第九話「エメラルドの島、アイルランドゴルフ旅」

7章.ダブリンに帰還

アイルランド15日目

今回のアイルランドゴルフ旅でいろいろなお酒を楽しむことができた。

アイルランド滞在も明日の早朝まで。その滞在中に飲んでおきたいお酒があと3つある。

1つめは、昔は密造酒だったポチーンというお酒。

2つめは、キルケニーというエール

3つめは、世界最古のお酒と言われる蜂蜜酒のミード。世界中で飲まれているがアイルランドの習慣からハネムーンの由来にもなっているお酒。

この3つを何としても本日中に飲む、もしくは入手しておきたい。

テンプルバーにあるバー、その名も「テンプルバー」探してみる。

まずはポチーンから。

「ポチーンはありますか?」と聞いたらすんなりと出てきた。しかも、2種類のポチーンが出てきた。

ポチーンは昔、各家庭でこっそりと小さなポット(ポチーン)で蒸留して飲まれていた密造酒。

300年間もの間、法律で禁止されていたが1997年に一部の製造業者が許可を得て合法的に製造販売するようになった。

「どちらがいい?」と聞かれたのでせっかくなので両方を飲み比べることに。

ポチーンを飲んだら、どこかで飲んだ味だと思って記憶を辿ってみた。

アイルランドに来て5日目の夜、ウィックロー州のウッデンブリッジホテルのバーでアイルランド人と意気投合し、早朝3時半まで一緒に飲んだ時、そのアイルランド人におごってもらってたお酒の味と一緒だと思い出し、あれもポチーンだったと今、わかった。

ずっと探していたお酒を知らない間に飲んでいたというオチだった。ポチーンは黒糖焼酎の原酒に更にパンチを効かせたようなスピリッツで60度もあり飲みごたえがある。

ふとカウンターを見ているとこちらもアイルランド滞在中に飲んでおきたかったビールのキルケニーを発見。

ずっと探していたお酒がどちらもこのバーで見つけることができるとは、ラッキーだった。

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テンプルバー
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バックバー

キルケニーはスミティックスの醸造所が輸出用に製造しているビールらしいのでアイルランド国内で販売しているところは少ないようだ。グラスは飲みなれたスミティックスだが中身はキルケニー。

探していた3つのうち2つをクリア。

ここでもう一つ飲みたかった「ミードはあります?」と聞いてみるも置いてないとのこと。

もう少し、町を散策してミードを捜索することにした。


先ほどのテンプルバーにウイスキーショップがあるので入ってた。

店名もテンプルバー・ウイスキー&タバコショップという名前なので同じ経営のようだ。

いろんなウイスキーやポチーン、アイリッシュジン、アイリッシュウォッカなども販売されていた。

北アイルランドのベルファストのアイリッシュウイスキー、Dunville’s Old Irish Whiskey PX。12年以下のアイリッシュシングルモルトウイスキーの中ではベストだとこのお店が評価していて、試飲させていただいた。まろやかで美味しかった。

ミードがあるかどうか聞いてみたが、置いてないとのこと。しかし、アイリッシュウイスキーミュージアムというところが近くにあり、そこのショップなら置いてあるかもと教えてくれたのでそちらに行ってみることにする。


人類最古の酒と言われている蜂蜜酒のミード。

蜂蜜に水を加えるだけで発酵するので、ミードはアイルランドだけではく世界中で飲まれている。

そのミードを探して、トリニティカレッジの前にあるアイリッシュウイスキーミュージアムに。

中にはジェームス・フォックスというウイスキーショップに入ってみた。

品ぞろえは先ほどのテンプルバーウイスキーショップのほうが多いが、グレンダロウのポチーンだけでも3種類、販売していた。

そして、探していたミードをようやく発見。一本購入して、帰国後に自宅で飲んでみた。

ミードはアイルランドでは結婚して最初の満月の夜から一か月間、新郎に飲ませて子作りに励むという習慣がある。蜂蜜から造られているので精力をつけて、丈夫な子どもができるようにということなのだろうか。

蜜月な一か月、ハネムーン(Honeymoon)の語源はここからきている。

ミードをまずは冷やして飲んでみると、蜂蜜の香りがして甘いが飲みやすく食前酒としてよさそうだった。温めても美味しいということなので温めて飲んでみると、甘さが増した。つまみはいろいろ試したが塩昆布が一番あうと思う。

そろそろ昼からのラウンドのロイヤルダブリンの時間になるのでゴルフ場に向かうことにした。

ダブリン市内の川の砂が堆積してできた島に造られたリンクス

アイルランドゴルフ旅の最終ラウンドでもある第17ラウンドはアイルランド共和国のダブリン州にあるロイヤルダブリンゴルフクラブ

1885年にダブリンゴルフクラブの名前でダブリン市内に流れるリフィー川の北側にあるフェニックスパークのマガジンフォートという場所で開場。

そして1889年に現在の場所のブルアイランドに移り、ハリー・コルトの設計でオープン。

ロイヤルの称号は1891年に授与された。

このブルアイランドは、ダブリン港が干潮時に水深が浅くなり、船の行き来が難しくなることがあり、これを解決するべく、潮の流れを変えるために海岸から2マイルの位置に1823年にブルウォールと呼ばれているグレートノースウォールという壁を造ったことで誕生した島。

ブルウォールが造られたことにより、船が干潮時でも安全に航行できるようになったのだが、その副産物として、砂が堆積してブルアイランドができた。

その後、2006年にはマーティン・ハウツリーがコルトが設計した遺産を守りながら、現代ゴルフに対応した改造を行った。

ハウツリーが行った改造はグリーンをリフトアップ、6・7・8番ホールの完全な再設計などを行い、全体で400ヤード以上もコースが延長された。

海の砂が堆積してできた島ということもあり、地形はフラットなので、気楽にプレイすることができた。

私は旅の最後のラウンドは、その旅のラウンドを振り返りながら気持ちを落ち着かせてラウンドするのが好きだ。最後にプレッシャーのかかるシチュエーションが続くコースより、穏やかな気持ちでラウンドできるほうがいい。ロイヤルダブリンはまさに私の希望をかなえてくれる穏やかなコースだった。


アイルランドの全ラウンド終了。時間は20時前。

明日は帰国。朝の5時には空港に行く必要があるのでこれから町に出て食事をすると遅くなるのでロイヤルダブリンのクラブハウスで夕食を。

まずは今回の旅で、一番よく飲んだビールのアイリッシュエールのスミティックス。

そして二日目の夜にダブリン市内のレストランで食べて今回のアイルランド料理で一番気に入ったベーコン&キャベツを最後にもう一度いただいた。

あとは、ホテルに戻って寝るだけ。

終章.旅を終えて

アイルランド16日目

15泊のアイルランドの旅を終えて、フランクフルト経由で帰国する。

朝の5時前にダブリン空港に。この時間でも空港の免税店は営業中。

最初に目に入ったのはアイルランドの有名チョコレートブランドのバトラーズ。

バトラーズは創業1932年の老舗のチョコレートショップでダブリン市内の本店でホットチョコレートをいただきたかったのだが、何度も店の前を通るもお茶する時間がなく今回は断念。

アイルランドを再訪するときに必ず、立ち寄ってみたい。

そんなこともあり、次回のアイルランド訪問時に達成したいことを備忘録にしてみた。

1.バトラーズ本店のカフェでホットチョコレート

2.ニューグレンジの遺跡の中に入る

3.キンセールの港町でシーフード料理を食べる

4.バレンの巨人のテーブルを見にいく

5.コルカノン(ジャガイモとケールとバターとミルクをまぜたもの)を食べる

6.ダルス(わかめ)を食べる

7.ロイヤルカーラゴルフクラブ(1883年開場、アイルランド島最古のゴルフクラブ)をラウンド

8.ロイヤルベルファスト(1881年開場、北アイルランド最古のゴルフクラブ)をラウンド

とこうして列挙してみると、わざわざそのためだけに行く必要がある項目がなく、今回のアイルランドゴルフ旅は15泊で、ラウンドしたいゴルフコースは全てラウンドできたし、食べたかったもの、飲みたかったものは、ほとんど口にすることができたので充実した素晴しい旅だったのがわかる。

アイルランドは花が溢れ、人も優しく、初めてでもどことなく懐かしい気持ちになれるスコットランドとはまた違った素晴らしさがある国だった。

そして今回の旅で一番、印象に残ったことが2つある。

1つめは、自然や地形。去年訪れたグレートブリテン島のスコットランドと今回訪れたアイルランド島でのゴルフコースの印象が全く違ったことだ。

感じたことを言語化するまで完全に消化できていないので稚拙な表現になるがアイルランドの地形を単語で表現すると「ダイナミック、荒々しい、緑が濃い」という印象を受けた。一方、スコットランドは「緩やかな曲線、洗練された、淡い緑」という印象になる。1年の違いはあるが同じ夏の時期に訪れていて隣同士の島なのに明らかに印象が違った。もちろん全てのコースが当てはまるということではなく平均的にという意味ではあるが。

これは、どちらが優れているという話ではなく、どちらにも良さがあると思う。

2つめは、。スコットランド人は元を辿れば、アイルランドから移り住んだケルト人を示す「スコット族」であると言われているし、民族的にも共通するところが多いのだが、アイルランド人は「大らか、陽気」という印象でスコットランド人は「厳格、誠実」という印象でこれまた全く違う印象だった。これだけ見るとスコットランド人は優しくなさそうではあるが、そんなことはない。どちらも優しい人々ではある。

この違いはカトリックとプロテスタントという宗教の違いもあるかもしれないが、それだけではないと思う。アイルランド人が「大らか、陽気」なのは長い間、植民地政策で苦しめられている中、希望を捨てずに堪えてきたという強さの裏付けではないかと思う。

一方、スコットランド人の「厳格、誠実」は17世紀にスコットランドで始まったフリーメイソンの影響があるような気がしてならない。フリーメイソンがあったからゴルフクラブができたわけで、ここまでゴルフが世界中に広がるきっかけの1つがフリーメイソンだと思う。

そんなことを帰りの機内で考えているとイングランドとウェールズにも違いはあるはずなので、いつか訪れたいと思った。

この旅の詳細はこちら

ゴルフ旅の気まぐれ紀行

     
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