ベトナムは新型コロナの感染拡大を防ぐために、社会的隔離措置が 4月1日から 4月15日までの予定で実施されていました。
その後、先週の15日にハノイやホーチミンなどまだリスクが残っている都市は一週間延長に。
そして1週間延長の最終日の4月22日の夜に、社会的隔離措置の緩和の発表がありました。(※ハノイなど、ごく一部の都市は措置継続)
4月23日現在ベトナムの感染者数は268人。このうち223人が回復して退院済み。そして、死亡者はゼロ。
ベトナム国内の新型コロナの新規感染者は7日間連続ゼロに。
4月1日からGrabの乗用車が利用できなくなっていたのも4月23日から再開です。(再開の許可に時間がかかっていたようで23日は21時頃にアプリで車のアイコンが表示されるようになりました。)
この期間、交通手段のない私は30度以上の気温の中、歩いて20分ぐらいのスーパーに週に2度買い物に行っていたので大変でした。
食堂やレストランなどの営業も再開しました。バー・カラオケ・スナック・映画館などは営業停止のままですが、3月16日の時点の状況に生活が戻りました。
このようにベトナムは新型コロナが収束しましたが、油断はできませんし、これからどうしていくのか?が本当に重要になってきます。
実はベトナムは新規感染者が1週間以上ゼロになったのは今回で2度目です。
1度目は2月13日に16人目の感染者が報告されてから、感染者ゼロが続き、収束していたのですが、3週間後の3月6日に17人目の感染者が確認されました。
これは3月2日にロンドン経由で帰国したベトナム人が発症したのです。
その後、続々と海外からの帰国者がベトナム国内に感染者を増やしてしまいました。
しかし、ベトナム政府が素晴らしかったのは感染リスクの高い国からの外国人の入国を即座に禁止。
ベトナム人の帰国者も全員14日の徹底的な隔離。
そして3月20日からは全ての国からの外国人の入国を禁止して新たな感染リスクに蓋をして国内の感染者との濃厚接触者を徹底的に追跡、隔離して感染ルート不明をなくしていったのです。
日本は、2月18日には7名しか感染者がいませんでした。ベトナムより感染者が少なかったのに、今や1万人を超えてしまっています。
民主主義と社会主義の国の違いもありますが、トップの判断能力とリーダーシップの差が大きい気がします。
ベトナムは2月の時点でフック首相が「国民の命と健康を第一にして経済的利益を犠牲にしても顧みない」と宣言しました。この強い意志があったために、飲食店などの営業停止から1カ月余りで経済活動を再開できるようになったのです。
今、日本は感染者が増えて、医療崩壊が始まっています。かなり深刻な状況です。しかし、その中でも明るい材料もあります。
当ブログの19日の記事「新型コロナ(Covid-19)と日本について思うこと」の記事から2週間後」でも書きましたが、この1週間は欧米ほどの増加率にならずに感染者数が2倍になる期間が前回は7日間だったのが今回は12日間とペースダウンしています。このまま不要不急の外出を控えるのを継続していけば感染者数の母数が増えてしまっているので時間はかかると思いますが、必ず一旦は収束します。
上のグラフを見てください。全国の感染者の累計のグラフですが、緩やかになっているのがわかると思います。当初のペースなら外出自粛をしてなかったら、ウイルスと人との接触が減らずに18日に12,000人、25日には24,000人になっている可能性もありました。
外出が減らなければこの赤い線のようになっていた可能性があるのです。
この話をすると「世の中にはもっと潜在的に感染者はいるはず。」という意見が挙がってきます。私もそう思っています。
しかし、この厚生労働省が毎日発表してる数値には潜在的な感染者はずっと含まれていません。PCR検査を行い顕在化した感染者の数のグラフです。PCR検査の数が減っているわけではなく検査数は増えていっている中で顕在化している感染者が減っているので外出自粛が効果があることを示しています。
なので、外出自粛(=ウイルスとの接触確率を減らす)していけば、いつかベトナムと同じように収束します。
北海道大の西浦教授がはじき出した8割接触を減らすべきという計画ですが、残念ながらまだ達成できていないので収束には一カ月以上かかると思います。
二カ月かもしれません、三カ月かもしれません。半年かもしれません。それ以上かかるかもしれません。
8割減に近づけば近づくほど収束の時間は短くなります。でもこれじゃ、経済破綻するから経済活動を再開すべきだという声も挙がっています。
私の考えはフック首相と同じで 「人間の命がお金より大事」です。
しかし「命の犠牲はある程度は仕方ない、お金も大事」 という意見の方もいると思います。
経済活動を再開すべきという方は「毎年インフルエンザで亡くなっている人の数のほうが多いので騒ぎすぎ」ということを言っています。
2019年のインフルエンザの日本国内での死亡者数は3,000人を超えているに対して現在のところ新型コロナの死亡者数は287人。今のところ、確かに数字はそうですが、ここまで騒いでなければ 上の赤線のグラフの状態になり、死亡者数はもっと増えていたと思います。
またアメリカでは2年前にインフルエンザが大流行して61,000人死亡したようです。しかしこれは5カ月間ぐらいの数字。新型コロナのアメリカでの死亡者数は本日現在で50,000人。これはわずか3か月間の数字です。
騒ぎすぎなのでしょうか?
外出規制せずにインフルエンザと同じように経済活動を停止していなければ、桁が変わるぐらいの感染者数・死亡者数になっていた可能性が十分あると思っています。
日本は民主主義の国ですから、どちらがよいのか議論していけばよいと思っています。
再び、ベトナムの話。
先ほども説明しましたがベトナムは新型コロナの流行が収束の方向に進んでいます。
そして、収束してからが大事だと思います。
ベトナムはこの後、どう新型コロナと付き合って行くのでしょうか?
考えられるのが、国内の経済は再開できるめどが立ちました。なので国内中心で経済を回し、海外との人の往来は禁止しながら、貿易は続ける。そして世界中が新型コロナを克服したころに海外との往来を再開というシナリオです。
ベトナムはコロナが収束しつつあるので、この「人の鎖国を続けながら経済活動する」という選択が取れる数少ない国です。
もしくはどこかのタイミングで海外からの人を受け入れて、新型コロナとの共存という選択肢を選ぶかもしれません。
日本は「ベトナムと同じように一旦収束を目指してから国内中心の経済活動を再開する」という上記の選択が取れるようにするのか、「収束前にある程度の命の犠牲と引き換えに経済活動を再開する」のか?
そういう議論がこれから活発になっていくと思います。
ベトナムはフック首相が「国民の命と健康を第一にして経済的利益を犠牲にしても顧みない」 と宣言したように本日現在、新型コロナの死亡者数がゼロ。そして経済活動を段階的に再開できる状態になっています。
お金は失ったら、また稼げばいいのです。
命は失ったら、終わりです。
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