ニャチャンで造っている酒はないか?
そう思って探していて見つけたのが、Kilo Distillery & Bar だった。
スイス人とベトナム人の夫婦が経営している小さなクラフト蒸留所兼バーで、「Swiss Quality made in Vietnam」を掲げ、トロピカルフルーツのスピリッツを造っている。
ベトナムで初めて、スイス式の製法に基づいたトロピカルフルーツの蒸留酒を造る蒸留所でパイナップル・パッションフルーツ・バナナといった地元の果物を発酵させてフルーツブランデーを造っていて、カインホア省のサトウキビから出た糖蜜を使用したラムも造っているらしい。
車から降りて細い路地を進むとKiloとデザインされた門があった。


私が訪れたのは週末だった。
Kilo-Bar の営業日は金曜〜月曜の18時からと公式に書かれているが、その日はちょうどヘビーメタル系のバンドがライブ中で、店内はロシア人客を中心にかなりの盛り上がり。ゆっくりテイスティングする雰囲気からは程遠く、完全に「ライブハウス」と化していた。


せっかく来たので、カウンターで バナナブランデー(Banana Brandy) をショットで一杯だけ注文。

たしかにバナナのニュアンスは感じるものの、アルコールの角がまだやや立っていて、全体としては“試行錯誤の途中”という印象だった。
「これは一本持ち帰りたい」と思うレベルには、まだ一歩届いていない。

ライブの音量もあって、落ち着いてグラスと向き合える状態ではなかったので、
その一杯を飲み干したところで早々に退散。
それでも、地元のパイナップルやパッションフルーツ、バナナを使い、スイス流の製法でオー・ド・ヴィーのようなフルーツブランデーをニャチャンで造ろうとしている、という試み自体は面白い。
今回は「可能性を感じるが、まだ伸びしろの方が大きい」一杯だったが、
数年後にもう一度訪れたときには、まったく別物の完成度になっているかもしれない。



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