2章.アルスター地方の北アイルランドへ
アイルランド3日目
今日から、アイルランド共和国から島の北部のアルスター地方にあるイギリス領の北アイルランドに移動して二泊する。まずは北アイルランドに移動する前に朝食。
ダブリン市内のリフィー川の北にあるザ・ラヴィンスプーンに。店内には絵画が展示されていて購入することもできる。
朝食はアイリッシュブレックファスト。
去年のスコットランドでは朝食にスコティッシュブレッグファストを何度か食べた。
スコティッシュブレックファストとの違いはホワイトプディングがスコティッシュにはなく、アイリッシュにはあり、ハギスがスコティッシュにあり、アイリッシュにはない。
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ホワイトプディングはブラックプディングの血が入ってないバージョンで豚の内臓と豚肉、オートミールで作った白いソーセージだった。それにポテトケーキも。ポテトケーキは初日に食べたボクスティのプレーンなジャガイモのパンケーキ。
北アイルランドに向かう途中アイルランド共和国にあるタラの丘という場所を訪れてみた。
かつて、ここタラの丘は古代ケルト人の政治や宗教の中心地だったらしい。
アイルランドの伝説の王たちが存在していた聖地としてアイルランド人の心の故郷にもなっている場所。
墓地を通過して進むと広い丘の上に。アイルランドの国土の70%を見渡せるとも言われているタラの丘。
風と共に去りぬに登場するアイルランド移民のスカーレット・オハラが父親と語る「タラ」というジョージア州のどこかにあるという設定の架空の農園の地名は、このタラの丘からきているのだとか。
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丘の上にはケルト文化の象徴ともいわれているケルト十字が。
そしてタラの丘で一番高い場所には運命の石(右側)と呼ばれる石があり、王を決めるときにこの石を触り、石が震えたものが王になったという言い伝えがある。
更に北上して、北アイルランドに向かう。
北アイルランドの最大の都市であり首都でもあるベルファストに到着。
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到着して街を歩いてみて思うのはアイルランド共和国の首都ダブリンで歩いている人達よりファッショナブル。
ダブリンはファッションも素朴だったが北アイルランドはオシャレな人が多い。
昼から今回の旅で一番楽しみにしているロイヤルカウンティダウンをラウンドする予定だが、時間があるのでゴルフ場から30マイル北にあるベルファストにきてランチを食べることにした。
目的のお店は、当時、北アイルランドで唯一、ミシュランの星を獲得しているシェフのマイケル・ディーンが経営しているディーンズエイピックというレストラン。
エイピックは、ランチは金曜日しか営業しておらず、今日は月曜日なので、その隣で系列でランチ営業しているディーンズラブフィッシュで食べることにした。
ビールはディーンズが醸造しているDEANES 1993を。
二杯目はヤーズマンという北アイルランドのラガービールをいただいた。どちらのビールもすっきりしていて日本人好みのビールだった。
まず今日のスープのトマトのスープ。これがほどよい酸味で美味しい。
ムール貝、地元のサイダーで蒸していて、濃厚。フランスのモンサンミッシェルで食べたムール貝もシードルで蒸していて美味しかったのだが、ムール貝は白ワインよりシードルやサイダーなど林檎の発泡酒で蒸すほうが合うと思う。
デビルドクラブ&スイートコーン、ほぐした蟹身とコーンを和えたオープンサンド。
シトラス&ジョーボックスジン・キュアード・トラウト、これが素晴らしかった。
シトラスとJawbox ginという北アイルランドのジンで風味付けしたトラウトでとにかく爽やかだった。
次回、ベルファストに来ることがあれば隣のエイピックにも食べに来てみたいと思う。
ランチを終えて、これからロイヤルカウンティダウンに向かう。
オールドトムとコルトが造り上げた北アイルランドにある世界一のリンクス
アイルランドゴルフ旅の第2ラウンドは北アイルランドのニューカッスルにあるロイヤルカウンティダウンゴルフクラブ チャンピオンシップリンクス。
(※ロイヤルカウンティダウンにはもう1つ、アンズリーリンクスという距離が短いコースもある。)
1889年3月、ベルファストとニューカッスルを結ぶ鉄道の駅のそばに海沿いのリゾートコース(9ホール)として、カウンティダウンゴルフクラブの名前で開場。
同年の7月にトム・モリスが来場し、わずか4ポンドの報酬で追加の9ホールを設計し、18ホールに拡張。
1908年にはハリー・バードンが改造を行い、同じ年にエドワード7世がロイヤルの称号を授けて現在の名前に。
そして1926年にはハリー・コルトが改造し、この時に世界的に評価の高い4番、9番ホールも誕生した。(4番、9番はThe 500 World’s Greatest Golf Holesに選出されている。)
米国ゴルフマガジン社が発表しているTop 100 Course in the Worldに初回の1983年から最新の2023年までずっとランクインしている。最高位は3位(1983年)。
そして米国のゴルフダイジェスト社の最新のランキングでは1位にランキングされている。
私は、この時点で世界中の700コース以上ラウンドしてきているが、自分がNo.1だと思うコースはペブルビーチだったが、そのペブルビーチを抜かし、ロイヤルカウンティダウンは、私のNo.1のコースになった素晴らしいリンクスだった。
おそらくこの私の1位を奪うコースは、サイプレスポイントぐらいしかなさそうな気がしている。
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4番ホールは200ヤード以上ある距離のある打ち下ろしのパー3でThe 500 World’s Greatest Golf Holesに選ばれていて、The Most Scenic HolesとThe Most Penal Holesの18ホールの中の一つにも選ばれている。
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9番ホールの距離のあるパー4はThe 500 World’s Greatest Golf HolesのThe Eighteen(ベスト18ホール)に選ばれていて、The Single Best Holes by Number(世界中の全ての9番ホールの中でベストホール)、The Longest Holes(素晴らしいロングホール)、The Best Mountain Holes(素晴らしい山を感じることができるホール)、The Best Links Holesの18ホールの中の1つにも選ばれているホール。
9番ホールのティーイングエリアに立つとフェアウェイの先の正面に見える壮大なモーン山脈を借景にしたダイナミックなレイアウトに感動を覚えた。
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過去、私がラウンドした700コースの中で一番ダイナミックなコースで「地形を活かしたコース」とはこのコースの事を言うのだと思った。
しかし、写真で見るとそこまでダイナミックに見えない。
また、私は海が見えるコース、海が近くに感じることができるコースが大好きで、ロイヤルカウンティダウンも海は見えるし近いが、海岸線沿いはデューンで海が見えるわけでもなく、海越えがあるわけでもなく、過去にラウンドしたコースでもっと海を感じることができるコースは他にもたくさんあったが、それでもやはりロイヤルカウンティダウンは私の中でNo.1のコースなのだ。
その素晴らしさは写真では伝わらなくて、このコースを訪れてショットをして歩いて初めてその壮大さ、楽しさを理解できると思うので、ぜひ機会を作ってラウンドしてほしいなと思う。
ロイヤルカウンティダウンをラウンドを終えた後は夕食。
今夜、宿泊するホテルがオススメのグレートジョーンズというレストランで。
最初の一杯は北アイルランドの醸造所のモーンマウンテンブリュワリーのモーンミスト。フローラルな香りと苦みのバランスがいいピルスナーだった。
この日のメインはモーンラムというアルスター地方で育てられた羊のランプのステーキ。アイルランドでは羊の肉が良く食べられていて輸出量も世界4位で羊の生産が盛んである。
夕食を終えた後はロイヤルカウンティダウンGCのすぐ隣のホテルのスリーブドナルド・リゾート&スパにチェックイン。
時間は23時半。軽く一杯だけホテルのバー、チャンプリンズバーで飲んで寝ることにした。
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アイリッシュウイスキーのレッドブレスト12年。
アイリッシュウイスキーの特徴は三回蒸留で、このレッドブレストはその中でもシングルポットスチルという伝統的な製法で造られている。
シングルポットスチルとは、スコッチウイスキーや現在のアイリッシュウイスキーのモルトウイスキーがモルトのみを原料とするに対して、モルトと未発芽の大麦を原料として三回蒸留するウイスキーで、モルト100%ではないので糖化に時間がかかり、アイリッシュウイスキー独特のオイリーさが生まれる。
これぞ、真のアイリッシュウイスキー。
アイルランド4日目
北アイルランドのニューカッスルに宿泊した翌朝。
朝の散歩の後、朝食を宿泊したスリーブドナルド・リゾート&スパでいただいた。
アイルランドの地元の人たちは、アイリッシュブレックファストのことをアイリッシュフライ、もしくは単にフライと呼んでいる。
アルスター地方のフライはアルスターフライと呼ばれていて、アイリッシュブレックファスト(アイリッシュフライ)との違いはソーダファール(ジャガイモのパン)がついていてアイリッシュフライよりボリュームがあるようだ。
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今日は北アイルランドの北側のポートラッシュに移動する。
北アイルランドを北上してポートラッシュへの移動途中にブッシュミルズ蒸留所に到着。
ブッシュミルズは創業1608年で世界最古の蒸留所と言われている。
蒸留所でしか購入できないブルーのラベルのシェリー樽で12年寝かしたブッシュミルズを試飲して、お土産にボトルを1本購入した。
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ロイヤルポートラッシュに到着。まずはクラブハウスで昼食を。
左から二つ目にMagners(マグナーズ)と書いてあるアイリッシュサイダーがあった。
聞いてみるとアイルランド共和国で販売しているBulmers(バルマーズ)と一緒でイギリス領で販売する時には商標の問題でマグナーズの名前で販売しているのとのこと。
私がいただいたのはポートラッシュの地ビール、Sorley Boy’s Stashのゴールデンエールを。
去年のスコットランドでは食べまくったフィッシュアンドチップスをオーダー。アイルランドでももちろんよく食べられている。
ゴルフのティータイムまでまだ時間があるので近くのダンルース城という古城に来てみた。
この付近を治めていたマクドネル家の居城だった。ドラマチックなロケーションは映画のロケ地や、撮影で人気で「ナルニア国物語」ケア・パラベル城のモデルと言われている。
68年ぶりに北アイルランドで全英オープンが開催されたコース
アイルランドゴルフ旅の第3ラウンドは北アイルランドのポートラッシュにあるロイヤルポートラッシュゴルフクラブ・ダンルースコース。
1888年に9ホールでザ・カントリークラブという名前で開場。翌年に18ホールに拡張。1892年にヨーク公がパトロンになりザ・ロイヤルカントリークラブと名前を変更。1985年にエドワード7世がパトロンになり、ロイヤルポートラッシュゴルフクラブの現在の名前に。1909年に36ホールに拡張。
1929年にハリー・コルトが大改造を施し、ダンルースコース、バレーコースとほぼ現在のレイアウトに。
1946年に土地の問題でダンルースコースの1番ホールと18番ホールがなくなり、3番ホールが1番ホールに、2番ホールが18番になり、新たに現在の8番、9番ホールが追加された。
そして、1951年に全英オープンがイギリス本土以外で初めてロイヤルポートラッシュのダンルースコースで開催された。
その後も会場はスコットランドとイングランドのコースのみで、ウェールズでも北アイルランドでも全英オープンは開催されてなかったが、2019年に68年ぶりに再びロイヤルポートラッシュで開催された。
米国ゴルフマガジン社が発表しているTop 100 Course in the Worldに初回の1983年から最新の2023年までずっとランクインしている。最高位は12位(2007年など複数年)。
5番ホールはホワイトロックスと呼ばれている小さな小島に向かって打ち下ろす右ドッグレッグのパー4で気持ちの良いホールだった。
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14番ホールは距離のある202ヤードの打ち上げのタフなパー3でThe 500 World’s Greatest Golf HolesのThe One Hundredに、そしてThe Most Penal HolesとThe Best Links Holesの18ホールの中の1つに選ばれている。
向かい風の中、ドライバーを握ってグリーンに乗せれたのは良い思い出だ。
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ハリー・コルトの最高傑作の1つと言われており、その通り素晴らしいコースだった。
ロイヤルポートラッシュでのゴルフを終えてポートラッシュの町のホテルにチェックイン。
夕食はポートラッシュの港のそばのラモアーワインバーというレストランで。
ドリンクはカウンターでキャッシュオンでその場で支払ってテーブルに自分で持っていくスタイル。
ラモアーフィッシュパイ、バタードノースアトランティックコッド、シーフードテルミドールなどいただいた。
シーフードテルミドールは、モンクフィッシュ、スキャンピ、プラウン、コッド、サーモンにロブスターソースをかけてオーブンで焼いた料理だった。どれも料金が安くて美味しかった。
食事の後はハーバーバーに。
ブッシュミルズの見慣れないボトルがあったのでオーダー。その後も二軒ほどバーをハシゴ。ヘベレケで眠りについた。
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アイルランド5日目
北アイルランドのポートラッシュに宿泊した翌日。今日は再び国境を越え、アイルランド共和国に戻り、カウンティーラウスまで移動する。
その前に北アイルランド観光に。ブッシュミルズの村を通過。ザ・ダイヤモンドと呼ばれる村の中心の交差点にある戦争記念碑は第一次世界大戦の時に国に命をささげた兵士の像である。
最初の目的地は世界遺産に登録されている六角柱が並ぶジャイアンツコーズウェイ。
ジャイアンツコーズウェイはアイルランドの巨人フィン・マックールがスコットランドに住む巨人を迎え撃つために造った巨人の通り道という伝説がある。
六角形の形をした岩はマグマが冷えて固まるときにでき、柱状節理と呼ばれている。
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続いて訪れたのはキャリック・ア・リード吊り橋。ジャイアンツコーズウェイから東に10kmほど移動。
断崖に囲まれた岬とキャリック島という小島を結ぶ吊り橋を渡ってみた。