club, and Garden City served as inspiration…
つまり、C.B.マクドナルドやセス・レイナーが築いた「ゴルフコース黄金時代のクラシックテンプレート」を再現したコースらしい。
そうなら、レダン、パンチボウル、ケープ、ショートといったお馴染みのテンプレートホールが並ぶ、あの「わかりやすい」クラシック様式を楽しむことができる。そう思って期待していた。
ところが実際にプレーしてみると、印象は少し違った。
たしかに幾何学的なバンカー、高低差のあるマウンドなど、クラシカルな演出は随所にあったが、マクドナルドやレイナー的な「テンプレートの再現」と呼ぶには、やや曖昧な印象だった。
唯一、2番ホールのグリーンはビアリッツ風の凹型で、「あ、これか」と思わせてくれたが、それ以外はどれが何のオマージュなのか、すぐにはピンとこなかった。
雰囲気はたしかに“クラシック”で、それはそれで楽しいのだけれど、「あの名ホールの再現!」という明確さはない。
設計者のブライアン・カーリーなりにクラシック様式を咀嚼して、“なんとなくそれっぽく”仕立てた印象。もしかすると、何度もプレーすれば、気づかなかったディテールが見えてくるのかもしれないし、私がまだ勉強不足なのかもしれない。
明らかに言えることは、マクドナルドやレイナーが造ったコースで感じれたテンプレートホールの楽しさは感じることができなかった。
ティーはブルーティーからティーオフ。
1番ホール 337ヤード パー4
距離の短いやや右ドッグレッグのパー4



2番ホール 410ヤード パー4
距離のある右ドッグレッグのパー4


グリーン手前に来て、ビアリッツ風のグリーンなのが分かった。ビアリッツグリーンとは中央に深い窪みがある縦長のグリーンで両サイドにバンカーが設置されている。


クラシックテンプレートでは、パー4ではなく距離のあるパー3で。曲がるとバンカー、まっすぐ打てても距離感が重要でピンを刺しているグリーン面に乗らないと3パット確実のシチュエーションになるという面白さがあるテンプレートホールなのでパー4でビアリッツグリーンはピンとこなかった。

3番ホール 523ヤード パー5
左ドッグレッグのパー5



グリーンは縦に長いグリーンだった。


4番ホール 487ヤード パー5
距離の短いパー5。グリーンが最後に右にドッグレッグしている。


グリーン手前で右にドッグレッグしている。




5番ホール 374ヤード パー4
左ドッグレッグのパー4


グリーン右サイドには複数のバンカーが配置されていた。

6番ホール 415ヤード パー4
フルバック(ブラック)からはブッシュ越えの右ドッグレッグのパー4。フェアウェイ右サイドにはバンカーが。




7番ホール 368ヤード パー4
谷越えのパー4。ティーショットが左に行くとセカンドが難しく、右を狙うとダイアゴナルにフェアウェイが伸びていて手前のバンカーに捕まりやすく、このホールは良いホールだと思った。


グリーン左サイドは溶岩とバンカーでガードされている。

8番ホール 163ヤード パー3
バンカーの中にヘビのようにうねったグラスアイランドが印象的なパー3。グリーンは斜め右奥に伸びていてグリーンの形だけはレダン風だが、レダンの場合、グリーンに沿って手前にバンカーがあるのが一般的。このホールはグリーンの形だけ斜めだった。

9番ホール 526ヤード パー5
アウトコースで3ホールめのパー5。
その分、パー3は1ホールなのでアウトはパー38で、インはパー5が1ホールでパー3が3ホールあり、パー34でトータルがパー72になっていた。


このホールは写真ではわかりにくいが幾何学的なバンカーが数多く設置されていた。マクドナルドやレイナーが設計したコースは10コースほどラウンドしてきているが、ここまで誇張されているコースはまだラウンドしたことない。もしかしたら私がラウンドしてきていない彼らが設計したコースにこのような特徴があるホールがあるのかもしれない。


グリーンの中にバンカーが設置されていた。リビエラカントリーにもあるので、それがモデルかもしれない。


10番ホール 157ヤード パー3
溶岩越えでグリーンが横長のパー3

グリーンを斜め奥に伸ばして奥に向かって傾斜させればレダンになるけど、普通の横長のグリーンだった。

11番ホール 358ヤード パー4
ストレートなパー4で最初は左サイドからコース中央までバンカーが配置されていて。セカンドショットはグリーン右手前にバンカーが配置されているホール。7番ホールと同じく、このホールも気に入った。


グリーン右手前だけでなく左サイドにも細いバンカーがグリーンをガードしているのでセカンドショットが緊張感あるショットが楽しめる。

12番ホール 500ヤード パー5
最初は右に、次に左にS字にドッグレッグしているインコース唯一のパー5。




グリーンは横長で右手前にバンカー群が。



13番ホール 124ヤード パー3
距離の短い縦長のパー3。ショートテンプレートの派生形かもしれないがもっとわかりやすくバンカーを囲うほうがわかりやすい。

14番ホール 374ヤード パー4
右ドッグレッグのパー4。
右のドッグレッグしているエリアにバンカー群があり、グリーンは縦長で左右のバンカーでガードされていてケープホールっぽい気がした。


左サイドは丘になっていて手前のバンカーと一緒にグリーンをガードしていて、このホールも気に入った。

15番ホール 386ヤード パー4
右ドッグレッグのパー4




16番ホール 349ヤード パー4
距離の短い左ドッグレッグのパー4



17番ホール 166ヤード パー3
溶岩越えのパー3

18番ホール 375ヤード パー4
溶岩越えのストレートなパー4。ティーショットが左に行くとセカンドショットが溶岩越え。右に行くと丘越えになる。


グリーン左手前は溶岩でガードされていた。


ヴィンテージと名づけられたこのコースは、クラシック黄金時代のテンプレートをそのまま再現したというよりは、当時の雰囲気や要素を現代風にアレンジした印象だった。
マクドナルドやレイナーのオマージュコースを期待していたので、少し肩透かしを食らったが、幾何学的な造形や挑戦的なバンカー配置には設計者の遊び心が感じられ、クラシックの香りをまとった「なんとなくそれっぽい世界観」を楽しむ、そんなコースだった。
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