デリーにある世界遺産のフマユーン廟は、インドに現存するムガル帝国最初の本格的な霊廟建築だ。
入り口でチケットを買う。チケットはクトゥブ・ミナールと同じくトークン式で出るときにも必要。


そしてこの場所は、のちに造られるタージ・マハルを知っている人ほど、「完成形から遡って理解できる建築」として、強く印象に残る場所でもある。
フマユーンはムガル帝国第2代皇帝。父は帝国の礎を築いた初代皇帝バーブル。
しかしフマユーンの治世は安定せず、王位を追われ、亡命生活を送るなど、波の多い人生だった。
1556年にフマユーンが没した後、廟の建設を主導したのは、皇帝本人ではなく、妃のハミーダ・バーヌー・ベーグムだった。
完成は1571年。設計にはペルシア人建築家ミラーク・ミルザー・ギヤースが関わり、インド建築にペルシア的な対称性と思想を本格的に持ち込んだ最初期の建築とされている。
完璧な対称性──チャールバーグ(四分庭園)の思想
フマユーン廟を歩いてまず感じるのは、敷地全体の整然さだ。
庭園は「チャールバーグ」と呼ばれる形式で、十字に水路を走らせ、楽園を地上に再現するというイスラム的世界観を表している。
この構造は、のちに造られるタージ・マハルにもほぼそのまま引き継がれていく。
ただしこちらは、墓そのものよりも、庭園と空間全体で成立している建築という印象が強い。

赤砂岩と白大理石──移行期のムガル建築
建物の主体は赤砂岩。
そこに白大理石を組み合わせた配色は、ムガル建築が「全白」に振り切る前の姿である。
ドーム内部を見上げると、装飾の豪華さよりも、構造そのものの美しさが前に出てくる。
まだこの時点では、権力を誇示するための建築ではなく、秩序と象徴性を重視した建築だということがよくわかる。


建築は、順番で印象が変わる
二日後にタージ・マハルを見学することになるのだが、先にフマユーン廟を見ていたからこそ、そのスケールの違いに、素直に感動することができた。


もし順番が逆だったら、フマユーン廟は小さく、地味に感じていたはず。











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