インドの西ベンガル州コルカタにあるRoyal Calcutta Golf Club / ロイヤルカルカッタゴルフクラブ。
1829年創設で、イギリス国外に現存するゴルフクラブとしては世界最古とされる名門である。
しばしば「イギリス国外で世界最古のゴルフクラブ」と紹介されるが、厳密に言えば、
1786年にアメリカで South Carolina Golf Club(現存せず) が存在していたため、
ロイヤル・カルカッタ・ゴルフ・クラブは
「現存する、イギリス国外で世界最古のゴルフクラブ」
という位置づけが正確だ。
この点についての詳細は、以下の記事で整理している。
Dum Dum Golfing Club(1829年)
クラブの始まりは1829年。
現在のコルカタ国際空港(ネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港)がある Dum Dum(ダムダム)のダムダム弾薬庫のそばにイギリス人将校が造った9ホールのゴルフコースが始まりだった。
当初は Dum Dum Golfing Club(ダムダム・ゴルフィング・クラブ) と呼ばれていた。
同時代の史料として、1830年12月23日付の
『Oriental Sporting Magazine』 には
「Dum Dum Golfing Club」の30人の会員名簿が掲載されており、
この時点でダムダムのコースが 15ホール になっていたことも記されている。
この30人の会員の中に、後にセントアンドリュース市長となり、
当時衰退していたセントアンドリュースを復興させた
Hugh Lyon Playfair(ヒュー・ライアン・プレイフェア) の名前も確認できる。
この人物については、別の記事で詳しく紹介する。

John Watson Gordon, Public domain, via Wikimedia Commons
マイダンの2つの9ホールコース
ダムダムと並行して、クラブは早い段階で
コルカタ中心部の Maidan(マイダン)地区 に
2つの9ホールコース を設けていた。
ダムダムのコースは 1897年に閉鎖。
その後クラブの活動拠点はマイダンへと移り、
19世紀後半にはクラブ名も Calcutta Golf Club と呼ばれるようになる。
現在地への移転と「ロイヤル」の称号
マイダンのコースのうち1つは、ヴィクトリア・メモリアル建設(1921年完成) の影響で1906年頃に閉鎖された。
これを機にクラブは新天地を探し、
現在の所在地である Tollygunge(トリーガンジ)の水田地帯を取得。
この土地をゴルフコースへ転換し、1910年にまず9ホールを開場 した。
そして 1912年に18ホール化。これが現在のコースの原型となっている。
設計は、クラブメンバーであるJ.A. Tassie と J.A. Anderson が担当した。
同じ1912年、ジョージ5世から「Royal」の称号 が授与され、
クラブ名は Royal Calcutta Golf Club となった。
イギリス植民地時代のコロニアル様式の外観と赤い屋根が特徴のクラブハウスには、1914の年号が入っていた。なので、この年に建てられたのだと思う。

45ホール体制へ:旧コース・新コース・マイダン
会員増に対応するため、クラブは隣接地を買い足し、現在地に 追加の18ホール を造成した。
- 1923年:11ホールでオープン
- 1925年:18ホールとして完成
この2つのコースは、スコットランドにならいOld Course / New Course と呼ばれた。
この時点では、
現在地の36ホールに加え、マイダンの9ホールも存続しており、合計45ホール を擁するゴルフクラブとなっていた。
18ホールへ縮小、そしてピーター・トムソンの改修
もう1つ残っていたマイダンの9ホールは 1939年に閉鎖。
これによりクラブは 36ホール体制 となる。
この36ホール体制は1960年代まで続いたが、
- ルピーの大幅な切り下げによる駐在員の減少
- 1967〜1972年にかけての治安悪化
といった要因が重なり、1972年に新コースを閉鎖。土地の一部はカルカッタの政府機関へ売却され、クラブは18ホール体制となった。
その後1978年、全英オープンを5度制したオーストラリアの名手 ピーター・トムソン によってコースは再設計され、現在のレイアウトの基礎が形づくられた。
全英オープンに次ぐ、世界で2番目に古い国際大会
トーナメントの歴史も特筆すべきものがある。
All-India Amateur Championship(全インド・アマチュア選手権) は、1892年にRCGCで初開催 された。
これは全米オープンより 3年早い開催 で、全英オープンに次ぎ、世界で2番目に古い国際ゴルフ大会とされている。
この大会は現在も毎年RCGCで開催されている。
インディアンオープンとRCGC
その他、トーナメントでは、1964年に始まったインディアンオープンの第2回大会がRCGCで開催 された。
以降1999年まで、インディアンオープンは デリーGCとRCGCの2コースのみで開催され、RCGCでは計19回 行われている。
2000年以降はRCGCでは開催されておらず、現在はグルグラムのDLFゴルフ&カントリークラブ が主会場となっている。
(2015年以降はヨーロピアンツアーとの共催大会)
インディアンオープンはピーター・トムソンの発案により始まった大会で、第1回大会はトムソン自身が優勝。
RCGCで行われた第2回大会では、インドのアマチュアゴルファー Prem Gopal Sethi(プレム・ゴパル・セティ)が優勝した。
セティは現在も この大会唯一のアマチュア優勝者 であり、インド人による次の優勝は1991年、Ali Sher(アリ・シャー) まで待つことになる。
アリ・シャーは インド初のプロゴルファー とも言われる存在で、この人物とは三日後、デリーゴルフクラブで偶然出会うことになる。
この話はデリーゴルフクラブの記事で紹介する。
なお、ピーター・トムソンはインディアンオープンで3度の優勝(1964年 デリーGC、1966年 デリーGC、1976年 RCGC)を果たしており、
インドゴルフ界と非常に深い関わりを持つ人物でもある。
1829年、ダムダムの9ホールから始まったロイヤル・カルカッタ・ゴルフ・クラブ。
マイダン時代を経て現在地へ移り、36ホール化と18ホールへの回帰、そしてピーター・トムソンによる再設計を経て、現在の姿に至っている。

クラブハウス内には19th Barというバーがあり、ラウンド後にこのバーで飲んでみようと思ったら、ラウンド後は施錠されてしまっていた。聞くと、土日は昼から営業しているが、平日は17時からの営業らしい。

スコアカードの表紙にはThe Home of Golf in India Since 1829としっかりと印字されているし、コース内のティーマークにも1829と刻印されていた。


古いコースなので短いのかなと思っていたら、ブルーティーで7237ヤードでホワイトティーでも6803ヤードとしっかりある。
パー5とパー3はアウト、インにそれぞれ1ホールずつしかない。

ホワイトティーからティーオフ。距離も普通にあるし、雨の中、ランが出ないので苦労した。
驚いたのはグリーンコンディションである。土砂降りで街中が洪水だったのにグリーンに水が浮いていない素晴らしいメンテナンスだった。
1番ホール(Out of Bounds) 350ヤード パー4
コースセンターやや左サイドにバンカーが配置されているやや左ドッグレッグのパー4。
左サイドはOBなので右狙いか左のバンカー越え。





2番ホール(Bull’s Eye) 150ヤード パー3
2種類のグリーンがあるアウトコース唯一のパー3。私がプレーしたグリーンは右のグリーンで池越えの横長のグリーンのパー3。
全く違うアングルでこの写真に写ってないが左側に別のグリーンがある。
写真の左に白い看板があるあたりが左グリーンのティーイングエリアで、そこから斜め奥にティーショットする。

池の左奥がグリーン方向に食い込んでいるレイアウトでこの日は大雨で池が濁り、満水に近く全体的にのっぺりとした池になっていた。
本来なら池のエッジが効いた印象になっているはずだ。


左サイドのもう1つのグリーンを、RCGCのウェブサイトに掲載されていた3D画像をもとに、当日の天候を参考に画像生成してみた。

3番ホール(Tank Ahead) 388ヤード パー4
緩やかな右ドッグレッグのパー4。両サイドに池がある。



4番ホール(The Long One) 521ヤード パー5
アウトコース唯一のストレートなパー5。



5番ホール(Madras Thorn) 396ヤード パー4
フェアウェイ左サイドにバンカーがあるパー4



6番ホール(The Fields) 425ヤード パー4
フェアウェイ左サイドに3つのバンカーが配置されている距離の長いパー4



7番ホール(The Jheels) 388ヤード パー4
左ドッグレッグのティーショットが池越えでフェアウェイがダイアゴナル(対角線)に伸びているパー4。
セカンドショットも幅のある池越えでタフなホール。RCGCのシグネチャーホールだと思う。


グリーンも砲台グリーンで難しかった。


8番ホール(Ditches) 368ヤード パー4
ストレートなパー4。ブルーティー401ヤードは池越え。


フェアウェイ左にも池がある。


9番ホール(Dhobi Ghat) 396ヤード パー4
左ドッグレッグのパー4。

コースの左右にウォーターハザードが配置されている。

9番ホールをホールアウトして10番ホールに向かう途中にドライビングレンジがあった。

10番ホール(Long Par) 426ヤード パー4
距離のあるパー4


グリーン左サイド手前には池が配置されている。

11番ホール(The Nullahs) 422ヤード パー4
10番に続き距離のあるパー4が続く。セカンドがクリーク越え。

クリークは右手前から左奥にフェアウェイを横切っていた。


12番ホール(Dog Leg) 341ヤード パー4
右ドッグレッグの距離の短いパー4。ドッグレッグ地点に左右に池がある。


グリーン右手前にも池が配置されている。


13番ホール(Chota) 196ヤード パー3
距離のあるグリーン左手前に池があるパー3。インコース唯一のパー3。


14番ホール(Right of Way) 404ヤード パー4
距離のあるストレートなパー4。グリーンが最後に左側に配置されているのでティーショットはやや右目狙いがよい。


グリーンは左斜め奥に伸びていた。


15番ホール(Far & Sure) 494ヤード パー5
ストレートなパー5。インコース唯一のパー5。




コース内には、ゴールデンジャッカルがあちこちにいた。人に危害を加えたことがなくコース内で40頭ほど生息しているらしい。


16番ホール(Mutt & Jeff) 347ヤード パー4
距離の短いパー4。


距離は短いがグリーンは縦長で右サイドには池があり、簡単ではない。

17番ホール(Thomson Tank) 367ヤード パー4
左ドッグレッグのパー4。左サイドには池が続く。




18番ホール(Pimples) 429ヤード パー4
微妙にS字になっている距離のある難しいパー4。
ドッグレッグというほどでもないが最初は右に緩やかにフェアウェイが流れていてフェードでティーショットする必要がある。




ラウンドを終えてThird Shamianaという屋外ラウンジがあったのでずぶ濡れになったウェアを着替えてから休憩することにした。
ジンとオレンジアイスティーのカクテル、The Royal Tea Cocktailをいただいた。
ロイヤルカルカッタは距離もあり、池が絡むホールが多く、攻略するにはドロー、フェードを打ち分けないと攻略できないタフなコースだった。土砂降りだったのが残念だが、十分に堪能できた。






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