タイのバンラカットクラブ(バリシアーゴルフリンクス)をラウンドしてきた。
全ホールの写真や詳しい説明は通常のゴルフ旅の記事で紹介する予定だが、ラウンド直後の気持ちを忘れないよう、取り急ぎ簡単に感想をまとめておく。
バンラカットクラブについて簡単に紹介すると、かつてニューヨークに存在し「世界で最も素晴らしいコース」と呼ばれたリドーゴルフクラブを、ギル・ハンスがタイに再現したコースである。


リドーGCはC・B・マクドナルドとセス・レイナーが設計を担当し、さらにアリスター・マッケンジーのアイデアも取り入れられていた。まさにアメリカのゴルフコース黄金期を代表する設計家たちによる“夢の競演”といえるコースだった。
リドーGCの設計についての詳しい記事
世界中の名コースを回る中で、C・B・マクドナルドが確立したクラシックテンプレートという設計理論を理解するようになり、いつしかその理論を取り入れたコースのファンになっていった。
クラシックテンプレートに対する私の考えについての記事
そんな伝説のコースを再現したバンラカットクラブをプレーできるということで、ラウンド前はとても興奮していた。
そしてラウンド後の感想を一言で伝えると、「十分に楽しめるコース」だった。
その一方で、ナショナルゴルフリンクス・オブ・アメリカ(以下NGLA)をはじめ、マクドナルド設計の本物のコースを実際にプレーしてきた経験もあるので、やはり“違う”と感じた部分もあったのも事実である。
違和感を覚えた点
1.ビアリッツと呼ばれる距離のあるパー3の縦長のグリーン
本来のビアリッツは、縦長のグリーン中央に大きなスウェル(溝)があり、オンしてもピンのある面に止められなければ難しいパットが残るという面白さがある。
しかしバンラカットクラブでは、奥の部分しかグリーンではなく、スウェルから手前の部分はフェアウェイの花道となっており、完全再現とは言えなかった。


2.世界で最もコピーされたテンプレートホール、レダン
バンラカットクラブのレダンは、むしろ「パーフェクト・レダン」と呼んでもよい完成度で、世界中に存在するコピーよりも“レダンらしさ”が際立っていた。バンカー配置、グリーンの角度、右サイドからの傾斜など再現度が非常に高い。
ただ、NGLAのレダンのティーイングエリアで感じたあの興奮には及ばなかった。ホール全体を借景も含めて立体的に見せることにはギル・ハンスでは限界があったのだと思う。


良いと感じた点
一方で、とても良くできていると感じたのがケープホールだった。これまでラウンドした中で最も完成度が高いケープホールだったと言ってよい。
まだ未体験ではあるが、マクドナルドのケープホールの最高傑作とされるミッドオーシャンクラブを超える可能性すらあるのではないかと感じた。
いつかミッドオーシャンクラブをプレーする予定なので、その時に今回の予想がどうなるか楽しみにしたい。

トム・ドークが復元した「ザ・リドー」への期待
同じコンセプトで、2023年にウィスコンシン州でトム・ドークがリドーゴルフクラブを復活させた。
その名も「ザ・リドー」。
2023年のゴルフマガジン社のTop 100 Courses in the Worldで68位にランクインしている。
ドークは今や世界最高のコース設計家の一人とされ、私自身も彼の設計コースをいくつも回ってきた。その度に多くの感動を得てきた。
C・B・マクドナルドをリスペクトして、ドークがクラシックテンプレートをオマージュしたオールドマクドナルド(バンドンデューンズ)で感じたあの興奮は、今も忘れられない。
オールドマクドナルドをラウンドした時の記事
今回のバンラカットクラブではその時の興奮を超えられなかったが、ザ・リドーならきっと応えてくれるのではないかと期待している。
アメリカに行く機会があれば、ザ・リドーも必ずラウンドしてみたい。
コメント