フライトの遅延は、この一杯に出会うためだったのかもしれない――そう思えるブンカーに出会った。
KNゴルフリンクスでのラウンドを終え、カムラン空港に向かう。チェックインを済ませて一息ついたところで、出発便が3時間ディレイというアナウンス。時間だけがぽっかり空いてしまったので、空港近くの知らない町を開拓してみることにした。
地図を眺めていると、空港から10分ほど車で北上したところにCam Hải Tây / カムハイタイという辺りがよさそうなのでGrabで移動することにした。
車から降りて街を散策してこのPhuongというお店がよさげなので入店。

着いた店先には、ガラスケースに山のように積まれた魚の頭や骨、すり身のチャーカー(魚すり身揚げ)や、四角くカットされた練り物がぎっしりと並んでいる。いかにも「魚のスープが得意です」という雰囲気がある。
魚とクラゲの入ったブンカースアをオーダー。

これまでベトナム各地でブンカーを何度も食べてきたが、正直なところ「大好物」とまではいかなかった。どの店もおいしいのだが、どうしてもスープの奥にほんのりと魚臭さが残る。それが個性でもある一方で、わざわざ探してまで食べたいかと言われると微妙なところだった。
しかし、この店のブンカースアは違った。
丼の中には、白身魚のほぐし身や内臓などいろいろな部位がごろごろと入り、さらに透明なクラゲがたっぷり。
具材だけ見ればかなりワイルドなのだが、ひと口スープをすすってみると驚くほどクリアで、魚の臭みがまったくない。
出汁のうま味だけをきれいに抽出したような澄んだ味わいで驚いてしまった。

テーブルのライムを絞り、香草を少し足すと、海の香りとハーブの爽やかさが重なって、一気に完成度が上がる。
今まで食べてきたブンカーの印象を塗り替える一杯だった。

フライトの遅延は、この店のブンカースアと出会うためだったのだ。
そんな気分にさせてくれるほど、後味の良い一杯。
もし予定通りの出発時刻だったら、この店の存在を知ることはなかっただろう。
ニャチャンの雰囲気が気に入り、とても過ごしやすい街だと感じたのでまた再訪すると思う。その時はこの店とセットで訪れたい。
食後は道の反対側のカフェでチェーをデザートに。

チェータップカム。2万ドン。
昔なら100円、円が安くなった今でも120円で贅沢なデザートが食べられるニャチャンは最高だった。




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