「ネットのゴルフ場の口コミ」と「本当のゴルフ場の評価」の違いと「日本のコース評価のガラパゴス化」について(1)

01.ゴルフの話題
01.ゴルフの話題

『週刊SPA!』5/30・6/6号(5/23発売)の「低評価なのに良いもの一覧」特集の「低評価だけど実は良いゴルフ場」に協力させていただいた。

【特集概要】
あらゆるものに口コミが付く現代社会。
しかし、中には“実はいいもの”が隠れていることも。
そこで、本特集では玉石混合な低評価口コミから、
さまざまなジャンルの“いいもの”を探していきます。

という企画である。

口コミが悪い基準はGoogle Mapなど、多くの人が見るようなサイト上の評価で3.0以下

という基準で、「口コミを頼りにしていてはたどり着けないゴルフ場」を取材させてほしいという依頼で面白そうなので引き受けた。

取材は本日終えたところで、これから原稿がまとめられるので実際、取材していただいた内容がどのように週刊SPA!に掲載されるかどうかは今はわからないし、ボツになる可能性もあるとは思う。実際に掲載されることが決まったら、当ブログでお知らせしたいと思う。

取材を受けるにあたって、口コミサイトやゴルフコースの評価について考えているといろいろと前から思っていたことが改めて浮き出てきたので、良い機会なので記事にしてみた。

取材を引き受けた時点で問題になると思っていたのは次の2点だった。

1.ゴルフコースの評価基準の違い

ゴルフコースの評価について、
・純粋に、ゴルフコースのレイアウトそのものに目を向けるのか
・もしくは、ゴルフというサービス業として評価するのか
によって全く評価基準が変わる。

前者の場合は地形が全てではないが、全てと言っても過言ではないぐらい、その地形をいかに巧みに活用して各ホールをルーティングしているのかというポイントを重視して評価している。世界のゴルフコース評価の基準はこちらになる。

後者は、日本のゴルフ雑誌(チョイスは除く)が時々、特集記事にしているときには多くがこちらの基準で評価しているし、ネットの口コミもこちらになる。

当サイトのゴルフコースの評価はもちろん前者のゴルフコースのレイアウトそのものに目を向けた評価である。

また前者のゴルフコースのランキングにはアメリカの「ゴルフマガジン」「ゴルフダイジェスト」、日本の「チョイス」、中国の「TOP100ゴルフコース・イン・アジア」、ネットの「TOP100ゴルフコース」など世界中に様々なランキングがある。(※私は、チョイスとTOP100ゴルフコース・イン・アジアはパネリストをさせていただいている。)

そして、これらのゴルフコースの評価は戦略性・難易度・記憶に残るかどうか・美しくメンテナンスされているか・コース全体の雰囲気などそれぞれの媒体によって5~8つぐらいの項目があるのが一般的だ。

一方、後者のゴルフというサービス業として評価は、コースレイアウトやコースメンテナンスという前者の評価ポイントも含まれているが、むしろそれより、接客がよいか、コストパフォーマンス、食事が美味しいか、距離が長いか、フェアウェイが広いかなどという項目が重視されていたりする。

週刊SPA!の読者が求めているものは、おそらく後者のゴルフというサービス業としての評価をもとめているはずなので、当ブログのゴルフコースの評価と、SPA!の読者が求めているものとは違うものになるなと思っていた。

これは、当サイトのゴルフ場の評価のほうが正しいという意味ではない。

世の中の多くのゴルファーが望んでいるのはサービス業としてのゴルフ場の評価であるわけで、むしろ当サイトや世界中のゴルフコースランキングなどは、マニア・変態向けの評価であるというのは自覚している。

しかし、私は世の中の多くのゴルファーに「本当に素晴らしいゴルフコースってこんなコースだよ」と気づいてもらい、一人でも多く、こちら側(マニアの世界)に入ってもらえたらなという気持ちでこのブログを運営している。

2.日本のゴルフコース評価基準のガラパゴス化

もう1つの問題点として前者のゴルフコースのレイアウト自体の評価においても、日本の評価基準が世界の評価基準とは全く違うという点も問題だと感じていた。

この話は当サイトでは何度か記事にしたことがあるのだが、

海外で良いコースというのは、地形の起伏を巧みに活かした戦略性の高いレイアウトで各ホールの流れの構成がよく、コースが記憶に残るかどうか(メモラビリティ)という要素が重要視される。

一方、日本で良いコースというのは、距離があり、フラットで各ホールが木々でセパレートしている林間コースが素晴らしいコースだ。という考えがなぜか広がっている。

このようなコースの評価の価値観は日本以外ではあまり聞いたことがない。(一部、日本のゴルフの影響がある韓国・台湾・中国もそういう傾向があったが日本より早く世界基準に考え方が変わっているように思う)

つまり、日本のコースの評価基準がガラパゴス化しているのである。

「パー72ないコースは格下のコースだ。」とか「アップダウンが激しくてよいスコアがでないので楽しくない」とかいう声をよく聞く。

そういう声を気にしてバブル時に造られた日本のゴルフコースはパー72に無理やりするために450ヤードのパー5を造ったりしていた。(450ヤードでも2ショットか3ショットか考える必要があるレイアウトのパー5などはそれは意味があるとは思う)

海外のコースなら無理にパー72にせずに、その地形に合わせてパー69にしたり、数にこだわることはしていないのである。

またアップダウンのあるコースは良いスコアがでないから嫌いだという方は、本当のゴルフの楽しさを理解されていないなと思う。

良いスコアが出ればもちろん私も嬉しいし、良いスコアが出るに越したことはないが、私は「ゴルフの醍醐味は、神が想像した大地に、人間が少しのエッセンスを加えて造り上げた自然美の中で楽しみ、それを克服するもの」だと思っている。

だから、私はフラットなライからのナイスショットより、起伏のあるライからのまあまあなショットのほうが嬉しい。

1つ目の問題点でも話したように、こんな話はマニア・変態にしか理解してもらえない

最近は日本のゴルフメディアの編集者にもこの考えが理解してくれる人が増えてきたように思える。

そんなようやくヘビーなゴルファーの考え方が変わりつつある状態なのに、ライトなゴルファーが多いと思われる週刊SPA!の読者に、パー72にこだわらず、高低差や起伏のあるコースをお勧めしても、その良さを十分に伝えることができるページ数が割かれるとも思えない。

SPA!の記事を読者が読んで叩かれることを覚悟して、取材の受け入れることにした。

異論を持たれたSPA!読者のゴルファーが当ブログを見に来てくれて、納得していただけるかはわからないが、「なるほどな。そういう価値観もあるのだな」と知ってもらえるだけでも意味はあると思っている。

長くなったのでいったん、記事をここで切り上げて、次の後編で続きを話したいと思う。

次の後編はこちら
     

I’m a golf-a-holic man. ゴルフバカです。

ゴルフのためなら世界中どこでも行きます。食事とお酒も大好きな食いしん坊ゴルファー。

2021年6月現在、日本国内約600コース、海外は約300コースをラウンドしているコースマニア。現在、世界中をゴルフ旅しています。ゴルフの腕前は平均スコア90前後のアベレージゴルファー。典型的なエンジョイゴルファーです。

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コメント

  1. このお話には全面的に同意いたします。
    YouTubeで有名な三觜プロも、起伏が激しくて難しく人気がないけれども、値段も手頃で僕にとっては素晴らしいコースとかのお話をなさっていました。(動画にはないのですが)

    僕のお気に入りのコースもパー70です。

  2. 芝鳥 のぶあま より:

    やきそばパンさんも三觜さんも私も世界基準派、いや変態派ということですね(笑)

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