ニャチャンの海へ流れているカイ川沿いに赤茶色の塔がいくつも並ぶ小高い丘がある。
チャンパの遺跡、Tháp Po Nagar / ポー・ナガール塔である。
入口でチケットを買い、入場。


「ポー・ナガール」とは、この地を治めた古代チャンパ王国で国母として崇拝された女神の名である。
農耕や織物など生活の知恵を民に授けた女神とされ、現在のベトナム語圏ではThiên Y Ana / ティエン・ヤ・アナとして今も信仰の対象になっている。

遺跡そのものは8〜13世紀頃に段階的に築かれたと考えられており、かつて10棟ほどあった塔のうち、現在良好な形で残っているのは主祠堂を含む4〜5棟ほどである。


「ベトナムのビーチリゾート」というイメージしかなかったニャチャンだが、ここだけは完全に時間の流れが違う。
焼きレンガの塔、線香の香り、祈りを捧げる人々の姿を眺めていると、この海辺の街がチャンパ王国の時代から続く“聖地”でもあることを実感させられる。


ニャチャンに来たら、海だけでなく、このポーナガル塔にも一度は足を運んでおきたい。
赤いレンガの塔と、背後に広がる青い空と海。その対比の中に、この土地の歴史と現在がぎゅっと詰まっている。



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