オーガスタナショナルの設計に影響を与えた知られざる人物

01.ゴルフの話題
01.ゴルフの話題

今週は、世界中のゴルファーが一年で一番盛り上がるマスターズの週だ。

先日、ゴルフバカの気まぐれ紀行の第六話「ゴルフコース設計家同士の繋がりを感じた旅」を公開した。
その中でオーガスタナショナルゴルフクラブを造ったボビー・ジョーンズアリスター・マッケンジーに影響を与えた人物がいた話をまとめていたが、マスターズウイークということでその部分を再編集して紹介する。

この話は、私がアリスター・マッケンジー設計のカリフォルニア州サンタバーバラにあるプライベートクラブのバレークラブ・オブ・モンテシートを回りたいので予約を取ってくれないかとアメリカ在住の友人にお願いしたことから話が始まる。

友人から、「知り合いの伝手を辿って予約ができた」と連絡があり、渡米してクラブに到着。

本日、ブッキングしていることを伝えると、「ブッキングされてません」と言われて友人に調べてもらうと、すぐ近くのモンテシートカントリークラブと間違えて予約していたことが発覚。

バレークラブ・オブ・モンテシートをラウンドできないのは残念だが、次の機会に。ということで、モンテシートカントリークラブに移動してゴルフを楽しんだ。

そして、ラウンド後、コースについて調べてみたら、モンテシートCCを設計した人物とオーガスタナショナルGCとの知られざる事実が判明したのだ。

モンテシートCCは1922年に開場。

設計はマックス・ハウエル・ベーア。その後、ずいぶんと後にジャック・ニクラスが改造したようだ。(※そして2019年にも再び、約1億2000万ドルかけて二クラスが大規模な改造を行い、現在はモンテシートクラブという名前に変っている。)

ベーアはニューヨーク生まれでイェール大学ゴルフコースデザイン科の最初の卒業生。

スコットランド人の彼の祖父と父はニューヨーク州ヨンカースに1888年に設立したセントアンドリュースゴルフクラブ(全米ゴルフ協会を立ち上げた5つの老舗クラブの1つ)のファウンダーだったようで、生粋のゴルフ家系に生まれた。

ゴルフの腕前もスクラッチプレイヤーで、1914年から1918年にかけてゴルフ・イラストレイテッド・マガジン(1914年創刊)の初代編集長として活躍。

その後、妻の死をきっかけに34歳でカリフォルニアに引っ越して、ゴルフコースの設計の仕事を開始した。

彼が設計した主なコースを調べてみると

1922年 ハシエンダゴルフクラブ、オークモントカントリークラブ(ペンシルバニア州の同名コースとは別)
1924年レイクサイドゴルフクラブ(サンフランシスコにあったオリンピッククラブが買収したコースとは別)
1928年モンテベッロゴルフクラブ
1929年ランチョサンタフェゴルフクラブ 

などがあり、大恐慌により、ゴルフコースの設計の事業からは手を引き、ランチョサンタフェが最後の作品になった。


ランチョサンタフェゴルフクラブ
https://www.flickr.com/photos/mil8/, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons

このランチョサンタフェも最初はアリスター・マッケンジーに設計の依頼がいったのだが、マッケンジーはサイプレスポイントの設計で忙しかったので断り、自身の代わりにマックス・ベーアを推薦した。

ベーアは1926年にはオリンピッククラブレイクコースの改造のコンサルティングも行い、カリフォルニアで一目置かれた設計家だった。

ベーア(左)とマッケンジー(右)1924年セントアンドルースオールドコースにて
出典:Alister Mackenzie Society

そして驚くべきことは、ベーアの設計理論が、マッケンジーとジョーンズに影響を与えていたのだ。

モンテシートカントリークラブ2番ホール

ベーアは、ラフをコースに作ることを好まずに自然の地形とバンカーで、グリーンをガードすることを好んで設計していた。

オーガスタナショナルにラフがないのはベーアに影響されたのだと思う。

その理由の1つにボビー・ジョーンズが出演した1931年のショートフィルム「How I Play Golf」はベーアが設計したレイクサイドゴルフクラブで撮影が行われ、この時、ジョーンズはレイクサイドGCをとても気に入ったらしい。

Lakeside Golf Clubのホームページ

unattributed, Public domain, via Wikimedia Commons

そして、マッケンジーはレイクサイドGCについて次のように評価している。

「レイクサイドはモントレーのコースやオリンピッククラブのような自然の地形のアドバンテージはないが、他のインランドコースと比べても見事に設計されている。一言で言えば、レイクサイドは世界の偉大なゴルフコースの1つである」

マッケンジーとジョーンズはオーガスタナショナルGCのランダムな凹凸のある地形やコース幅の広さはセントアンドルース・オールドコースをイメージして設計したと言われているが、ベーアの設計理論にも影響されていたのだ。


空撮したオーガスタナショナルGC(1933年)
National Archives at College Park – Still Pictures, Public domain, via Wikimedia Commons

そして、偶然かもしれないが、レイクサイドGCもオーガスタナショナルGCも元々は果樹園だったというところにもロマンを感じる。

毎年、進化を続けているオーガスタナショナルGCで今年はどんな戦いが繰り広げられるのか今から楽しみだ。

     

I’m a golf-a-holic man. ゴルフバカです。

ゴルフのためなら世界中どこでも行きます。食事とお酒も大好きな食いしん坊ゴルファー。

2021年6月現在、日本国内約600コース、海外は約300コースをラウンドしているコースマニア。現在、世界中をゴルフ旅しています。ゴルフの腕前は平均スコア90前後のアベレージゴルファー。典型的なエンジョイゴルファーです。

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コメント

  1. この繋がり知りませんでした。
    ハシェンダ、レイクサイド、モンテベロはプレーしたことあります。
    ランチョサンタフェも機会があったらプレーしてみたいなー。

  2. 芝鳥 のぶあま より:

    あまり語られてない話だと思います。

    え!3つもラウンドしたんですか!
    レイクサイド、ラウンドしてみたいです。メンバー同伴必須ですか?

  3. レイクサイドは僕にはハードル高いです。
    友達がオークションでティータイムとってくれていきました。
    ついてくれたキャディさんが映画のフットルースに出演していた俳優さんでした。

    モンテベロは庶民的なパブリック運営だったのですが取り壊されて、トップゴルフが作られてます。ホテルが3つ建つそうです。

  4. Jim Youngsという元俳優さんです。putter popという技を教わりました。

  5. 芝鳥 のぶあま より:

    ということは、レイクサイドでのラウンドは貴重な体験ですね。

    ベーアのコースを3つもラウンドしている日本人はレアな存在かも。