インド料理と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのはナンだろう。
実際、デリーをはじめとする北インドでは、ナンやロティが食卓の中心にあり、濃厚なグレイビーとともにパンを食べ進める文化が根づいている。
だが、コルカタは違った。
この街で向き合うことになったのは、
米とマスタードを軸に組み立てられた、まったく別のインド料理――
ベンガル料理である。
ベンガル人に愛されるローカルの名店へ
夕食に訪れたのは、ベンガル人に長く愛されてきたローカルの名店のKasturi(コストゥリー)
Kasturiは北インドではカストゥリと発音されるがベンガル地方では、コストゥリーという発音に近いらしい。
Kasturiは、インドで「ジャコウ(麝香、Musk)」や「芳香」を意味する言葉。

コルカタの食は、米がすべての中心にある
メニューを開いて、最初に印象に残ったのはページに一番左上にRice Itemsと書かれていることだった。
北インドではナンやロティなどのパン系が主食であるのに対し、東インドのベンガル地方では米が主食。
料理はすべて、「この米とどう食べるか」を前提に考えられている。
これは、湿度が高く、雨量も多い東インドでは米作が盛んで、自然と米を中心とした食文化が育ってきた。
暑い季節でも食べ進められるよう、ベンガル料理は北インドの料理より油を抑え、重さを残さない。
スパイスで押すのではなく、香りで食べさせる料理だと感じた。


ベンガル料理を象徴する「パトゥリ」
Bhetki Paturi (ベトキ・パトゥリ)
Bhetkiはベンガル地方で人気の白身魚でバラマンディの事。
Paturiは食材を香辛料とともにバナナの葉で包み、蒸し焼きにするベンガル伝統料理で、
マスタードペーストとマスタードオイルを使うのが大きな特徴とされている。


パトゥリは、魚の臭みを消すための料理ではなく、むしろその香りを蒸気と葉の香りで引き出すための調理法。
マスタードの個性が強すぎて、私にはそれが臭みに感じられた。

コチュパタチングリ――ベンガルの家庭料理
Kochu Pata Chingri(コチュパタチングリ)
ベンガル語でKochu(コチュ)は里芋、Pata(パタ)は葉。
Chingri(チングリ)は、エビでベンガル地方ではメジャーな食材。
里芋の葉を細かく刻んで小エビと一緒にマスタードオイルとマスタードペーストで蒸し煮にした料理。

小エビの旨み、葉のほろ苦さ、そこにマスタードの香りが重なる。
率直に書くと、この日の料理は私の味覚には合わなかった。

パトゥリも、コチュパタチングリも、マスタードの個性がかなり強く、私が慣れてないからだろうか?「香りを楽しむ」というより「香りに圧される」感覚が先に立った。
ベンガル料理には、必ず日本人の口に合う店、一皿があるはずだ。
そう確信させるだけの文化的な厚みがある。
明日のランチも、コルカタでベンガル料理をもう一度探してみようと思う。



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