800種類のラムが飲める那覇のバー

[RUM & ROOTS]
02.グルメ・食べ歩き
02.グルメ・食べ歩き

今年の7月に那覇にオープンしたRUM & ROOTSというラム酒を800種類そろえているバーに行ってみた。

東京の吉祥寺にあるSCREW DRIVERというバーの系列だそうだ。スクリュードライバーはラムが600種類ということなので本店より沖縄店はラムの品ぞろえが多い。

最初の一杯目は、最近は沖縄県産のラムも増えてきているので県産ラムもよいかなと思ったけど、自宅にいくつか常備しているし、ほとんどは自分で入手して飲めるので、お気に入りのジャマイカのラムのハンプデン蒸留所のラムをお願いした。

ハンプデン蒸留所のラムは広島のバーTreで初めて飲んで、それまでアグリコールラム(サトウキビジュースから造られるラム)信者だった私がインダストリアルラム(黒糖を作るときに生成される糖蜜を使用したラム)も良いなと知るきっかけになった蒸留所のラムである。

Treの記事

1753年創業のハンプデン蒸留所は糖蜜を、一般的なラムより長く8~15日間、木桶(ウッドン・バット)で発酵させることで、香気成分(エステル等)を強く作り込み、ジャマイカン・ファンク(ハイエステル由来の強烈な香り)の象徴とも言われている。

「今までどんなパンプデンを飲んできました?」と聞かれて、「癖のあるハンプデンばかりを飲んできた」と伝えると、では一番オーソドックスなハンプデンを飲んでみてくださいと出してくれたのがHampden Estate 8 Year Old(46%)

バナナなどのトロピカルフルーツ系の香りにほんのりと溶剤っぽさが混じり、穏やかなだが、しっかりとハンプデンらしさを主張していた。

続いて、ジャマイカのラムで格子状のデザインのラベルが気になったこのラムをオーダー。

ワーシーパーク蒸留所の2006年蒸留、18年熟成(バーボンバレル)のインディペンデント・ボトリングのラム。

ワーシーパークは自社のサトウキビ畑から製糖ー>蒸留所とシングルエステートを押し出している蒸留所でハンプデンなどが使用するダンダー(蒸留廃液)は使用しておらず、ジャマイカラムらしさは保ちながらクリアなラムという評価。

Worthy Parkは、サトウキビの製造は1670年に遡り、ラム生産は1741年から開始したと言われていて、現行の蒸留所は2005年から稼働している。

今回飲んだラムは、ジャマイカで10年、イギリスで8年かけて熟成。前半のトロピカル熟成で濃密さをだして、後半のイギリスでの熟成で丸みをだし、バーボンバレル由来のバニラやウッディさが感じられる同じジャマイカのラムのハンプデンとは対極にあるラムだった。

少し休憩ということでピニャコラーダをオーダー。ココナッツミルクが主張する濃厚なピニャコラーダだった。(ラムはCoruba(ジャマイカで造られた主にNew Yarmouthの原酒を、スイスでブレンドして出しているラムを使用)

締めの一杯は、「レユニオン島のラムを飲まれたことありますか?」と聞かれて、レユニオン島はマダガスカルの東にあり、モーリシャスのすぐ西にある島でフランスの海外県というのは私のバケットリストにGolf du Bassin Bleuがあるので知ってはいたが、ラムは飲んだことがなかったのでいただいた。

これが驚きのラムだった。

最初は、フランス領のラムなのでアグリーコールラムかなと思い、香りを嗅いだ。

そして、(あ、やっぱりアグリコールだ)と思った。

アグリコールラムは、糖蜜を原料とするインダストリアルラムとは香りの方向が違い。刈りたての草のような“青さ”、サトウキビジュース由来のグリーンなニュアンスが前に出る。私はこの青い香りが好みである。

しかし、このSavanna Grand Arômeは、私が頭の中で思い描いていた「フランス領=アグリコール」という図式をあっさり裏切った。

「アグリコールラムらしい青臭さがあってよいですね」と私が話すと「実はこれ糖蜜から造られてるんです」と驚きの回答が。

ラベルを見ると発酵は「traditionnelle 2 jours」と2日。しかも蒸留はSavalle(サヴァル)式のコラムで、アルコール度数は67.4%と度数が高い。

ここで「Grand Arôme」というスタイルが重要になってくる。グランアロームは、樽熟成で丸める前に、発酵と蒸留の段階で“香りを作り込む”ことを狙ったラムらしい。レユニオンのSavannaはその代表格で、糖蜜原料であっても、軽くて無難なラムとは真逆の方向のラムなのである。

グラスから立ち上がるのは黒糖っぽい甘香ばしさより、刈りたての草のような青さ、ハーブ、青い果実のニュアンスだった。

糖蜜だから甘く丸い、という先入観が崩れた。結局、香りの方向を決めるのは「搾汁か糖蜜か」だけではなく、発酵の設計と蒸留の残し方も重要なのを知ることができた。

短い発酵でも、酸や微生物の働き方、留出の取り方次第で、あの“グリーン”が立ち上がってくる。そして高い度数が、その青いトップノートをさらにくっきりと輪郭づけてくる。

フランス領のラムといっても、必ずしもアグリコールであるとは限らない。糖蜜から造られているのにアグリコールのような方向に香りが寄るラムがある。Savanna Grand Arômeは、そのことを体感として理解させてくれた一本だった。

しばらくレユニオン島のラムを飲み続けてみようと思う。

     

I’m a golf-a-holic man. ゴルフバカです。

ゴルフのためなら世界中どこでも行きます。食事とお酒も大好きな食いしん坊ゴルファー。

2021年6月現在、日本国内約600コース、海外は約300コースをラウンドしているコースマニア。現在、世界中をゴルフ旅しています。ゴルフの腕前は平均スコア90前後のアベレージゴルファー。典型的なエンジョイゴルファーです。

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