長年、泡盛倉庫で勤務していた“ミスター泡盛”──私がそう呼んでいる比嘉康二さん。
私は沖縄に移住する前から泡盛倉庫に通っていて、あの場所に足を運ぶというよりは、比嘉さんに会いに行っていたようなところがあった。
沖縄の泡盛文化の魅力を国内外に伝え続けてきた彼は、2023年の年末を最後に泡盛倉庫を退職。そして約一年半の準備期間を経て、奥様の直子さんとともに新しい挑戦を始めた。
まもなくオープンを迎える会員制レストランバー「比嘉邸」。
店舗スペースは最終調整の段階に入っており、その店舗がある5階から階段で上がった先──比嘉夫妻が実際に暮らしている本当の“比嘉邸”で、ひと足早く“うとぅいむち(おもてなし)”を体験させてもらった。
上のフロアに入った瞬間、窓の向こうに広がる夕暮れ。
ユウモドロと呼ばれる一日の節目の時間が、美しく部屋を染めていた。

ウェルカムドリンクは、パッションフルーツの泡盛サングリア。

一品目は、康二さんが泊のいゆまちで目利きして仕入れてきた生マグロを泡盛の水割りで。
「日本酒を”風味を加える調味料”と表現するなら、泡盛の水割りは“食材の良さを伸ばす白米”のような存在」とよく康二さんは初見のゲストに伝えている。

料理 × 泡盛。比嘉夫妻が作り出す“琉球のペアリング”
ここからは直子さんの料理に、康二さんが泡盛をペアリングしていく。
ゴーヤーチャンプルーには最高級のジャスミン茶をインフューズした泡盛ベースのライウイスキーで。


余計な脂がなく、素材の旨味がくっきり浮かび上がる。
ソーミンタシヤー。シンプルイズベストな一品。

ミヌタル。黒胡麻の香りと豚肉のコク。琉球王朝時代から続く宮廷料理の風格。

ドゥルワカシー。お時間かけて丁寧に調理されているので田芋のなめらかさと深い旨味を味わえる。

箸休めの濃厚な島豆腐について説明する康二さん

魚の天ぷら。ふわりと軽く、沖縄ならではの“天ぷら文化”を感じる一品。

マグロカツ。衣は薄く、中心は美しいレア。泡盛の香りが余韻を引き締めてくれる。

冬瓜漬けとクースー。冬瓜の優しい甘みと、熟成したクースーの香りが見事に調和。泡盛の由来はチブグヮに注ぐときにできる泡を盛るというところから名づけられたという説もある。


クリアな中身汁。澄み切ったスープに、豚の中身の旨味がじんわり。
直子さんの料理は、どれも派手さより“品”を感じる。

食後には、「泡盛を使ってマティーニっぽいカクテルを」と私の無茶ぶりにもきちんと答えてくれた。
泡盛マティーニ


今日のレシピはこの3つを使用していた。

帰る前に、下の階にある新店舗を案内していただいた。大きなカウンターと落ち着いた照明。

完成まではあと少し。
この空間が、沖縄の食文化と泡盛を次の世代へつなぐ場所になると思うとグランドオープンが待ちきれない。



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