インドでの朝食は、アグラに移動した日とコルカタで1泊、オベロイニューデリーに1泊した時以外は、ヒルトンガーデンインサケットのホテルのビュッフェで毎日食べた。
北インド、南インド、東インドなど様々な地域のインド料理を食べることができた。

こうやって並べると見栄えはあまり変わらないがいろんなインド料理を食べたので紹介しておく。
見た目が似ていても材料や調理方法などが微妙に違う。そのあたりも詳しく説明してみた。
- インドの朝食
- Sambar(サンバル)とChutney(チャトニ)とガンパウダー
- IDLI(イドゥリ)とは何か
- Uttapam(ウッタパム)とは
- Vegetable Daliya(ベジタブル・ダリヤ)
- Sabudana Khichdi (サブダナキチュディ)
- Medu Vada(メドゥ・ヴァダ)
- Puri(プーリー)
- Pav(パヴ)
- Bhaji(バジ)とKale Chane ki Shammi(カーレー・チャーネー・キ・シャミ)
- Bisi Bele Bath(ビシ・ベレ・バート)
- Paratha(パラタ)
- Luchi(ルチ)とKulcha(クルチャ)
- Rava Upma(ラヴァ・ウプマ)とVermicelli Upma(ヴェルミセリ・ウプマ)
- Cholar Dal(チョーラル・ダール)とMatar Dal(マタル・ダール)
- ALOO BHAJI(アルー・バージ)とKADDU KI SABZI(カドゥ・キ・サブジ)
- Dum Aloo(ダム・アルー)とChole(チョーレ)
- Curd(カード)
- Sweet Seviyan Kheer(スイート・セヴィヤン・キール)
- Coconut Gulab Jamun(ココナッツ・グラブ・ジャムン)
- Masala Chai(マサラチャイ)
インドの朝食
Sambar(サンバル)とChutney(チャトニ)とガンパウダー
まず毎日の朝食で必須なのはサンバル。
サンバルは、豆と野菜をベースにした、南インドを代表するスープ状のカレー。
イドゥリ、ドーサ、メドゥ・ヴァダなどと必ずと言っていいほどセットで提供される、南インド料理の「土台」のような存在。
写真右の瓶や壺に入っているものは一番右の列の瓶はガンパウダーと呼ばれる豆やスパイス、唐辛子などをローストしたスパイシーな南インドのスパイスパウダー。ピーナッツ風味、ゴマ風味など種類があった。
ガンパウダーの左の壺はチャトニ(日本ではチャツネと発音されているがインド語の発音はチャトニ)で野菜や果物、ハーブ、スパイスなどから造られるソース・ペースト状の調味料。手前からトマト・ココナッツ・ミントのチャトニがあった。


IDLI(イドゥリ)とは何か
イドゥリは、米と豆(主にウラド豆)を発酵させた生地を蒸して作る、南インドを代表する朝食料理である。
油をほとんど使わず、軽く、消化がよいのが特徴で、インドでは子どもから高齢者まで日常的に食べられている。
パサパサした蒸しパンみたいな感じ。サンバルやいろいろなチャトニなどを付けて食べるのが一般的。
ホテルの朝食ビュッフェに並ぶイドゥリは、「インド料理の中でも最も胃にやさしい料理」だと思う。
PODI IDLI(ポディ・イドゥリ)
イドゥリにイドゥリ・ポディ(Gunpowderとも呼ばれる豆やスパイス、唐辛子などをローストしたスパイシーな南インドのスパイスパウダー)をまぶしたもの。


Kanchipuram Idli(カーンチープラム・イドゥリ)とAloo idli(アルー・イドゥリ)
カーンチープラム・イドゥリは、タミル・ナードゥ州(スリランカの対岸)の聖地カーンチープラム発祥のイドゥリ。
イドゥリ生地に黒胡椒、クミン、生姜、カレーリーフなどを混ぜ込んで蒸し上げるのが特徴で一口食べるとスパイスの香りが立ち、存在感がある。
アルーイドゥリは、イドゥリ生地にマッシュしたジャガイモを練り込んで蒸したもので、コクがあるイドゥリ。


Uttapam(ウッタパム)とは
米とウラド豆(ブラックマッペ)を挽いて発酵させた生地を、ドーサほど薄く延ばさず、厚みを残したまま焼くのがウッタパム。
見た目はパンケーキに近く、表面には刻んだ玉ねぎ、トマト、青唐辛子、コリアンダー、スパイス などをのせて焼き上げる。
ドーサとの違い
- ドーサ:薄く、パリッと焼く。軽食・屋台向き。
- ウッタパム:厚く、ふんわり。食事向きで具材の存在感が強い。朝食としても軽めの昼食としても食べられる。
ウッタパムは「生地を味わう料理」というより、発酵生地+具材のバランスを楽しむ料理。イドゥリより満足感があり、ドーサより重すぎないため、ホテルの朝食ビュッフェでは「南インド料理の中間的存在」としてよく並ぶ。
Ragi Uttapam(ラギ・ウッタパム)
ラギ(Ragi=フィンガーミレット/シコクビエ)を使った発酵生地を、ウッタパム状に焼き上げたもの。通常の米主体のウッタパムより色が濃く、香ばしさと穀物感がはっきりしているのが特徴。ラギは鉄分やカルシウム、食物繊維が豊富で、南インドでは「身体を整える穀物」として日常的に使われてきた。
表面はしっかり焼き目が付き、中はややもっちり。オニオンやトマト、スパイスが練り込まれていた。

Vegetable Daliya(ベジタブル・ダリヤ)
ベジタブル・ダリヤ は、割り小麦を野菜とともに煮込んだ、インドの家庭的な朝食料理。
お粥とリゾットの中間のような食感で、辛さは控えめ。

Sabudana Khichdi (サブダナキチュディ)
サブダナキチュディは、タピオカ由来の粒状デンプン「サブダナ」を使った軽食。
水で戻したサブダナをジャガイモ、砕いたピーナッツ、クミンシードと一緒に油やギーで炒め、サブダナのモチっとした食感が印象に残る。
インドでは宗教的な断食日(ファスティング)に食べられる料理としても知られており、穀物や豆を使わず、胃に負担をかけにくいことが理由とされている。その一方で炭水化物が主体のため、見た目以上に腹持ちはよく、朝食や軽い昼食としても十分成り立つ。

Medu Vada(メドゥ・ヴァダ)
メドゥ・ヴァダは、ウラド豆を主原料にした南インドの揚げ物。外はカリッと、中は軽く、サンバルやチャトニと合わせて食べる。
揚げ物だが重さはなく、朝食として自然に溶け込む一品だった。


Puri(プーリー)
プーリー は、小麦粉の生地を薄く伸ばし、油で揚げたインドの伝統的なパン。
揚げることで中に空気が入り、風船のようにふくらむのが特徴だ。
見た目は軽そうだが、実際はしっかりと油を吸っており、ナンやチャパティと比べると重たさとコクがある。

Pav(パヴ)
パヴは、インドで広く食べられているパン。食感は、パンの中身は日本のコッペパンやロールパンに近く、外はパリッとした固さ。
もともとはポルトガル統治時代の影響でインドに定着したとされている。
特にムンバイを中心とした西インドでは欠かせない存在。パヴの右にある赤いのはビートルートを練りこんだプーリー。

Bhaji(バジ)とKale Chane ki Shammi(カーレー・チャーネー・キ・シャミ)
左のバジは野菜をスパイスで煮込んだマッシュ状の惣菜で、パヴやプーリと合わせて食べる定番の付け合わせ。
サンバルよりコクがありつつ、重すぎないのがちょうどいい。
右のカーレー・チャーネー・キ・シャミは、黒ひよこ豆を使ったシャミ・ケバブのベジタリアン版。本来の「シャミ・ケバブ」は、牛や羊のひき肉、レンズ豆、スパイスを煮て潰して整形して焼く料理。豆の粒感を残したやさしい味で、朝食向きの一皿だった。

Bisi Bele Bath(ビシ・ベレ・バート)
ビシ・ベレ・バート は、南インド・カルナータカ州(アラビア海に面するインド南西部の州)を代表する米料理。
名前は現地の言葉で、Bisi=熱い、Bele=豆、Bath=ごはんを意味し、熱々の豆ごはん」という直訳になる。
米とトゥール豆(Toor Dal)を一緒に炊き、そこに野菜とスパイスを加えて仕上げる料理で、見た目はお粥やリゾットに近いが、味わいはしっかりインド的な味。

Paratha(パラタ)
パラタは、小麦粉の生地を伸ばし、油やギーを使って鉄板で焼き上げる北インドの定番フラットブレッド。インドではパラーターと伸ばして発音している。
ナンのように窯で焼くのではなく、チャパティよりも油分が多く、「焼きパンと揚げパンの中間」のような位置づけ。
さらにパラタの特徴は、中に具を詰めるスタイルが非常に多いことだ。
左はパニール・パラーターで、インドのフレッシュチーズ Paneer(パニール) を細かく砕いて詰めたパラーター。コクがあり味は滑らか。
右はアルー・パラーターでマッシュしたじゃがいも(Aloo)にクミン、コリアンダー、唐辛子などを混ぜ、それを生地に包んで焼いたもの。スパイスは控えめで外は香ばしく、中はほくっとした食感。


Luchi(ルチ)とKulcha(クルチャ)
左のルチは、小麦粉の生地を薄く伸ばし、油で揚げたパン。見た目はプーリーによく似ているが、より薄く、軽い仕上がりになるのが特徴。ベンガル地方(東インド)で親しまれているパンで、プーリーより薄く、繊細な焼き色になっている。
右のクルチャは、発酵させた小麦粉生地を焼いたパン。ナンに近いが、より平たく、もっちり感は控えめ、さっぱりした口当たりという違いがある。ナンが「カレーを主役にするパン」だとすれば、クルチャは「パン自体も料理の一部」という位置づけ。

Rava Upma(ラヴァ・ウプマ)とVermicelli Upma(ヴェルミセリ・ウプマ)
左はラヴァ・ウプマ。Rava(セモリナ粉=粗挽き小麦粉)を油で炒め、水または出汁で蒸らすように火を入れた南インドの定番朝食。マスタードシードやカレーリーフの香りが心地いい。
右はヴェルミセリ・ウプマ。セモリナ粉の代わりに細麺を使ったウプマ。見た目は短いビーフンのようだが、香りと構成は完全に南インドの朝食だった。


Cholar Dal(チョーラル・ダール)とMatar Dal(マタル・ダール)
左はチョーラル・ダール、ベンガル地方(東インド) を代表するダール。主原料は チャナダル(ひよこ豆を割った豆)。
右はマタル・ダール。グリンピースのダールで豆の甘みが優しく朝食向け。

ALOO BHAJI(アルー・バージ)とKADDU KI SABZI(カドゥ・キ・サブジ)
左はアルー・バージ。じゃがいも(Aloo)をベースにした、ややとろみのある北インド風カレー。マスタードシードやクミンでテンパリングし、ターメリックとチリで仕上げる。
右はカドゥ・キ・サブジ。北インドでよく食べられるかぼちゃ(Kaddu)の炒め煮。角切りにしたかぼちゃを玉ねぎ・トマト・スパイスで水分を飛ばすように調理するのが定番で、自然な甘みが前に出る家庭料理。

Dum Aloo(ダム・アルー)とChole(チョーレ)
左はダム・アルー。じゃがいもを丸ごと、または大きめに使い、濃厚なグレイビーで蒸し煮(Dum)にした料理。カシューナッツやヨーグルトを使う地域もある。上に紹介したアルー・バージと見た目の違いはわからない。
右はチョーレ。すでに紹介したチョーラル・ダールはひよこ豆を割ったものを使用したダールに対して、チョーレは、ひよこ豆をそのまま使用して豆感がしっかりとしたカレー系の食べ物。

Curd(カード)
カードは、インドで日常的に食べられている発酵乳製品で、日本でいうヨーグルトに近い存在。ただし味わいはより酸味が穏やかで、なめらか。料理として使われることが多いのが特徴。
単体で食べるだけでなく、スパイスや野菜と和えてRaita(ライタ)にライスを混ぜてカードライスとしても食べられている。
南インドでは特に重要な存在で、食後に体を落ち着かせ、消化を助けると考えられている。暑い気候の中で、辛味や油分を和らげる“クールダウン役”として欠かせない一品。

Sweet Seviyan Kheer(スイート・セヴィヤン・キール)
細い小麦麺「セヴィヤン」をミルクで煮込んだ、北インド定番のデザート・キール。砂糖やカルダモンでやさしく甘みを付け、ナッツやレーズンを加えることが多い。温かくても冷やしても提供され、家庭料理から祝祭まで幅広く親しまれている

Coconut Gulab Jamun(ココナッツ・グラブ・ジャムン)
インドを代表するスイーツ「グラブ・ジャムン」は世界一甘いお菓子とも呼ばれている。そのグラブジャムンをココナッツ風味でアレンジした一品。通常は球状だがここでは半分にカットして提供されていた。


Masala Chai(マサラチャイ)
マサラチャイは、インドの日常に最も深く根付いたミルクティー。紅茶に牛乳と砂糖、複数のスパイス(マサラ)を加えて煮出すのが基本で、家庭や屋台ごとに配合が異なる。
使われる代表的なスパイスはカルダモン、ジンジャー、シナモン、クローブ、ブラックペッパーなど。中でもカルダモンと生姜はほぼ必須で、体を温め、消化を助ける役割を担う。
作り方の特徴は、茶葉・スパイス・砂糖・ミルクを最初から一緒に煮込むこと。そのため香りが強く、コクがあり、紅茶というより「飲むスパイスドリンク」に近い存在。
ホテルでの朝食の後は、必ず一杯いただいて締めていた。













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