グレーター・カイラッシュは、ニューデリー南部に広がる比較的落ち着いた住宅街で、中〜上流階級の暮らしが根付いたエリアである。
オールドデリーの喧騒とは対照的に、街区は整然としており、ローカル向けのレストランやバーが静かに点在しているのが特徴だ。
今回訪れたのは、Sidecar。
場所は グレーター・カイラッシュ2(GK2)のMブロックマーケット、HDFC銀行が入るビルの上階にある。


外から見ると控えめだが、1階(日本で言う2階)はブックストア兼カフェスペースになっており、階段で2階へ上がるとメインバーが現れる構造。
The World’s 50 Best Bars 2021で47位で初登場し、2022年には26位、2023年にはBest50ではなくなったが67位にランクインしていたインドNo.1と言われている実力派バー。
タイトルがインドNo.1バーではなくてデリーNo.1バーとしたのは訳があって、このサイドカーも素晴らしいバーだったのだが、1週間後にコルカタに行ったとき、訪れたコルカタのバーが素晴らしくて私はインドNo.1のバーはコルカタのバーだと思ったのでデリーNo.1というタイトルにした。コルカタのバーはまた改めて記事で紹介する。

一杯目はLarkin G&T
最初の一杯はオーストラリアのジン、Larkinを使ったジントニック。
ローストパイナップルに蜂蜜、ナツメグの皮を合わせた構成で、甘さ・スパイス・柑橘感のバランスが非常に良い。
単なるアレンジではなく、バーの方向性が一杯で伝わってくる。

二杯目は、Kaapi Time(India)
続いては、ムンバイのコーヒーのSubko Coffee をインフューズしたインドウイスキーのPaul John Nirvana をミルクウォッシュして、
パッションフルーツコーディアルとポン酢を合わせたカクテル。

コーヒーとウイスキーの組み合わせ自体は珍しくないが、
ポン酢による酸味とほのかな塩味が加わることで、輪郭がはっきりし、印象に残る一杯になっていた。
三杯目は、Hapusa(インドジン)
インディアンウイスキー以外でインドの酒はあるかと聞くと、いくつかのインドジンを紹介された。
その中で勧められたのが Hapusa。
Hapusaは、ヒンディー語でジュニパーベリーを意味する名の通り、ヒマラヤ産ジュニパーを使用した完成度の高いドライジン。
派手さはないが、芯があり、丁寧に造られていることがよく分かる。気に入ったので帰国時に空港でお土産に購入した。

最後はインディアンウイスキーをストレートで。
メニューにある高価格帯のウイスキーについて尋ねると、「それはライトだから」とのことで勧められたのが GIANCHAN だった。

インディアンウイスキーをなめていたが、この一杯で印象が大きく変わった。
しっかりとモルト感を感じることができるウイスキーで、素直に美味しい。
締めに選んで正解だったと思える一杯だった。
Sidecarは、
「インドの酒を面白おかしく出すバー」ではなく、インドの酒をきちんと評価し、きちんと飲ませてくれるバーである。
デリーで一軒目に選んだのがここで良かった。
そう思わせてくれる、完成度の高い夜だった。



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