ゴルフをしていない人でも知っているゴルフの祭典「マスターズ」
ジョージア州のオーガスタナショナルゴルフクラブで開催される。
トーナメント開催の1週間を最高の状態にメンテナンスされたコースをTVで見て、いつかマスターズを観戦したい、願わくば、いつかラウンドしたいなとゴルファーなら誰しも思う憧れのコースである。
その2013年のマスターズの観戦チケットをありがたいことにいただくことができた。
PGAの試合は過去にオアフ島のワイアラエCCで開催されるソニーオープンの観戦に行ったことはあるし、日本のJGTOやJLPGAも数試合は観戦したことがあり、生の緊張感・臨場感は素晴らしいというのは理解しているが、テレビだと、トーナメント全体を把握して首位争いを楽しむことができるので、私はゴルフのトーナメントは会場ではなくテレビで観る派なのである。
そんなこともあり、マスターズも試合はテレビで観戦して練習日にオーガスタナショナルに行くことにした。
何より、試合日には禁止されているカメラの持ち込みが練習日は認められていて、自由に写真撮影が可能なので、私の世界中のゴルフコースの写真コレクションの中にオーガスタナショナルの写真を加えることができるというのが一番の理由だった。
そして、せっかくの渡米なのでマスターズ観戦の前後は、アメリカ南部を移動していろんなゴルフコースをラウンドすることにした。
最初に簡単に旅程をまとめておく。
シカゴ経由で南部のアトランタ入りして、ここからはレンタカーで移動。
マスターズ観戦の前にジョージア州でザ・GC・オブ・ジョージア、セントマルロCC、ベアーズベスト・アトランタをラウンド。
そしてマスターズを観戦して、その日にフロリダ州に移動して翌日にTPCソーグラス・スタジアムコースをラウンド。
そこから東海岸を北上して、再びジョージア州に戻り、シーアイランド・シーサイドコースをラウンド。
更に東海岸を北上して、サウスカロライナ州のキアワアイランドに。キアワではオーシャンコース、タートルポイントコースをラウンド。
ここで海岸線とはお別れし、内陸側から北に向かいノースカロライナ州のパインハーストに。No.2とNo.6を2ラウンド。
そしてノースカロライナ州からジョージア州のアトランタまで戻り、レンタカーを返却してアメリカ南部のゴルフは終了。
アトランタの市内の移動も含めるとアメリカ南部を約1600マイル(2500キロ)の大移動だった。
ここから飛行機でシカゴに移動して、もう少しだけ旅が続き、アメリカ中西部でもゴルフをしたが、これはまた別の機会で紹介したいと思う。
では、マスターズ観戦とアメリカ南部ゴルフ旅を順に話をしていくことにする。
ジョージア州アトランタでゴルフ
シカゴ経由でジョージア州のアトランタに到着。旅はここから始まった。
初のアメリカ南部ということで色々と南部料理を食べ歩いた。
南部料理
アトランタ最初の夕食はピッティ・パッツ・ポーチというお店に。(コロナ禍のため現在は閉店してしまった)
サラダバーが無料で付いてきたが、南部は味が濃くてスパイシーな味付けが多く、サラダも南部風の味付けだった。
左の皿にはコーンブレッド。南部はトウモロコシがよく取れるのでコーンブレッドが主流だそうだ。
スープはサウスジョージアガンボをいただいた。ガンボは、オクラが入った南部の家庭料理のスープのことで、ややスパイシーで食が進んだ。
そしてメインは、こちらも南部名物料理のディープフライドチキン。
味は濃かったが、お腹いっぱいになるボリュームで大満足なディナーになった。
アトランタ二日目の最初の朝食は朝7時から営業している南部料理のオーケーカフェに。
アメリカ南部といえばペカンナッツ(ピーカンナッツ)が有名なので、ペカンナッツのグリドルケーキ(パンケーキ)をオーダーしたのだが、発音が悪かったのか、ブルーベリーバターミルク・グリドルケーキがサーブされてきた。
取り替えてもらおうかとも思ったが、この後の予定が詰まっているのでこのままいただくことに。
南部のパンケーキはホーケーキとも呼ばれてコーンミールが使われている。
チェダーチーズグリッツも一緒にいただいた。グリッツは南部のソウルフードで乾燥させたトウモロコシを荒く挽いたコーングリッツ(コーンミールより荒い)をお粥状に煮たもの。
そのままプレーンで食べたり、今回のようにチェダーチーズと一緒に煮たり、砂糖を入れたりして南部では朝昼晩問わず、よく食べられているようだ。
アトランタ三日目の朝食はフライングビスケットというお店にビスケットを食べに行くことにした。
南部料理でコーンブレッドと同じぐらい有名なビスケットは薄いビスケットではなく、ケンタッキーフライドチキンのサイドオーダーにもある、あの厚みのあるビスケットの事をいう。
オーダーしたのはフライングハイというメニュー。
ビスケット以外に、ジョージア州特産の桃を使った温かいコンポートをトッピングしたオーガニックオートミールパンケーキもセットで付いてきた。朝から満腹になる量だ。
ビスケットはしっとりフワフワで美味しかった。
全米アマと全英アマのチャンピオンが戦うコース
今回の旅の最初のラウンドは、ジョージア州のアトランタから少し北のアルファレッタにあるプライベートコースのザ・ゴルフクラブ・オブ・ジョージア。
コース内の桜の木は満開になっていた。
設計はアーサー・ヒルズ。
ヒルズはミシガン大学で景観設計の学科で学び、世界中で180コース以上を設計しているアメリカのゴルフコースデザイナーで有名なコースではカリフォルニア州のハーフムーンベイゴルフリンクス・オーシャンコースの設計担当している。
コースはレイクサイドコース(1991年開場)・クリークサイドコース(1993年開場)の2コースあり、今回はウインドワード湖沿いにあるレイクサイドコースをラウンド。
1998年からマスターズの開催前に全米アマチャンピオンと全英アマチャンピオンのマッチプレイ(ジョージアカップ)が開催されているコースでもある。
そしてレイクサイドコースの11番ホールは、「The 500 World’s Greatest Golf Holes」のThe Five Hundredに選出されている。
17番打ち下ろしで左に池があるパー3で同伴者がホールインワンを達成した。
同伴者の「あっ!」と叫んだティーショットはミスショットで右方向に飛び出した。
コース右側は受けていて左傾斜になっているのでボールはグリーン上に、グリーンも左に傾斜しているので、あれよあれよとカップ方向に転がってホールインワン。
ゴルフに芸術点はない。結果が全てである。こんなホールインワンでもいいのでいつか達成したい。
コースはバック9の11番から14番までの湖の使い方が適度にプレッシャーがあり、景観もよく楽しめた。
米国ゴルフコース設計家協会会長が設計したコース
今回の旅の第二ラウンドは、セントマルロカントリークラブ(St. Marlo Country Club)をラウンド。
昨日、ラウンドしたゴルフクラブオブジョージアのすぐ近くのダルースの高級住宅街の中に造られたセミプライベートコース。
昨日のコースに続き、桜が満開でとても綺麗だった。開場は1995年開場。
設計はデニス・グリフィス。
デニス・グリフィスはアイオワ州立大学でランドスケープを学んだあと、1970年からコース設計の仕事を始め、最初はゲーリー・プレーヤーの元で働き、その後、独立し、アトランタを拠点にアメリカ・イギリス・スコットランド・スペイン・南アフリカ・フィリピン・日本・タイでゴルフコースを設計して、アメリカゴルフコース設計家協会の会長にもなった人物。
日本ではレーサムゴルフ&スパリゾート、紫雲ゴルフ倶楽部・飯豊コース、柏崎黒姫カントリー倶楽部などを設計した。
コースは適度にアップダウンがあり、ウォーターハザードを巧みに配置していてラウンドしていて楽しいコースだった。
球聖のお墓参りから帝王のベスト18ホールへ
4泊5日のアトランタ滞在の4日目は昼からゴルフなので午前中は時間がたっぷりとあった。
旅でゴルフと同じぐらい重要なのがその土地での食事。あの店もこの店も食べ歩きたいので旅の時は1日5食食べることもある。
明日の朝は早朝にオーガスタに向けて出発するため、アトランタで朝食を食べることができるのは今日が最後なので2軒ハシゴすることにした。
朝食を2軒ハシゴ
一軒目は、アトランタオリンピック開催時に朝食を食べるべきレストランとしてCNNで紹介された1956年創業のシルバースキレットへ。
オーダーしたのは、スキレットカントリーハム。
二個の卵料理に自家製のカントリーハムにグレイビー(もしくはグリッツ)にビスケット(もしくはトースト)にレッドアイグレイビーが付いてくる。卵料理はポーチドエッグでオーダー。
まずグレイビーはプレートのセンター上に配置されている白いシチューのようなものでソーセージの細切れが入っていて肉汁シチューみたいな感じでビスケットにつけて食べるようだ。
そしてレッドアイグレイビーとはプレートの左に配置されているソースのようなもの。
ハムを炒めた残りのエキスでコーヒー煮詰めたソースでカントリーハムとセットで南部では出てくる。
そしてこの自家製の塩気の利いたハムにポーチドエッグに絡めて食べると最高だった。
二軒目は、ニューヨークタイムズ紙が世界一美味しいパンケーキが食べることができるお店ということで紹介したこちらリアズ・ブルーバード。
これが世界一美味しいバターミルクパンケーキ。
二軒目なのでショートスタックで。この店のショートスタックは2枚。(ファットスタックは3枚)
ジョージア州のペカンナッツをトッピングしてもらった。
これにバターをのせてメイプルシロップをかけていただいた。
世界一は言い過ぎだが、フワフワでしっとりと焼けていてとても美味しくいただくことができた。
そしてコーヒーを飲みながら、このお店の窓から外を見ていると道路の向こうが墓地であることに気づいた。
今回のアトランタ滞在で訪問できたら、よいなと思っていた場所があった。
それは球聖ボビー・ジョーンズのお墓。
アトランタ市内のオークランド墓地に埋葬されているところまでは調べていたが、詳しい場所までは調べておらず、今回の滞在期間中に訪れることができる距離の場所にあるなら訪れておきたいし、ダメでもいつか行ってみたいと思っていた場所。
そして、iPhoneを立ち上げてグーグルマップで調べるとまさに目の前の墓地がオークランド墓地だったという偶然。
コーヒーも飲み終えたので、これからボビー・ジョーンズのお墓を墓参しに行くことにする。
球聖ボビージョーンズのお墓
車のトランクの中にあるキャディバックからゴルフボールを1球取り出して墓地に向かった。
リアズ・ブルーバードから道路を渡って、右に見える入り口から墓地に入った。(写真左)
墓地はかなり広いので探すのに苦労するかなと思っていたら、入り口からまっすぐ進むとすぐに「Bobby Jones」と書かれた道標があり、すぐに見つけることができた。(写真中)
目の前にはあの球聖ボビー・ジョーンズのお墓があることに感動。
朝8時半ということもあり、誰もいない。
ボビー・ジョーンズ、本名ロバート・タイアー・ジョーンズ・ジュニア。
1902年3月17日にジョージア州アトランタに生まれ、1930年28歳の時に全米アマ、全英アマ、全米オープン、全英オープンに優勝して年間グランドスラムを達成して競技生活から引退。
その後、1934年にオーガスタ・ナショナルゴルフクラブをアリスター・マッケンジーに設計を依頼し造り、マスターズ・トーナメントを開催した人物。
私も献花ならぬ、献球をした。
偶然、マスターズ観戦の前日に訪れることができたので、感慨もひとしおだった。
世界中のコカ・コーラ社の清涼飲料水が飲み放題
昼からのゴルフまでまだ時間があるのでもう一か所立ち寄ることにした。
目的地はワールドオブコカコーラ。
コカコーラの博物館で建物の前にはコカコーラの発明者のジョン・ペンバードンの銅像が立っていた。
ちなみに、ボビー・ジョーンズはコカ・コーラ社の顧問弁護士をしていたこともあり、コカ・コーラ社は長年、マスターズのスポンサーをしていたことでも有名だ。
シアターで数分の映像を見た後は自由行動で工場を見学したり、コカ・コーラにまつわる展示物など見ることができた。
私が一番、楽しみにしていたのは、世界中のコカコーラのボトラーズが販売しているオリジナルの清涼飲料水を試飲できるコーナー。
いろいろと飲んだが、一番、面白かったのがアフリカ大陸セクションだった。
スパイシーな清涼飲料水もあり、日本人の味覚からしたら正直言うと美味しくないフレーバーのドリンクが多く、貴重な経験ができた。
館内から出る前に、瓶詰されたばかりのコカコーラを1本お土産にいただけたので、冷えてるうちに一気飲み。
帝王ジャック・二クラス設計のベスト18ホール
今回の旅の第三ラウンドはベアーズ・ベスト・アトランタ。
ベアーズのベアーはゴールデンベアことジャック・ニクラス。
ニクラスが世界中で設計した300コース以上の中からベストの18ホールを選んで再現したコースである。開場は2002年。
同じコンセプトでラスベガスにも、ベアーズ・ベスト・ラスベガス(2001年開場)というコースがあるのでその第二弾のコース。2013年には韓国にも第三弾のベアーズ・ベスト・チョンナが造られた。
写真の6番、13番ホールは世界TOP100コースにランクインしているオハイオ州のミュアフィールドビレッジゴルフクラブのそれぞれ12番と3番ホールを再現。
14番ホールはノースカロライナ州のガバナーズ・クラブ・フットヒルズコースの8番ホールを再現。
18番ホールはコロラド州のキャッスルパインズゴルフクラブの18番ホールを再現。
ジャック・ニクラスが造った世界中の傑作ホールをダイジェスト的に楽しめる、いかにもアメリカらしいゴルフコースだった。
アトランタでNo.1のステーキハウス
アトランタ最後の夜の夕食はアトランタで一番のステーキハウスと言われているボーンズに。
ザガットサーベイでは2012年に全米でフードとサービスで一番高い点数を出したステーキハウスらしい。
スープはボーンズ・ロブスター・ビスクをいただいた。スパイシーでかつ濃厚なビスクだった。
メインのステーキはドライエイジド・ボーン・イン・リブアイ。
ドライエイジの凝縮された肉のうまみをたっぷりと楽しむことができた。
そして、デザートはアメリカ南部の家庭でも良く作られているペカンパイ。
かなり甘かったが、こちらも素晴らしい出来。これぞアメリカというディナーで大満足だった。
いよいよ明日はマスターズの練習日の観戦だ。
マスターズを観戦
早朝にアトランタを出発して東に2時間半の移動。夢のオーガスタナショナルゴルフクラブに到着した。
飛行機に乗るときのような金属探知機のセキュリティチェックを通過してコースに入場。
まずこれだけで別世界に入った気分になれる。
子どもの頃に遊園地のゲートを通過した時の気分を久しぶりに思い出した。
球聖ボビー・ジョーンズがカリフォルニア州のサイプレスポイントをラウンドして、その素晴らしいコースに感動し、サイプレスポイントを設計したアリスター・マッケンジーに理想のインランドコースを造ることを依頼して共同で設計し、1933年に開場したコース。
会場に入って感じたことは、パトロン全員の静かなる高揚感。今週これから行われる戦いにワクワクしている感じが伝わってきた。
次にコースの美しさ。この週のためにパーフェクトに整えられているコースは本当に素晴らしかった。
あのテレビでよく見ていたコースが目の前に広がっているのだ。時間を忘れるぐらい夢中になりコースの写真を撮り続けた。
一番印象に残っていることは、オーガスタナショナルはテレビで見る以上にアップダウンがあるとよく言われているが、その情報を知った上でも、アップダウンのすごさに驚いたことだった。
練習日ということもあり、選手たちも笑顔を見せながら練習ラウンドしていて、見ている私も微笑んでしまうようなシーンの連続だったのも、印象的だった。
そして、グラブハウス前のテーブルではアーノルド・パーマーが談笑しているのも見れて世界中のゴルファーの特別な週であることが実感できた。
18ホールを歩きながらコースの起伏を感じ、選手たちの本番では見ることができない表情も楽しめて、普段感じることのできない多幸感に包まれたまま、オーガスタナショナルを後にした。
そして私はこの後、南下してフロリダ州のTPCソーグラスへ、そこから海沿いに北上してサウスカロライナ州のキアワアイランドなど世界TOP100にランクインしているコースのラウンドを楽しむ旅に出た。
フロリダ州のTPCソーグラスへ
オーガスタナショナルGCでマスターズの練習日の観戦を終えて、フロリダのジャクソンビルに移動。
オーガスタを14時半に出発し、ひたすらハイウェイを南下して450㎞のドライブ。
ジャクソンビルのホテルに到着したのは19時を過ぎていた。
ホテル内のメインダイニングで夕食を食べた後、長距離移動もあり、泥のように眠った。
ピート・ダイ名物のアイランドグリーン
フロリダ州のザ・プレイヤーズ・スタジアムコース・アット・TPCソーグラス
通称、TPCソーグラス・スタジアムコースと呼ばれているこのコースはピート・ダイ設計で1982年に開場。第五のメジャーと呼ばれているザ・プレイヤーズ選手権が行われるコースである。
米国ゴルフマガジン社の2013年の世界ゴルフ100選の58位に選出されている。
ピート・ダイ設計のコースは今までいくつかラウンドしてきていて、厳しいコースレイアウトは覚悟していたが、ほぼ全ホールにウォーターハザードや巨大なバンカーが絡んできて覚悟していた以上に難しいコースだった。
17番ホールのアイランドグリーンは、ピート・ダイの代名詞的なホールとして有名で、妻のアリスのアイデアから造られたホールと言われている。「The 500 World’s Greatest Golf Holes」のThe Eighteenに選出されている。
年間、何万球というボールが池に吸い込まれているはずである。私も、しっかりと2球、池に献上してきた。
ピート・ダイに打ちのめされたラウンドを終えてランチをソーグラスのクラブハウス内のレストランで食べることにした。
テラス席からは18番ホールを眺めながらランチができる。ザ・バーガーというハンバーガーをいただいたが、今までゴルフ場で食べたハンバーガーの中でもトップクラスの美味さだった。
ランチの後は、少し南下して世界ゴルフ殿堂の見学に行くことにした。
世界ゴルフ殿堂を見学
TPCソーグラスから南に約30分でセントオーガスティンの世界ゴルフ殿堂に到着。
殿堂入りしているのはプロゴルファーだけでなく、アマチュアゴルファー、ゴルフコース設計家、ゴルフジャーナリスト、ゴルフを愛して大会を主催した著名人などが殿堂入りしていたのが印象的だった。
世界ゴルフ殿堂の目の前の池には、アイランドグリーンがあり、ワンオンチャレンジができる。
先ほどTPCソーグラスでは失敗してボールを池に献上していたので、ここでリベンジすることにした。
ここではナイスショットでナイスオン。しかもベタピンで観衆から拍手喝采。
ダッファーの私には、やはり人工マットが必要なようだ。。。
次の目的地のシーアイランドに向けて出発。
ジョージア州のリゾート地、シーアイランドへ
フロリダ州を後にして海岸線を再び北上してジョージア州に。
シーアイランドというリゾート地にやってきた。
シーアイランドにはThe CloisterとThe Lodgeの二つの宿泊施設があり、The Lodgeのほうが少しお安いのでThe Lodgeのほうに宿泊。それでも一泊500ドルぐらいした。
何の予備知識もないままチェックインして、ずっと私に一人担当者がつくのでなんだろうと思ってたらバトラー付きのリゾートだった。
少し休憩してからロッジ内のダイニングのOakRoomで夕食を、メインはトリプルテール(マツダイ)のグリルをいただいた。肉厚で食べごたえがあり、美味しかった。
朝食はシーアイランドのルームサービス
シーアイランドのロッジに宿泊して翌日の朝食はルームサービスで取ることにした。
部屋からコースを見ながら、エッグベネディクトに南部風にグリッツをいただいた。のんびりとした最高の朝食が取れた。
コルトとアリソンの面影残るシーサイドコース
ジョージア州のセントシモンズアイランドにある高級リゾートのシーアイランド。
シーアイランドにはシーサイドコース、プランテーションコース、リトリートコースの3コースあり、その中で今回はシーサイドコースをラウンドした。
シーサイドコースは1929年にハリー・コルトとチャールズ・ヒュー・アリソンが合作で造った9ホールの旧シーサイドコースと1960年にジョー・リーが造った9ホールの旧マーシュサイドコースを1999年にトム・ファジオが改造して18ホール化したコースで、全米のリゾートコースのランキングで上位に入っているコースでもある。
アリソンのコースは廣野、川奈で経験していたが、コルトが設計に関わっているコースをラウンドするのは初めてだった。
そしてシーサイドコースの名物はこのウィッカー・バスケットである。
2013年全米オープンの会場のメリオンゴルフクラブでも使用されていてコースのシンボルにもなっていて、日本では兵庫県の吉川インターゴルフ倶楽部 MECHAでも見ることができる。
ウィッカーバスケットは「ピンフラッグ」の語源にもなっていて、昔、イギリスのリンクスでは風が強いために旗ではなくて籠を棒の先につけてカップの位置をわかるようにしていて、この形が髪留めのピンに似てるからピンフラッグと呼ばれるようになったのだ。
フロント9の旧マーシュサイドコースは大規模な改造が行われたが、バック9のコルト・アリソンが設計した旧シーサイドコースは彼ら二人の設計を尊重した改造にとどめたようである。
そういうこともあり、1920年代にイギリス人の二人が設計したコースを大事にするという考えがウィッカーバスケットに表れているのだと思う。
湿地帯に造られたコースなのでフラットだが湿地帯に囲まれて方向性重視のレイアウトでほどよい緊張感でラウンドできる素敵なリゾートコースだった。
なにより時間の流れがとてもゆっくりと流れていたので緊張感と心地よさのバランスが最高だった。
さらに海沿いを北上して次の目的地、キアワアイランドに。
サウスカロライナ州のリゾート地、キアワアイランドへ
シーアイランドでのラウンドを終えて次の目的地のサウスカロライナ州のキアワアイランドに向けて移動。途中、ジョージア州のサバンナという町で夕食を取ることに。
サウスカロライナ州のチャールストンと並ぶ奴隷貿易の拠点になっていた港町だ。
あとで知ったのだがこの町には現存するアメリカ最古のゴルフクラブのサバンナゴルフクラブ(1794年設立)があるらしい。いつか訪れてみたい。
現在は、当時の街並みを保存・再生して観光都市になっていた。
港町サバンナでイタリアン
サバンナで人気のイタリアン、ガリバルディス・カフェで夕食を食べることにした。
フレンチオニオンスープとロブスターパスタをいただいた。
スープはジョージア州のヴィダリアオニオンを使用し、春先のこの時期に取れるヴィダリアオニオンは世界一甘いと言われていて、ビーフベースのスープとの相性が完璧で、パスタは、ロブスターの旨みがパスタに絡んで最高の一品だった。
お腹いっぱいになったのでキアワアイランドに向けて再び北上。
朝食は南部風にチキン&ワッフル
夜遅くのキアワアイランドのヴィラにチェックイン。
翌日の朝食はキアワアイランドのマーケット内にある朝7時~15時まで営業の朝食とランチのお店のサザン・キッチンで。
オーダーしたのはチキン&ワッフル。
クリームバターが添えられていて、バターと一緒にメープルシロップをかけていただく南部では定番の朝食メニュー。ハワイではよく食べたことがあるが、ルーツの南部で食べることができて満足な朝食になった。
湿地帯に造られた全米一の難コース
サウスカロライナ州のキアワアイランドの湿地帯に造られたキアワアイランドゴルフリゾート。
キアワアイランドゴルフリゾートにはオーシャンコース(ピート・ダイ設計)、タートルポイント(ジャック・ニクラス設計)、オスプレイポイント(トム・ファジオ設計)、オークポイント(クライド・ジョンストン設計)、クーガーポイント(ゲーリー・プレーヤー設計)と5つのコースがある。
キアワアイランドの初日はオーシャンコースをラウンドした。
オーシャンコースは1991年開場。開場した年にライダーカップ、そして2012年には全米プロゴルフ選手権が開催されたチャンピオンコース。
オーシャンコースは米国ゴルフマガジン社が発表する2013年の世界ゴルフコース100選の43位にランクインしていて、4番ホールは、The 500 World’s Greatest Golf HolesのThe Five Hundredに選出されている。
フロント9は海岸線から少し内側の湿地帯に、バック9は海岸線に沿ってレイアウトされていた。
スロープレートが155でコースレートが79.7と認定されたこともあり、全米一難しいコースとも呼ばれている。
海岸線沿いの湿地帯に造られたコースはとてもタフで記憶に残るコースになった。
ジャック・ニクラスがキアワに造った初期の作品
キアワアイランドの二日目はタートルポイントゴルフコースをラウンド。
設計はジャック・ニクラス。開場は1981年。
ニクラスが設計したコースの中では初期のコースで、1990年にPGAカップマッチが開催されたこともある。ラウンドを終えたらパインハーストに移動するのでトップスタート。
セカンドショットにウォーターハザードが絡むホールが多く、適度に緊張感のあるゴルフになり、楽しくラウンドできた。
ラウンドを終えて、ノースカロライナ州のパインハーストに向けて出発した。
Newsweekが世界ベストレストラン101選に選んだ店
パインハーストに移動途中に、サウスカロライナ州の最大の港町のチャールストンで昼食をとることにした。
ニューズウィークでWorld’s 101 Best Places to Eatに選ばれたハスクにて南部料理。
料理長のショーン・ブロックは料理界のアカデミー賞と言われているジェームス・ベアード賞を受賞した名シェフで食材はチャールストン近郊から取り寄せてその地元ならではの南部料理を提供している。
まずはクリスピーサザンフライドチキンスキン。鳥皮の唐揚げで、外はサクサク、中の皮はジューシー。ソースはチリソースにルイジアナ州のケーンシロップをブレンドしていた。
そして南部名物のナマズ料理のコーンミール・ダステッド・キャットフィッシュ。
ナマズに塩コショウで味付けしてコンミールの衣をつけてフライにしていて、フライの下には、キャベツとトマトとソーセージをピリ辛に炒めたものが敷かれていた。
ナマズはあっさりしていて塩コショウでも十分に美味しかったが、炒めたキャベツなどと一緒に食べると更に美味しさが増して、最高だった。
お腹も満たされたのでパインハーストを目指して北上を続けた。
ハイウェイ沿いにあるお店で休憩
キアワアイランドからパインハーストに向かう道中で休憩することに。
ちょうど半分ぐらい移動したぐらいだろうか。アボット・ファームというお店を見つけた。
店内にはいろんなジャムやジュースが販売されていて、試飲、試食ができた。
おやつにボイルドピーナッツを購入。ピーナツを茹でて味付けしたもので、南部の名物。
青空の下でピーチソーダを飲んで喉を潤した。パインハーストまであと95マイル。
ノースカロライナ州のゴルフリゾートのパインハーストへ
アメリカ南部ゴルフ旅の最終目的地のノースカロライナ州のパインハーストに到着。
のんびりとした町並み。
パインハーストは8つのコースがあり、最初のコースは1895年に造られて、1970年代には世界のゴルフの首都を目指して、世界ゴルフ殿堂が建てられた。三日前に訪れたフロリダの世界ゴルフ殿堂は元々はパインハーストにあったのだ。
そんな歴史のあるパインハーストでは、No.2コースで来年の2014年に全米オープンを男子と女子、初の同時開催する。明日はそのNo.2コースをラウンドする。
夕食はカロライナホテル内にあるライダーカップラウンジで取ることにした。
メインダイニングはカロライナダイニングルームだが、カジュアルに食事するならこちらのライダーカップラウンジになる。長距離ドライブで疲れていたので気楽に食事ができるこちらにした。
パインハースト・ビーン・スープ。スモークされたハムが入っていた。
メインはシュリンプ&グリッツ。薄味で上品な味付けで美味しかった。
食事を終えてカクテルのカロライナピーチツリーを飲みながらマスターズの三日目のTV放送をのんびり観戦した。
パインハーストに宿泊した翌日。
朝食はカロライナホテル内にあるメインダイニングのカロライナ・ダイニングルームで取った。
朝食はビュッフェ形式で、ソーセージグリッツが美味しかった。
いよいよパインハーストNo.2をラウンドだ。
ドナルド・ロスのマスターピース
ノースカロライナ州のパインハースト・リゾート。
パインハーストにはNo.1~No.8の8つのコースがあり、一番有名なのはドナルド・ロス設計のNo.2。
1907年にコースはオープン。1974年にロバート・トレント・ジョーンズが改造を行ったが、2010年にビル・クーアとベン・クレンショーがドナルド・ロスのオリジナルデザインに復元した。
ドナルド・ロスはスコットランドのドーノッホの街で生まれ、ロイヤルドーノッホでゴルフを覚えた。
そしてセントアンドリュースで、トム・モリスの元で設計を学んだ後、アメリカに移り世界中で413ものコースを設計。
ドナルド・ロスが設計したコースで世界ゴルフコース100選や全米ゴルフコース100選に選ばれているコースは10コースもある。その中でパインハーストNo.2は世界16位でドナルド・ロスの最高傑作と言われている。(2013年時点)
パインハーストNo.2では過去に1931年全米プロゴルフ選手権、1956年ライダーカップ、1999年全米オープン、2005年全米オープンが開催されてきたが、何より今後のゴルフ史に残るであろう大会として2014年に全米オープン、全米女子オープンと2週連続で初開催されることが決まっている。
5番パー4が、「The 500 World’s Greatest Golf Holes」のThe One Hundredに、2番パー4と10番パー5がThe Five Hundredに選出されている。
パインハーストNo.2の特徴はお皿をひっくり返したようなグリーン。王冠のようなグリーンということでクラウネッドグリーンや、亀の甲羅のようなのでタートルバックグリーンとも呼ばれている。
そのため、ボールが止まりにくく、アベレージゴルファーの私にはアプローチが難しいコースだった。
ドナルド・ロス設計のコースは初めて回ったが、この時、感じたのは確かに素晴らしいコースだけど、世界16位という高評価について、この時は理解するにはまだ経験が足りなかった。
他のランクインしているコースは地形がとても素晴らしいがこのコースの地形が特別秀でているわけでもないし、メモラビリティの高いホールがあるわけでもない。
とにかくグリーンを狙うショットが難しく、もう一度チャレンジしたくなる素晴らしいコースだなと感じていた。
この2年後にスコットランドを訪れてドナルド・ロスがゴルフを覚えたロイヤルドーノッホをラウンドし、更にその2年後、ロスがアメリカで設計したいろんなコースをラウンドする旅に出たのだが、そこでようやくロスの素晴らしさが頭の中で整理できた。その話はまた別の機会で語りたいと思う。
パインハーストのメインクラブハウスでランチ
パインハーストNo.2のラウンドを終えてランチはメインクラブハウスのドナルド・ロス・グリルで食べることにした。
通路にはペインスチュワートに関するものや、パインハーストのマスコットのパターボーイの銅像が飾られていた。
ドナルド・ロス・グリル・シグネチャースープ(ターキーと野菜と大麦のスープ)とクラブケーキサンドウィッチをいただいた。
パインハーストのホテルでマスターズをTV観戦
ドナルド・ロス・グリルでのランチを終えてホテルに戻った。
今日はマスターズの最終日だ。ホテルのロビーで観戦することにした。
パインハーストにはカロライナホテル・ホーリーイン・マナーインと3つのホテルとコンドミニアムがあり、今回宿泊したのは宿泊料金が一番安いマナーイン。
カロライナホテルとホーリーインにはレストランがあるが、マナーインにはないこともあり、人の出入りがほとんどなく、ロビーに誰もいないので、この空間を独占してマスターズを楽しめた。
夕方はロビーで無料でドリンクサービスされているので白ワインを飲みながらじっくりと観戦。
アダム・スコットがプレーオフの末、アンヘル・カブレラを下し、オーストラリア人初のマスターズを制覇した素晴らしい試合だったのを覚えている。
パインハーストの和食屋さん
マスターズの最終日をTV観戦した後、夕食を食べに行くことに。
ホテルを出てパインハーストのお店が並ぶストリートに。
ふと目に入ったのが点矢(Ten-Ya)という日本食のお店。アメリカに来て10日ほど経っていて久しぶりに和食が食べたいので入ってみた。
寿司がメインで天ぷらや焼き鳥などもメニューにあったので、焼き鳥と刺身の盛り合わせをオーダー。
店主はタイガー・ウッズの帽子をかぶっているのでゴルファーなんだろうなと思いながら一人で食事をしていると、一人で食べに来た日本人が珍しかったのか女将さんがいろいろと話しかけてきてくれた。
女将さんに、今回のここまでのゴルフ旅の話をしていると、店主もゴルフ好きが高じてパインハーストに移住したという話を聞き、店主をテーブルに呼んでくれてゴルフ談義。
ワインを一本ご馳走になり、ほろ酔いに。
そして店主との話が弾み、「この後、友人宅でホームパーティーに呼ばれているので一緒に行こう」と誘っていただき、厚かましくも飛び入り参加。
遅くまで珍しいワインやらブランデーをいただき楽しい夜になった。
パインハーストに来たら、必ずまた立ち寄りたいと思う。(※残念ながらその後、店主はお店を売却した)
静かなる松林の中に佇むコース
パインハースト二日目は、パインハーストNo.6。
No.8が全米パブリックコース100選の97位にランキングされているので、No.8をラウンドしたかったが、予約がいっぱいでNo.6に。
パインハーストNo.6の開場は1979年。トム・ファジオとその叔父のジョージ・ファジオが共同で設計。
パインハーストを創ったタフト家がダイヤモンドヘッド社にパインハーストを売却した1970年代後半にダイヤモンドヘッド社が当時、新コースとして造ったのがNO.6である。
4月中旬の松の花粉が舞う時期にラウンドしたからだと思うがラウンド終了後はキャディバッグやクラブなどが花粉で真っ黄色になっていた。
ハーストはアングロサクソン語で囲まれた森という意味なので、周りが松の木だらけのその名の通りのパインハーストなコースだった。
パインハーストのお勧めのハンバーガー
パインハーストNo.6でのラウンドを終えて、前夜に食べた日本食レストランのオーナー夫妻と合流。
ランチを一緒に食べに行くことに。
美味しいハンバーガーが食べることができるお店に連れてきていただいた。
ステーキバーガー。パティがジューシーで美味しかった。
日本食レストランのオーナー夫妻とはパインハーストに来たときは必ず再会することを約束してお別れ。(※オーナー夫妻はその後、日本食レストランを売却されたが、4年後にニュージャージー州のエッジウォーターで再会できた。)
アメリカ南部ゴルフのラウンドを全て終えたので後はアトランタに戻るだけなのだがその前に食べたいものがあるので、レキシントンという街に寄り道する。
ノースカロライナバーベキューの町レキシントン
パインハーストから北西に約75マイルのレキシントンに移動。
レキシントンという地名は全米の各地にあるが、向かったのはパーンハーストがある同じノースカロライナ州のレキシントンである。
レキシントンに来た理由はノースカロライナバーベキューを食べるため。
レキシントンは、バーベキューの町として有名で、毎年10月の第四土曜日はバーベキューフェスティバルが開催されてお祭り騒ぎになるらしい。
バーベキューと言えば、バーベキューリブのような骨付き肉を丸ごといただくイメージが強いが、ノースカロライナのバーベキューは、焼いた後の肉を解したプルドポークと呼ばれてるスタイルのバーベキュー。
町には多くのバーベキューのお店があるが、一番人気はレキシントンバーベキュー。
チョップド・バーベキュー・プレート。
ポークショルダーの表面を3時間、裏返して2時間、そしてもう一度裏返して2時間をヒッコリーでスモークした肉は手で割けるぐらい柔らかくなっていて、これをほぐしてビネガーソースで味付けしている。
スモーキーで酸味の効いたバーベキューで一気に完食。
バーベキューを堪能した後は、4時間半かけてアトランタに移動し、レンタカーを返却してマスターズ観戦とアメリカ南部ゴルフ旅は終了した。
旅を終えて
初めてのアメリカ南部へのゴルフ旅。今回の旅も素晴らしい旅だった。
マスターズが開催されているオーガスタナショナルの練習日に、コース内の写真を自由に撮影することができ、コースマニアの私としては夢のような一日だった。
オーガスタを見学した興奮のまま、南下してフロリダの浮島グリーンで有名なTPCソーグラスへ。そこからシーアイランド、キアワアイランド、パインハーストと北上して、アメリカ南部のゴルフリゾート巡りをし、ゴルフを楽しんだ。
この4つのゴルフリゾートの中で私が気に入ったのはシーアイランドとパインハースト。ソーグラス、キアワアイランドは比較的新しいリゾートだが、この2つは歴史があり、そのためかリゾート全体に落ち着いた空気感があり、居心地がよかった。
そして、オーガスタナショナルのアリスター・マッケンジー、シーアイランドのハリー・コルト、パインハースト#2のドナルド・ロスとゴルフコース黄金期の巨匠のコースを初めて触れることができて、ますますゴルフコース黄金期の設計家に興味を持つようになった旅でもあった。