
フォーブスのニュースで次のようなニュースを見た。
ドナルド・トランプ とベトナムの富豪 ダン・タン・タム 氏が、約15億ドル(約2250億円)規模のリゾート開発「トランプ・インターナショナル・フンイエン」をベトナムで共同で進める。そこには、デシャンボーが設計を手がける予定の2つのゴルフコースが含まれているという。
このプロジェクトは、ハノイ南方の広大な敷地に高級ホテル、高級ヴィラ、そしてゴルフコース2つという構成で、ベトナムのゴルフ開発の新たな象徴的案件となる。
デシャンボーというゴルファー
ブライソン・デシャンボーは、物理学を専攻した異色のプロゴルファーだ。
すべてのアイアンの長さを統一し、スイング軌道や打ち出し角を数式で解析するなど、ゴルフを「科学で再定義」してきた。
そのスタイルから“ゴルフの科学者”と呼ばれる。
彼のプレーは“力任せ”ではなく、“方程式に基づいた爆発力”。
2020年と2024年の全米オープンを制し、理論派の象徴でありながら、メジャーチャンピオンの実績も残している。
デシャンボーに設計実績はあるのか?
そこで気になるのは、「デシャンボーがこれまでにゴルフコースを設計したことがあるのか」という点。調べたところ、設計家として公にクレジットされた完成済みコースは確認できない。
つまり、このベトナムでの2コース設計プロジェクトは、彼にとって“設計家としての本格デビュー”という可能性が高い。
実務経験のある設計家がサポートしているのかもしれないが、いきなり2コースを任せるのはかなりリスクが高いのではないか?
このプロジェクトが成功したら、この決定は、ものすごい英断だと思う。
計画中でも注目すべきもう1つのプロジェクト
さらに注目すべきは、デシャンボーが米国カリフォルニア州自らの故郷近くで「メガプロジェクト」を進めているという報道だ。
規模としては200 以上エーカー(数百億円規模)に及ぶゴルフコース、ドライビングレンジ、住宅、コミュニティ施設を含む開発で、彼自身が土地を買収しているとされる。LIVゴルフで稼いだお金を原資にしたようだ。
ただし、2025年時点で許可申請など実務進捗が明確になっていないという指摘もあり、こちらも「構想中」段階である。
このような動きを見ると、ゴルフ設計・開発に向けた彼の意欲が明確に浮かび上がる。
デシャンボーが設計するコースを想像してみた
設計実績はまだないものの、“ゴルフの科学者”と呼ばれる彼が描くコースがどのようなものになるのか。 これまでのプレースタイルや発想を踏まえ、その設計哲学を想像してみた。
彼は「ゴルフは遠くに飛ばせば飛ばすほど有利である」という考えでクラブ・理論・筋力という要素を“最適化”してきたゴルファーであり、そのままその思想を設計に持ち込めば、ただ距離の長いコースが造られそうだが、彼なら単なる“飛距離勝負コース”にはならないコースが誕生するのではないかと想像する。

「考えないと飛ばせないコース」になる可能性
もし彼が設計するなら、次のような要素を入れてきそうな気がする。
- 飛ばせる余地はあるが、飛ばすだけでは有利にならない構造。
- ティーショットのランディング地帯が傾斜・風・落下点変化で様々に変化し、角度・落下・風を読む必要がある。
- グリーンやバンカー、ラフには「物理的な変数」が仕込まれ、プレーヤーに思考を促す。
- アベレージゴルファーでも「考えて打つ」「戦略が報われる」体験が可能。
デシャンボーが物理的な飛距離、打ちだし角、風力などを理解しているからこそ、それを”逆手に取ったコース設計”をしてくるのではないかと期待をしている。
デシャンボーが設計家としてどれほど関与するか具体的にはまだ見えていないが、もし彼の思考がコース設計に反映されるなら、ゴルフ設計の世界において新しいスタイルが生まれる可能性がある。
「飛ばすことを学んだ男が、今度は“飛ばせない=考えなければ飛ばせない”コースを作る」
その逆説的な視点こそが、彼の設計家としての特色になるのではないかと思う。
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