ゴルフはスコットランドからアイルランドや世界中の国々に広がっていったのでゴルフのルールやゴルフクラブの形態は、スコットランドに右にならえなのだが、ゴルフ協会に関してはアイルランドが世界で初めてゴルフ協会を設立した国なのである。
組織名はGolfing Union of Ireland(GUI)という名でアイルランド全体の男子のゴルフを統括する団体として1891年に立ち上げられた。
GUIのロゴにはアイルランドの4地域の旗のデザインが組み込まれていて、左上から時計回りにアルスター地域(島の北東部)、レンスター地域(島の東部)、コノート地域(島の北西部)、マンスター地域(島の南西部)。
スコットランドには、現在、世界のゴルフルールを制定している1754年創設のロイヤル&エインシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース(R&A)があるじゃないか?という意見が挙がってくるかもしれないが、R&Aはゴルフクラブの1つで元々はスコットランド全体を統一する組織ではなかった。1897年にスコットランドの各クラブでバラバラのルールをようやくR&Aがまとめることになった。
GUI設立時には County Down / カウンティダウン, Portrush / ポートラッシュ, Royal Belfast / ロイヤルベルファスト, Killymoon / キリームーン, Dungannon / ダンガノン, Aughnacloy / アウナクロイ, Ballycastle / バリーキャッスル, Portsalon / ポートサロン, North West / ノースウェストの9つのクラブでスタートした。
GUIが設立した2年後の1893年には女性ゴルファーの組織のIrish Ladies Golf Union(ILGU)も設立されて女子の協会でもアイルランドは世界最古である。(※GUIとILGUは、2021年には合併してGolf Irelandという組織になった。)
そして、アメリカのUnited States Golf Association(USGA)はGUIより3年後の1894年に設立された。
当時、アイルランドもスコットランドもハンディキャップは使用されていたが、それぞれのゴルフクラブ毎でハンディキャップを算出していて統一されておらず、それぞれのゴルフクラブはクラブの中で最も安定しているプレイヤーを基準にして他のプレイヤーとの比較でハンディキャップを決めていた。
それをGUIは1897年にアイルランド全島で共通のハンディキャッピングシステムを”男子ゴルフ界では”、世界で始めて導入した。
GUIも、最初の頃は同じようなルールで、トーマス・ギルロイというゴルファーを基準にすることにした。
ギルロイは、セントアンドリュースでトム・モリス、トム・モリスJr.からゴルフの指導を受けて、アイルランドには1885年に移住してアイルランドの様々なゴルフコースでコースレコードを樹立していったゴルファーだった。
アメリカのUSGAでは1896年にハンディキャップを統一すべきだという議論がされたがこの時は反対があり、統一したハンディキャップが導入されたのは1911年となった。
さきほど”男子ゴルフ界では”と表現したが、女子ゴルフ界ではアイルランドの女子ゴルファーの協会のILGUが立ち上げられた同じ年の1893年にLadies Golf Unionというイギリスとアイルランドの女子ゴルフを統括する協会が設立されて、ここで統一されたハンディキャップが世界で初めて実現されたのである。
そして、1924年にはロイヤル&エインシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュースでBritish Golf Unions Joint Advisory Committee が開催されて男子・女子を含む、イギリスとアイルランドの統一したハンディキャップを算出する委員会が立ち上げられた。これが現在のCouncil of National Golf Unions (CONGU)と呼ばれるイギリス・アイルランドの統一ハンディキャップの組織の前身になる。
世界中のハンディキャップが統一されるのは2020年と最近のことになる。
コメント