「平渓天燈節」を知ったのは、日本アジア航空(JAA)の機内誌アジアエコー(2008年に日本航空に吸収合併されたために現在は廃刊)の2006年1月号の記事でした。
当時、台北に出張に出向いた機内で読んだ記事は、「台湾のお正月は旧暦で祝う。その1月15日にあたる元宵節には各地で華やかなランタン祭りが催されている。中でも台北から電車で1時間あまりの平渓で行われる天燈節は毎年数万人もの見物客が訪れるという地方色豊かな祭典だ」という導入で「夜空に願いを放つ」というタイトルで空飛ぶランタンが紹介されていました。
山村の夜空に空飛ぶランタンが浮かんだ幻想的な写真が掲載されていて、いつか見にいきたいと思いながらもタイミングが合わずに6年の歳月が過ぎてました。
すっかり天燈節のことを忘れていたのですが、たまたま2月6日に台北で仕事が入り、その当日が元宵節で平渓天燈節が行われていることを知ったのです。
この機会を逃すわけにはいきません。仕事を終えてそれから平渓に移動するのでかなりタイトなスケジュールになりますが、平渓天燈節を観に行くことに。
そして台北行き当日。
取引先の担当者から、この1週間は寒気で急に寒くなり、コートが必要になったのでお忘れなくという連絡が。
5日の夜に台北入りしたのですがその夜はコートは必要なく暖かい夜でした。
翌朝、ホテルの部屋から国父紀念館方面を見るとこの日から行われる台北ランタンフェスティバルの準備が進んでいます。
パナソニックの看板の下には気温が表示されているのですが11時の時点で気温は24度。
結局この日は日中は28度ぐらいまでになり、コートどころか長袖もいらない一日になりました。
午前中1件、午後から1件とミーティングを終えて時間は16時。
15時には終えているつもりだったのですが商談が盛り上がり予定を大幅にオーバー。
ホテルに戻って平渓の十分という村に移動します。
電車で移動もできるのですが、天燈節のイベントが行われる日は臨時バスが運行されているのでバスで向かうことに。
臨時バスはMRT木柵線の動物園駅から発着しています。
往路は50元を払い、復路は無料で乗れるようです。
タクシーで動物園駅まで向かい到着したのは17時頃。行きはバスの数がかなりあるのでほとんど並ばずに乗ることができました。
時間にして1時間弱で会場の「十分」に到着。
空を見上げると既に天燈が揚げられています。
会場で時間を決めて一斉に揚げる天燈とは別に各自が揚げている天燈のようです。
平渓地区は雨が多いところでも有名なのですがこの日は雨も降らず天候も最高。
「孔明燈」とも呼ばれる天燈は、諸葛亮が発明したと言われています。
当時は、軍事情報を伝えるためや、敵軍が「星相」を元に作戦を立てていたのを妨害する目的などにも使用されていたようです。
竹と紙で紙風船を作り、熱気球の原理と同じで油に火をつけ空気を熱して飛ばします。
平渓で小正月に天燈を放つようになった理由ですが、1800年頃に大陸の福建省から台湾の平渓の十分に移住してきた人々は、当時年末年始になると強盗に襲われることが多く、そのために荷物をまとめて山中に隠れて正月を過ごしていたようです。小正月を過ぎたころに、村の安全を確認した使用人が天燈を空に放って、山中に隠れている人に合図を送っていたのがいつしか、願い事を天燈に書き、空に放ち高く飛べば飛ぶほど願いが叶うというものに変わったようです。
あちこちから天燈が揚げられていて気分も高まります。
このように天燈に願いを書いて飛ばします。
通常は200~400個の天燈を同時に放つようですが、この日は1000個同時に放つようです。
数個でもこのように綺麗なのでどんな様子になるのでしょうか。
イベント会場に進みながら夜空を見上げると天燈が星のように浮かんでいます。
確かに星相を元に占いを判断する敵にとっては占うことが難しくなりますね。
バスを降りて歩くこと15分ぐらいで会場の広場に到着。
広場は既に人ごみの山。
ステージでは女性の歌手が歌を歌ったりしていて、想像していた雰囲気とは違い、日本でよく見る年末のカウントダウンライブみたいな雰囲気。
もっと厳かな雰囲気なのかなと思ったのですがある意味、これも台湾っぽい。
そして歌を聴きながら待っていると巨大天燈が登場。これを熱して膨らませます。
膨らんで大きくなりました。そろそろ一斉に天燈が放たれる時間です。
ここからムービーで撮影。巨大天燈をずっと撮影していたら、突然後ろから歓声が。。
背後の天燈から夜空に放たれたようです。
感動の一瞬。そしてしばらくすると、さきほどの方向からも歓声が。
ゆっくりと天燈が夜空を上って行きます。まるで夜光海月のようです。
1000個の天燈。圧巻でした。
そして風向きが変わり、満月に天燈が集まっていきます。
幻想的な光景でした。
この一連の動画です。
実は、天燈の美しさに興奮して最初の30秒ぐらいはレンズに指が半分かぶさっているのに気付きませんでした(笑)
しかも、ピントがずれたり、手ぶれしまくりの動画(笑)ですが、少しでも感動が伝わればと思い公開します。
今回の天燈節についてフェイスブックで書き込みをしていると、やきそばパンZさんから「ラプンツェル」みたいですね。という書き込みをいただきました。
ラプンツェルについて知らなかったので知らべてみるとグリム童話が原作のディズニー映画のようで、映画の1シーンに城から大量に空飛ぶランタンが放たれるシーンがありました。
監督がこのシーンはアジアの祭りを参考にしたと言っているようなので、もしかしたらこの天燈節なのかもしれません。
世界中には他にも似たようなお祭りがあるようで日本でも秋田や富山などでも行われていて、海外ではタイやポーランドでもあることがわかりました。
とくにポーランドのポズナニでは夏至のイワン・クパラ(聖ヨハネ祭り)に8000個もの天燈を放つようです。
1000個でこれだけ綺麗なので8000個となるとどう見えるのでしょうか。
かなり気になります。今年行ってみようかなぁ。
コメント
[…] 月夜に漂う夜行海月 バスで平渓天燈節を観に行きました […]