3章.最果ての地、キンタイア半島へ
スコットランド6日目
昨夜はアーバインのB&B、ブレイドミードハウスに宿泊
朝食はB&Bでスコティッシュブレックファスト。
2日めのスコティッシュブレックファストでなかったものは真ん中のベイクドビーンズと右下のポテトスコーン。
これからキンタイア半島に移動。
キンタイア半島への移動は車・飛行機・フェリーなどあり、時間はかかるが、ぜひ車をお勧めする。
キンタイア半島のキャンベルタウンに続くA83号線を走りながら、見える車窓からの壮大な風景は素晴らしく、半島の南端に到着したときに、最果ての地にやったきたという感動が味わえるので最高だ。
アーバインからキャンベルタウンに3時間40分で到着。
まずはウイスキーバーオブザイヤーを受賞したアードシールホテルの中のバーでランチ。
ここのバーは700種類以上のスコッチを揃えていて、バックバーにはキャンベルタウンのスコッチもたくさん並んでいた。
キャンベルタウンは最盛期の1800年代の中頃には30以上もの蒸留所があり、世界のウイスキーの首都とも呼ばれた時代があった。それが現在は2002年に復活したグレンガイルを含め、スプリングバンク、グレンスコシアの3つの蒸留所しか残っていない。
衰退した理由は、20世紀に入るとウイスキーはブレンデッドウイスキーが好まれるようになり、薫り高いハイランドモルト、個性の強いアイラモルトに人気が出て三回蒸留が売りの柔らかいキャンベルタウンモルトの需要が減ったことがきっかけで、アメリカの禁酒法により、アメリカ向けの粗悪な密造酒造りに走り衰退していったというのが理由のようだ。
スコッチをいただく前に、のどを潤すためにまずはファインエールズというキンタイア半島の付け根のクラカンという街で醸造されているエールでスタートした。
スモークハドックパンケーキと港で獲れたての魚を使ったフィッシュプレートをオーダー。
スコッチは、グレンスコシア・シングルカスク・ピーテッドカスク511とヘーゼルバーンのシェリーウッド9年をストレートでいただいた。
スモークハドックパンケーキは、キンタイア産のチェダーチーズが使用されていた。どちらの料理もおいしくいただけた。
お腹もいっぱいになったので、マクリハニッシュに移動してゴルフというところだが、せっかくキャンベルタウンにまでやってきたのでスプリングバンク蒸留所に行ってみた。
スプリングバンク蒸留所はかつてキャンベルタウンにあったロングロウ蒸留所とヘーゼルバーン蒸留所のウイスキーを復活させて同じ蒸留所で造っている。
ちなみにヘーゼルバーンは、マッサンこと竹鶴政孝がウイスキー造りを学んだ蒸留所だ。
ちょうど見学ツアーが始まるところだったので所要時間を聞くと1時間ほどかかるとのこと。この後にゴルフなので見学ツアーは諦めて外観だけ見学することに。
街中をいろいろと撮影をしていていた写真の中に、偶然にヘーゼルバーン蒸留所だった建物を撮影していた。
そして、見学ツアーの代わりに近くで試飲ができるケイデンヘッズ・ウイスキーショップという酒屋を教えてもらったのでそちらに行ってみた。
ケイデンヘッド社はアバディーンで1842年に創業したボトラーズの老舗で、同じく老舗のゴードン&マクファイル社(1895年創業)よりも古く、スコットランド最古の独立系のボトラーズである。
そんなケイデンヘッド社も1972年にスプリングバンクの傘下に入り、拠点をキャンベルタウンに移した。
店内には試飲用の樽が4つ並んでいた。
一番右の樽は、スプリングバンク蒸留所がかつてあったヘーゼルバーン蒸留所のスコッチを復活させたヘーゼルバーン。ヘーゼルバーンは三回蒸留のためにまろやかな味わいが特徴。
続いて右から二番目は同じくスプリングバンク蒸留所が復活させたロングロウ。2回半蒸留のスプリングバンクがモルトの香水と呼ばれるほど薫り高いのに対して、2回蒸留のロングロウはピートのみで麦芽を乾燥させていてスモーキーな味わい。
そして左にある2つの樽は2002年に復活したグレンガイル蒸留所が蒸留しているキルケラン。グレンガイル蒸留所の復活もスプリングバンクの親会社が絡んでいるので現在のキャンベルタウンモルトは全て同じグループの力で存続させている。
試飲していると、スコッチ好きがばれたのか、店員が奥の部屋にテイスティングルームがあるのでよかったらどうぞと特別に案内してくれた。店員さんが、テイスティングルームにある古いスコッチを説明してくれた。もちろん、テイスティングルームでもいろいろと試飲させていただいた。
そろそろマクリハニッシュのスタート時間、ほろ酔いで心地よくラウンドできそうだ。
美しいキンタイア半島の南端にある歴史あるリンクス
スコットランド第7ラウンドはキンタイア半島の南端にあるマクリハニッシュゴルフクラブ。
1876年開場。当時、セントアンドリュースで活躍していたトム・モリスを招聘して設計。
米国ゴルフマガジン社が発表しているTop 100 Course in the Worldに2007年から2019年まで、そして2023年にランクインした。最高位は88位(2017年)。
1番ホールはThe 500 World’s Greatest Golf Holesにも選出されていて、更にこの500ホールの中から18ホールだけ選ばれる3つの部門にも選ばれている名ホールなのだ。
まずはThe Single Best Holes by Number、書籍内で選出されている全1番ホールの中で最も素晴らしい1番ホールとして選出。(※ちなみに18番ホールはペブルビーチの18番ホールが選出されている。)
続いてThe Most Heroic Holes(最もヒロイックなホール。※ティーショット、もしくはセカンドショットを危険なルートで攻めて成功すると次のショットが有利になるホール)とThe Best Ocean Holesにも選出されている。
その1番ホールは、海とビーチ越えの左ドッグレッグのパー4。
ビーチには人が普通に横切って歩いていて、ティーイングエリアから左を見ると海の向こうにアイラ島が見えた。アイラモルトが大好きなのでいつかアイラ島にも行ってみたい。
1番ホールは、フェアウェイがビーチに沿ってダイアゴナル(対角線)に延びていて飛距離に自身があるゴルファーはできるだけ左に狙うことで成功すればセカンドショットが楽になるレイアウトで素晴らしいホールだった。
マクリハニッシュGCを一言で表現すると最果ての地にあるゴルファーの楽園。
簡単には来れないのがよいのだと思う。
マクリハニッシュでのラウンドを終えて、ゴルフ場のすぐ横にあるウガデールホテルにチェックイン。
チェックイン後、夕食の前にホテルのレストラン、キンタイアクラブのバーで軽く一杯。
スコットランドのラガー、Tennent’sを。
今回の旅で一番飲んだラガーで、スコットランドのラガーでは60%のシェアを持っている一番メジャーなラガーらしい。
「テネンツ」と発音するのかと思っていたが、その後の他のバーでもどちらかというとスコットランド人は「テネス」という発音で話していた。
ちょうど時間はサンセットの時間。夕日を眺めながらのゴルフ後の一杯は最高だった。
夕食はそのままキンタイアクラブで。
キンタイア産のホタテをパースニップというせり科の根菜のピューレとドランブイを使用したクリームで。そしてスコティッシュサーモンをシトラスバターで。
夕食の後は、ホテルの隣にあるオールドクラブハウスパブで一杯飲むことに。
オールドクラブハウスパブは、その名の通り、1876年の開場時に使われていた古いクラブハウスを改装してパブにして営業している。
一杯目は地元のスコッチを。キャンベルタウンロッホ、スプリングバンク蒸留所の限定のブレンデッドウイスキー。
二杯目は、見たことないジンがバックバーに並んでいるのでそちらをいただいてみた。ケイデンヘッド社のオールドラジェ、蒸留後にサフランを加えて風味と色付けをしているスパイシーなジンだった。
地元のゴルファーもいて、話をしてみるとマクリハニッシュのクラブチャンピオンもいて、ゴルフ談義で話が弾み、お酒をいっぱいご馳走になり、楽しい夜を過ごせた。
明日はマクリハニッシュにできた新しいコースマクリハニッシュデューンズをラウンドする。
スコットランド7日目
朝食はマクリハニッシュのウガデールホテルのレストランで
今日はスコットランドの伝統的な朝食のポリッジにしてみた。
ポリッジはオーツ麦のお粥でアメリカではオートミールと呼ばれている。
イングランドとスコットランドの仲がよくないので以前はイングランド人は「イングランドではオーツ麦は馬の飼料だが、スコットランドでは人が食べる物である」と言われていたことに対して、スコットランド人は「それ故に、イングランドでは馬が優秀で、スコットランドでは人が優れている」と言い返していたのだとか。
オーツ麦は、食物繊維やカルシウム、鉄分などを多く含むために最近では健康志向によりイングランドでもよく食べられるようになってきているらしい。
今日はマクリハッシュの新しいコース、マクリハニッシュデューンズをラウンドしてそのあと、アバディーンに移動する。
マクリハニッシュに新しく造られたリンクス
スコットランド第8ラウンドはマクリハニッシュデューンズ。
前日にラウンドしたマクリハニッシュゴルフクラブの北側に2009年に造られた新しいリンクス。
あのバンドンデューンズのデビッド・マクレイ・キッドが設計した。
マクリハニッシュデューンズはアップダウンが激しく、ラウンド後は通常の1.5ラウンドしたぐらいの心地よい疲労感が残る素晴らしいコースだった。
マクリハニッシュデューンズのラウンドを終えてキャンベルタウンの街に移動してランチ。
これから今夜の宿泊先のアバディーンに移動。260マイル、5時間半のドライブだ。
アバディーンに移動中、巨大な虹がかかっていた。ハワイでの虹は華やかだが、スコットランドでみる虹は幻想的だった。
途中、ダンディーの街に到着。ダンディーの街から東に行けばカーヌスティ、南に橋を渡ればセントアンドリュースである。
夕食をダンディーで食べることにした。
いつもならお店選びはじっくり決めるのだが、空が暗くなり、早めに食事を済ませないとアバディーンへの到着が遅くなるので、目に入ったカスピアンチャコールグリル(現在は閉店)というインド料理屋さんに決めた。
決めた理由は、イギリスはインド移民が多いのでインド料理にはハズレが少ないと言われているからだ。
ベジタブルパコラ、パーパド、オニオンチリソースに2種類のカレーが選べるセットミールをオーダー。
パーパドはパパドやらパパドムやらポッパドムやらいろいろな発音があるが、レンズマメやら米粉に塩とピーナツオイルを加えて薄く延ばして作られるクラッカーのような食べ物。
これにオニオンチリソースを乗せて食べると美味い。これだけでビールがどんどん進む。
そしてベジタブルパコラ、パコラはインドや南アジアで食べられている天ぷらのような食べ物でカレー粉などのスパイスが練り込まれていてこれもいける。美味しいので追加でタンドリーチキンもオーダー。
そして選んだカレーはマドラスチキンカレーとブナベジタブル。
どちらも辛く、そして美味い。
イギリスで食事に迷ったらインド料理というのは間違いなかった。
アバディーンに到着したときは日付が変わっていた。