今年の1月から9月末まで原点回帰をテーマにしてリノベーションしていた廣野ゴルフ倶楽部。
改造を終えて10月から再オープンした直後の廣野をラウンドしてきました。
改造前の最後のラウンドは去年の10月に。ちょうど一年前です。その時に改造について記事にしていました。
今回、改造を担当したのは、Martin Ebert/マーティン・イバート。
マーティンは、廣野を設計したC・H・アリソンと同じ英国人で、全英オープンのロタの9コース中、7コースの改修を担当しています。
流行りの米国人の人気設計家ではなく、廣野がマーティンを選んだのは、アリソンの設計思想を理解できる同じ感性を持っている英国人にしたいという流行に流されない廣野らしさがありますね。
1939年にナショナルゴルフレビューという雑誌で世界で初めてゴルフコースのランキングが発表されましたが、廣野は当時なんと7位にランキングされていました。
そんな廣野も戦時中はコースが閉鎖されて畑になり、戦後にコースが復元されましたが、アリソンのオリジナルとは少し違う状態で復元されていました。それを開場当時の状態に復元するのが今回のテーマでした。
ラウンドした感想は、コースが開場当時の荒々しさを取り戻した素晴らしい改造だったと思います。
コース内には広範囲のウエストエリアが復元され、バンカーのシェイプもクラシックスタイルに。そして長い年月で育ってしまったコース内の木の伐採を行い、当時の状態に近づけて景観を良くすることと、本来のIPポイントの見直し、グリーンのアンジュレーションの見直しなど見た目以上に変化のある改造になっていました。
特に6番、7番、13番、14番、17番のリノベーションが素晴らしかったです。
コース内のウエストエリアは、改造直後なので、まだ馴染んではいませんでしたが、これから年月が経てば馴染んでくると思います。
あいにく3番ホールまでは濃い霧でコースの様子が分かりにくいですが4番からは視界も良好になりました。比較しやすいように改造前の写真も掲載しておきます。(写真の下に「改造前」とキャプションを付けてます。)
ティーはレギュラーティーからティーオフ。
1番ホール 487ヤード パー5
ストレートな距離の短いパー5
2番ホール 410ヤード パー4
ストレートなパー4
3番ホール 401ヤード パー4
ストレートなパー4。
ティーイングエリアの前方にはウエストエリアが広がっています。
4番ホール 377ヤード パー4
ほぼストレートなパー4
下の改造前の写真と比較すると明らかに右側のツリーラインが変わっているのがわかります。
グリーンは右側に移動されていました。
5番ホール 139ヤード パー3
距離の短い谷越えのパー3
木の伐採とバンカーのシェイプが変わることによって砲台感が強調され、さらに素晴らしいホールになっているのがよくわかります。
6番ホール 396ヤード パー4
ティーショットで巨大なマウンドを越えさせるパー4
このホールにもティーイングエリアの前方に巨大なウエストエリアが。マウンドの手前にもウエストエリアがあることでマウンドが高く見える効果がありました。
マウンドの前のウエストエリア。
7番ホール 173ヤード パー3
窪地越えのパー3。
今回の改造で一番期待していたホールです。
かつてこのホールはDevil’s dibot/デビルズディボットと呼ばれる巨大なウエストエリアがグリーン手前の窪地に広がっていました。メンテナンスなどを考慮して当時ほどの荒々しさではありませんが、見事に復元されていました。
グリーン左横にあったバンカーは無くなっているので左側はセーフティーゾーンに。
迫力のあるパー3が復活しました。
ウエストエリア手前から見上げたグリーン。
左に人が写っています。その巨大さがわかるはず。
こちらは前の6番ホールから横から見た7番グリーンとデビルズディボット。
8番ホール 332ヤード パー4
距離の短いパー4
こちらもティーイングエリアの前方にウエストエリアが。
そしてグリーン左サイドと奥にあった竹が伐採されて広々としました。
9番ホール 491ヤード パー5
右ドッグレッグのパー5
右サイドの木の伐採でコース全体の見通しが良くなりました。
グリーン左手前にあった木も伐採されて地形が分かりやすくなりました。
朝のスタート前にクラブハウスからみた9番グリーン。
10番ホール 334ヤード パー4
距離の短いパー4
11番ホール 389ヤード パー4
ストレートなパー4
12番ホール 570ヤード パー5
谷越えの左ドッグレッグのパー5
13番ホール 134ヤード パー3
打ちおろしで池越えのパー3。
こちらのホールも今回の改造で待ち望んでいたホール。こちらのティーは今回復元されたアリソンが設計した当時のアングルのオリジナルのティーイングエリア。
そしてこちらのアングルのティーイングエリアが改造前のアングル。日によって使用ティーが違います。今は土日はオリジナルティーで平日は以前のティーでした。こちらのティーもグリーン左の木が伐採されて地形のラインが美しく見えるようになりました。
14番ホール 353ヤード パー4
左ドッグレッグのパー4
改造前から私が廣野GCで一番好きなホールが14番ホールでした。
自然なスロープを使った素晴らしい左ドッグレッグのパー4だったのですが、改造により、更に魅力的なホールに。
左側の木々を伐採して2ウェイのルートがあるパー4になりました。
今までは傾斜を登り切らなければ左に転がり落ち、木が邪魔していてパーオンするのが難しかったのですが、木の伐採により、グリーンが狙いやすくなりました。
そして新しくフェアウェイの真ん中にバンカーを設置。このバンカーができたことで、ティーショットを安全にバンカーの右側に狙って、セカンドが距離が残る選択をするのか、果敢に左側を攻めてセカンドショットを短いクラブで打つのかという選択が明確になる素晴らしいホールになりました。このバンカーはおそらくオリジナルにはないマーティン・イバートのアイデアだと思います。
15番ホール 500ヤード パー5
左ドッグレッグのパー5。The 500 World’s Greatest Golf Holesに選出されています。このホールにもティーイングエリアの前方にウエストエリアが。
下の改造前の写真と比較してほしいのですが、バンカーのシェイプが変わり、バンカーを視認しやすくなっています。
16番ホール 373ヤード パー4
やや左ドッグレッグのパー4
右に見えるバンカーが追加されました。
17番ホール 210ヤード パー3
池越えの距離のあるパー3。
グリーン左サイド手前にある池(ティーイングエリアの前方の池ではない )が木の伐採により、視認しやすくなりました。今までは全く気にならなかったのですが、池をはっきりと視認できるようになり、「引っかけたら怖いなぁ」と発言した直後の私のティーショットは引っかけて池に。。(笑)
今まで何度もラウンドしていてグリーン左サイド手前の池に入れたのは初めてです。リノベーションの効果を身をもって体験できました。
こちらが今までもあったのに今回初めて、池ポチャしてしまった池。
グリーン奥まで池は続いていなかったような気がするので今回のリノベーションで池が広くなったかもしれません。
18番ホール 374ヤード パー4
左ドッグレッグのパー4
荒々しさを廣野が取り戻した象徴のような最終ホールです。改造前も、一番最初にラウンドした時はインパクトのあるバンカーでしたが、改造後の上の写真と見比べると天と地の差ぐらいあります。
元々、起伏を活かした素晴らしいコースでしたが、原点回帰を目指しながら、時代に合わせて進化し、スケール感が増したコースに変貌していました。
さすがアジアNo.1コースです。2年後のゴルフマガジンのランキングが楽しみです。
コメント