デリーでのゴルフはDelhi Golf Club(デリーゴルフクラブ)を予定していた。
前日、宿泊していたThe Oberoi New Delhiがクラブに連絡を入れてくれて、同伴するプレイヤーとして紹介されたのがAli Sher(アリ・シャー)である。
当日はクラブのカフェテラスで待ち合わせた。先にコーヒーを頼み、互いに自己紹介をするところから始まった。

そこで彼がさらっと言った。
「私はインディアンオープンを、インド人のプロゴルファーとして初めて優勝しました。」
インディアンオープンは1964年にピーター・トムソンの提唱で始まり、第1回はデリーゴルフクラブで開催。提唱者のピーター・トムソンが優勝している。現在はHero Indian Openとして、ヨーロピアンツアーの共催大会になっている。
インディアンオープンで「インド人が初めて優勝した」のは、1965年にロイヤルカルカッタGCで開催された第2回大会でのP.G. Sethiだ。彼はアマチュアゴルファーで、クリケットの名選手としても知られる。この大会で優勝した唯一のアマチュアでもある。インド人プロゴルファーが優勝するまでには、時間がかかった。
その「インド人プロとしての初優勝」を成し遂げたのが、1991年のアリ・シャーである。彼は同年、インドで最も名誉あるスポーツ賞の一つであるARJUNA賞も受賞した。
この優勝をきっかけにデリーGCの会員権を与えられ、さらに2年後の1993年には2度目のインディアンオープン制覇。インドゴルフ界のレジェンドと呼ばれている。
実際に一緒に回ってみると、彼はステディに、確実にパーを取りに行くタイプのゴルファーで、見ていて勉強になった。


しかし2ホールほど回ったところで土砂降りになり、3ホール目を終えた時点でサイレンが鳴ってクローズ。雨が止むまでクラブハウス内で待機することになった。

待機中はクラブハウスでビールを飲みながら、インドゴルフのいろいろな話を聞けた。
1991年にインディアンオープンを優勝した年、日本にも来てダンロップオープン(茨城ゴルフ倶楽部)と日本オープン(下関ゴルフ倶楽部)に出場したこと。
また、デリーGCでキャディをしていた父親に付き添ってゴルフを覚え、始めたころは木でクラブを作って遊んでいたこと。そんな話も印象に残っている。
クラブハウスのボードにも1991年にアリ・シャーがARJUNA賞を受賞したことがしっかりと刻まれていた。


ちなみに、「インド人初のプロゴルファー」として語られるのはSheikh Jamshed Ali(シェイク・ジャムシェド・アリ)だ。コルカタ出身で、ロイヤルカルカッタGCでキャディとして育ち、プロに転向。インド人として初めて米国PGAツアーに出場した人物としても知られている(2005年に53歳で死去)。
存命であれば73歳。アリ・シャーは2025年で65歳。どちらもインドのプロゴルフ黎明期を代表する人物である。




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