第二話「奄美群島フェリーと原付バイク縦断ゴルフ旅」

私はゴルフ旅が好きで今まで世界中を旅してきた。その中でも島ゴルフが好きであちこちの離島に行ったが、この2年間はコロナ禍でなかなか旅に出ることが難しくなったので大好きな沖縄に移住をして沖縄での島ゴルフを楽しんでいた。

そして移住したらしたいことがあった。

それは沖縄からフェリーで奄美群島を縦断するゴルフ旅に出ることだった。

昨年の9月末に緊急事態宣言が全国同時に解除されたのでそのタイミングに旅に出ることにした。

今回の旅はフェリーで那覇港を出発して与論島、沖永良部島、徳之島、奄美大島、喜界島と移動してそれぞれの島にあるショートコースをラウンドする。奄美大島には奄美CCというパー72のコースがあるが、以前ラウンドしたことがあるので今回はショートコースのみに焦点を当てて旅をすることにした。

島と島の間の移動はフェリーで移動。奄美大島と喜界島間だけフェリーの乗り継ぎ時間の関係上、飛行機での移動にした。島内での移動は那覇で原付バイクをレンタルして島の風を感じながら移動することにした。

私は離島ゴルフを楽しむときにはスーパースティックと呼ばれる1970年代に発売された1本で17通りのロフトになるゴルフクラブで楽しんでいるので原付バイクで問題なく移動できるのである。

与論島へ

那覇港を出発して4時間50分で与論港に到着。与論島では1泊の予定。与論島ではゴルフの前に行っておきたい場所があった。それは百合ヶ浜という大金久海岸の沖合に春から夏にかけて大潮の干潮時だけに姿を現す真っ白な砂浜。ちょうどこの日がその大潮の日だったのでぜひ見ておきたいので原付バイクを飛ばして見に行ってみた。今年は砂浜が顔を出すことはないコンディションだと聞いたが、それでも美しかった。

そして、いよいよゴルフだ。事前にゴルフコースの事をヨロン島観光協会に電話して確認すると以前は観光客もゴルフ出来たが現在は縮小されて一般には公開されていないということだったので、場所を探してとにかく行ってみることにした。島の南にあるハキビナ海岸の東側に向かうと狭い敷地に交差するようにレイアウトされた9ホールのパー3コースがあった。

かつてはヨロンシーサイドゴルフ場というコースだったが現在はNABINBUパークというコース名に。海外の僻地のゴルフコースに行くとよく見られるオネスティボックスと呼ばれる料金箱が設置されていたのでノートに名前を記入して1000円札を箱に入れてラウンド開始。

誰もいないコースを独り占めしながら、のんびりとゴルフを楽しめた。

ラウンドを終えるころに島のゴルファーの方がアプローチの練習に来られていたので少しお話をさせていただいた。昔は今の面積の3倍ぐらいの広さで9ホールあり、2番ホールは海越えのホールもあったらしい。与論島では、島の炊き込みご飯の「みしじまい」を是非食べることをお勧めする。島のスーパー「オーシャンマーケット」で購入できる。

沖永良部島へ

沖永良部島には島の東側に高千穂カントリークラブ(霧島市にある高千穂カントリー倶楽部とは別)と西側に沖永良部ゴルフクラブの2つのコースがある。まずは島に上陸して高千穂CCをラウンド。18ホール・パー57で、給水塔の上から打ち下ろす7番パー4が面白く、遠くには海が見えて爽快なホールだった。

そして10番パー3はスコットランドのロイヤルトルーンで有名なポステージスタンプのような小さなグリーンでこれも楽しめた。

沖永良部には二泊して初日は和泊の町に宿泊。居酒屋「海幸」で食べた「もずくのかき揚げ」は絶品だったし、「エスポワール」というバーも離島にこんな素敵なバーがあるのか?と感動した。

翌日は西に移動して沖永良部GCに。ドライビングレンジの用地をそのままコースにした数万辻コースと車で数分移動して山の中に作った平田山コースの18ホールあるショートコースだった。ハーフをラウンド後、ゴルフ場のフロントの方と常連のゴルファーさんがテラス席でお茶をされていたので少し話をさせていただいた。その後、そのゴルファーさんがもう1つのコースまで道案内してくれて、ラウンドすることができた。こちらのコースはホール間のインターバルがジャングルの中を歩くような感じで冒険しているような感覚になり楽しめた。

そして二泊目は知名町に宿泊。漁師が経営する海邦丸でいただいた「伊勢海老の味噌汁」の活〆の伊勢海老の火入れは完璧でプリプリしていて絶品だった。

大将に旅の話をしているとゴルフに詳しい店主がやっているお店を教えてもらい、二軒目はそちらに。沖永良部の2コースをラウンドしたと話をすると「実は沖永良部にはもう1つコースがあるんですよ」という情報が!

明日のフェリーの出発まで時間があるので探してみることにした。

沖永良部島の隠されたコース

昨夜、教えていただいた昇竜洞の近くをバイクで走りながら探し出すと確かにゴルフコースがあった。見つけただけで心が躍る。バードヒルという看板が立てかけられていて一緒にオネスティボックスが。

9ホールのショートコースだが手作りのコースで広々としていて気持ちの良いコースで沖永良部島の3コースの中で一番気に入った。

徳之島へ

3つ目の島の徳之島に夕方に上陸。徳之島でのゴルフは明日以降で初日は情報収集。「A House」というバーで今回の旅の話をマスターにしていると息子さんがゴルフ部だったようで、いろいろと徳之島のゴルフの事情を教えていただいた。徳之島にはかつて大原カントリークラブ、サンガーデンゴルフ、天城ゴルフクラブ、一本松ゴルフセンターと4つのコースがあったのだが、このうち天城と一本松は閉鎖されてしまい、今は大原CCとサンガーデンが名前を変えて兼久ゴルフコースとどちらも9ホールのショートコースが2コース営業しているのだとか。そんな話をしていると常連さんが来店し、ゴルフ話。

私が「沖永良部島には島民しか知らないポストにお金を入れてゴルフするコースがあったんです」と話すと常連さんが「徳之島にも木之香という場所にあったはずです」とまたまた嬉しい情報が。徳之島は二泊する予定なので、最終日にゆっくりとその場所を調べることにした。

二日目の朝、大原CCと兼久GCをラウンド。大原CCはこの旅で一番コースが広くのびのびとゴルフができた。

ゴルフを終えて、島の西側の天城町の食堂でランチを食べているときに隣のテーブルの島民の方の会話から明日のフェリーの欠航が決まったという情報が耳に入った。この情報を知らずにいたら、そのままこの日は観光を続けていて明日の朝にフェリーの欠航を知り、この後の旅程が大幅に狂うところだったのでラッキーだった。急ぎで夕方のフェリーを確保して一日早く奄美大島に移動することにした。

徳之島の隠されたコース

奄美大島に移動する前にどうしても昨夜、聞いた徳之島の秘密のゴルフ場を探してラウンドしたいので残りの時間で探してみることにした。兼久CCをラウンドした時にゴルフ場の方に聞いてみると確かにあるようだ。そしてゴルフ場までの道を教えてもらい、苦労したが何とか発見。沖永良部島のコースの時もそうだったが、見つけたときの感動は癖になる。考古学者が遺跡を発見した時の気持ちはこんな感じなのだろうなと思ったりもした。

そこには「西部ゴルフ」という看板とこちらにもオネスティボックスが。

フェリーまでの時間がないので急いでプレー。コース内に案内がないのでルーティングを想像しながらラウンド。おそらく2番ホールだと思うが写真のパー3は素晴らしいホールだった。

奄美大島へ

フェリーの欠航を回避するために一日早く奄美大島に到着。奄美大島は私の祖母が生まれた地で、今回で三度目の訪問になる。18ホール・パー72の奄美CC以外に龍郷ゴルフクラブと古仁屋ゴルフ場のショートコースがある。かつては名瀬と大和村にもショートコースがあったようだが現在は閉鎖されている。今回は龍郷と古仁屋のショートコースをラウンドする予定。夕食は奄美の郷土料理がいただける「かずみ」でボリュームある料理を堪能しながら喜界島に行く話をすると「喜界島の山羊は浜辺に生えている長命草を食べているので臭みがなく美味しいので食べてくるように」と教えていただいた。

翌日は奄美大島の南側の町の古仁屋にある古仁屋ゴルフ場をラウンドしてきた。山の山頂に造られたコースで1番ホールから見える山並みが気持ち良いホールだった。

喜界島へ

飛行機で喜界島へ移動してすぐにゴルフ。喜界ガーデンゴルフという9ホールのショートコースが空港と海の間の土地にあった。今回の旅で一番メンテナンスのよいコースで気持ちよくラウンドできた。

そして楽しみにしていた喜界島の山羊である。皮付きの刺身も全く臭みがなく美味しかったが一番インパクトがあったのは喜界島独自の食べ物の山羊カラジュウリ(山羊の内臓を血で炒めたもの)だった。絶対に臭いはず。。どうだろう。と思いながら食べたらこれまた美味。ほんのりと山羊の風味がしたが、黒糖焼酎がすすむ一品だった。

再び奄美大島へ

喜界島で一泊して飛行機で奄美大島に戻ってきた。旅の最後のラウンドは龍郷ゴルフクラブ。奄美大島酒造が経営している。龍郷湾の海沿いに造られていて1番ホールの海越えのパー4と7番ホールの右サイドが海のパー4が記憶に残るホールだった。

全てのゴルフの予定を終えて、旅の締めくくりは私が大好きな黒糖焼酎「龍宮」を製造している「富田酒造場」の富田さんとの久しぶりの再会。富田さんの手料理と秘蔵の黒糖焼酎をご馳走になり、朝の3時まで楽しい宴は続いた。

那覇港行きのフェリーは一日一便で出港時間は朝の5時50分。心地よい日差しで目を覚ますと朝の8時で延泊が決定したのも楽しい旅の思い出だ。

旅を振り返ると、与論島、沖永良部島、徳之島、喜界島、奄美大島と原付バイクで走り、その島の風を感じ、島ごとに違う自然の美しさも楽しむことができ、なにより島の人々との交流から今まで島外に知られていなかったゴルフ場を知ることができたのが一番興奮した。

今までゴルフ旅を150回ほどしてきていて世界TOP100 コースも数多くラウンドしてきたが、今回、ラウンドしたコースはどのコースもショートコースで世界TOP100とは対極にあるコースばかり。

しかし、一番記憶に残る最高の旅になった。

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