肉料理のために生まれた、沖縄の新しい米の酒

02.グルメ・食べ歩き
02.グルメ・食べ歩き

かつて沖縄本島には、黎明という日本酒があった。

1952年創業の泰石酒造が、亜熱帯の沖縄でも美味しい清酒を造りたいという思いから1967年に日本酒造りを始め、翌年には沖縄県初の日本酒「黎明」を発売した。沖縄本島で日本酒を造るというのは、それだけ特別なことだったのだと思う。

その後、沖縄唯一の日本酒蔵だった泰石酒造は事業継承され、南島酒販と請福酒造に引き継がれたうえで、石垣島で日本酒造りが続けられることになった。つまり、沖縄本島からは日本酒造りの文化がなくなったということになる。

そんな中で立ち上がったのが、沖縄市・コザのNOMU醸造所である。

日本酒の製造免許を新たに取得するのはほぼ無理らしく、日本酒ではなく「その他の醸造酒」という免許でクラフト酒という形を取って挑戦している。沖縄県初のクラフト酒醸造所というのも面白いし、泡盛文化の強い沖縄で別の切り口から米の酒を表現しようとしているところにも惹かれた。

しかもこのプロジェクトには、私のお気に入りの那覇の日本酒タップバー、サケラボラトリーの我喜屋さんも関わっていると知り、以前から注目していた。クラウドファンディングでも一口だけだが支援させていただいた。

今回飲んだのは、そのNOMU醸造所が造るShishi Kamu(シシカム)

沖縄の方言で「シシ」は肉、「カム」は食べるという意味だそうで、その名の通り、肉料理に合わせるために設計された酒である。

公式の説明によると、肉料理には乳酸系の酸味がよく合うという考えから、乳酸にフォーカスして甘酸っぱいうす濁り酒に仕上げたという。肉と酒の旨味と甘味を共存させつつ、乳酸の酸味で後味をすっと切る。しかも低アルコールで、たくさん食べてたくさん飲んでも重くなりすぎない設計になっているらしい。

このコンセプトが実に面白い。

肉に合う酒というと、赤ワインやハイボール、あるいは泡盛のような強い酒を思い浮かべる人が多いと思うが、そこを甘酸っぱい濁り酒で攻めてくるのが新鮮だった。しかも沖縄県産の米を使い、沖縄の暑さに合う白麹由来の爽やかな酸味を持たせているという。沖縄でしか生まれにくい発想だと思う。

発売前の12月上旬ごろ、栄町市場のFab Martで試飲イベントが行われたので行ってみた。

まずはストレートで飲み、続いてラムコークにShishi Kamu(シシカム)を合わせた一杯も試した。

実際に飲んでみると、たしかに酸味が肉料理によく合う。単に甘酸っぱいだけではなく、肉の脂や旨味を受け止めながら、飲み口のあとを軽くしてくれる感じがある。

年が明けて1月には、クラウドファンディングの返礼品として一本届いたので、自宅でも改めて試してみた。

まずは肉を焼く。ももやカイノミのような、赤身の美味しさがしっかり感じられる部位を塩胡椒だけで焼いた。こういうシンプルな肉料理に合わせると、Shishi Kamu(シシカム)の個性がよく分かる。乳酸の酸味が肉の脂を流し、うす濁りらしい柔らかい甘みが肉の旨味とぶつからずに寄り添う。食中酒としてかなり優秀だと思った。

さらにピザとも合わせてみた。

これも良かった。肉料理のために生まれた酒ではあるのだが、チーズとの相性もかなりいい。乳酸由来の酸味があるからだろうか、チーズのコクや塩気とも自然につながる。

Shishi Kamu(シシカム)は、肉料理にも合うし、チーズにも合う。

沖縄で米の酒を造る文化を、今の時代に合った別の形でつなごうとしている点も含めて、とても興味深い一本だった。

     

I’m a golf-a-holic man. ゴルフバカです。

ゴルフのためなら世界中どこでも行きます。食事とお酒も大好きな食いしん坊ゴルファー。

2026年現在、世界25か国・地域で日本国内約600コース、海外は約300コースをラウンド。ゴルフの腕前は平均スコア90前後のエンジョイゴルファー。

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