ゴルフにハマって8年。
そこから、日本国内だけでなく、タイ、ハワイ、台湾、アメリカ本土、韓国でゴルフをしてきた。
そして今年、1月にオーストラリア、2月にメキシコと訪れ、海外は大体170コースぐらいラウンドしただろうか。
様々な国でゴルフコース黄金期、モダンコース期、モダンクラシック期とそれぞれの時代のコースをラウンドすることで、ゴルフコースを目利きする力も備わってきた。
いつかはスコットランドに、と思っていたが、いよいよゴルフの原点、スコットランドゴルフ旅が始まる。
旅の行程は、スコットランドの首都エディンバラから始まり、イーストロージアン、エアシャー地方、キンタイア半島のキャンベルタウン、アバディーン、サザーランド地方、インバネス・スペイサイドエリアと移動し、そして最後に再びエアシャー地方でゴルフをしてグラスゴー空港から帰国という13泊の行程だった。
ラウンドしたゴルフ場は、マッセルバラリンクス、ガランNo.1、ルネサンスクラブ、ノースベリック、ウエスタンゲイルズ、ターンベリー・アイルサコース、マクリハニッシュ、マクリハニッシュデューンズ、トランプインターナショナル、ロイヤルアバディーン、クルーデンベイ、ブローラ、ロイヤルドーノッホ、マレイ、キャッスルスチュアート、ダンドナルド、ロイヤルトルーン、プレストウィックと18ラウンドしてきた。
(※この旅は2015年に訪れたスコットランドへのゴルフ旅を読みやすくまとめなおしました。スマホの場合は縦画面だとゴルフコースの写真のキャプションが画像に被ることがあるので、その場合は横画面にすると写真が見やすくなります。)
今回の旅で移動したルート
序章.いざ、スコットランドへ
まずは、羽田からロンドンのヒースロー空港に。
ヒースロー空港でスコットランドのエディンバラ行きの飛行機の乗り継ぎ待ち。
空港内のターミナル5のセキュリティーを通過したところにあるレストランで軽く一杯飲みながら過ごすことにした。
イギリス第一食目は、イギリスの国民食とも言われているフィッシュアンドチップス。
空港のレストランなのであまり期待はしてなかったが、脂でギトギト。
イギリスでは食に期待できないと言われているが、この旅の間で、おいしいフィッシュアンドチップスを見つけたいと思った。
そんなことを考えていると乗り継ぎの時間になり、スコットランドの首都、エディンバラへ。
1時間半ぐらいのフライトで到着。到着したのは21時半。まだまだ明るい。
タクシーに乗り、本日の宿に。今日から3連泊。
ホテル予約サイトのおススメで出てきたホテルがグレイウォールズホテルというホテルで、良さげだったのでここに決めた。
予約してから知ったのだが、あのミュアフィールドの横にあるホテルだった。3連泊するとミュアフィールドに空きがあればブッキングもできるホテルだった。
このホテルは古いが、食事が美味しく、サービスもフレンドリーで心地よく滞在できた。
私が予約したのは直前だったのでミュアフィールドの空きはなかったが、ミュアフィールドは来年以降、ラウンドしたいなと思っていたので、その時もこのホテルに泊まりたいと思う。
スコットランド初日は疲れもあり、シャワーを浴びたらすぐに眠りについた。
1章.エディンバラとイーストロージアン
スコットランド二日目
今日は午前中は17世紀初め頃からゴルフコースがあったリースリンクスの跡地巡りと、かつてギネスに現存する世界最古のゴルフコースとして認定されていたマッセルバラリンクスをラウンドして、午後からはガランゴルフクラブNo.1コースをラウンドする予定。
スコットランドに来て最初の朝食はホテルのレストランで。
グレイウォールズホテルのレストラン「シェ・ルー・レストラン」はフランスのブルゴーニュ生まれのアルベール・ルーが展開しているレストラン。
アルベール・ルーはイギリスで初のミシュラン三ツ星を獲得したル・ガブロシュをオープンした偉大なシェフ。
朝食メニューからフル・スコティッシュ・ブレックファストをオーダー
ベーコン、ソーセージ、トマト、マッシュルーム、ブラックプディング、ハギスに卵を二個。トマトは必ず焼いてでてくる。
そして、このフル・ブレックファストは地域によって呼び名が変わる。
イングランドではスコティッシュの部分がイングリッシュ、ウェールズならウェルシュ、アイルランドならアイリッシュと変わり、スコティッシュの特徴はハギスが入っていること。
上の黒いのがブラックプディング(豚の血のソーセージ)で下の茶色がハギス。
ハギスは、羊の内臓をミンチ状にしてオート麦、ハーブと一緒に羊の胃袋につめて蒸した食べ物。
同じイギリスでもイングランド人は食べないと言われている食べ物だそうだ。
ミュアフィールドのコースを眺めながら朝食をいただけるのは贅沢なひとときだった。
お腹がいっぱいになったのでエディンバラの歴史あるゴルフコースの跡地に見学に行くことにする。
17世紀初期に存在していたゴルフコース跡を訪問
ガランの町から西にエディンバラの町の方向に移動。
まずは1600年初期から存在していたリースリンクスの跡地を訪問。
リースリンクスは5ホール、2221ヤードのパブリックコース。1888年に都市開発のためにコースはなくなり、現在は公園に。
公園の東側にはかつてここにリースリンクスが存在していたということを示している石碑が設置されていた。
このリースリンクスでプレーしていたゴルファー達がラウンド後、近所のパブに集まり、1744年にジェントルメン・ゴルファーズ・オブ・リースというスコットランド最古のゴルフクラブを結成し、最初の13カ条のゴルフ規則を作成した。
その後、1768年にオナラブル・カンパニー・オブ・エディンバラ・ゴルファーズと名前を変更。
1836年にはホームコースをマッセルバラリンクスに移した。
しかし、マッセルバラリンクスの混雑に伴い、1891年に自分達専用のコースを持つことになった。
そのコースがミュアフィールドである。
ちなみにセントアンドリュースをホームコースにしているロイヤル&エインシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース(R&A)の前身のソサエティ・オブ・セントアンドリュース・ゴルファーズが結成されたのは1754年とリースのクラブより10年後である。
そしてジェントルメン・ゴルファーズ・オブ・リースをスコットランド最古といったのにはわけがあり、世界最古のゴルフクラブは別にあるのだ。
スコットランド国王のジェームス6世(イングランドではジェームス1世)が1603年にイングランドの王位を継承するためにロンドンにやってきたときに、当時リースリンクスでゴルフをしていた人達が一緒に移住して設立したブラックヒースゴルフクラブ(1608年設立)が世界最古と言われている。(※諸説あり)
つまりリースリンクスでは1600年初期以前からゴルファーがゴルフを楽しんでいたのである。
1744年の時点でのリースリンクスが存在していた時の5ホールのコースレイアウトも石碑に記されていた。
リースリンクスは以前は世界最古のゴルフコース跡とも言われていたが、現在はセントアンドリュースが世界最古のゴルフコースであるとギネスに認定されている。
これはリースリンクスでゴルフをしていたと確認できる文献で一番古いのが1619年で、一方のセントアンドリュースは、1552年にはゴルフをしていたと文献で確認できるのが理由である。
しかし、厳密に言うとリースリンクスもそうだし、その他のこの時期に存在していたコースの本当の開場年はどのコースも文献に残っていないのでわからないのが実際のところだ。
スコットランドゴルフ旅は世界最古の1つのゴルフコース跡の散歩からのスタートだった。
この後は、現存する世界最古のゴルフコースだとかつて言われていたコースをラウンドしに行くことにする。
そのコースは先ほど説明したリースリンクスからオナラブル・カンパニー・オブ・エディンバラ・ゴルファーズがホームコースを移したマッセルバラリンクスである。
かつて現存する世界最古のゴルフコースと言われていたコース
スコットランドの最初のラウンドは、かつて現存する世界最古のゴルフコースと言われていたマッセルバラリンクスに。
1567年にはこの地でメアリー女王がゴルフをした言い伝えがあるが、1672年3月2日にマッセルバラでゴルフをしたというドキュメントが残っているのでそれを持って世界最古のゴルフコースと認定しているとギネスの認定証に書かれていた。
このギネスの認定は2009年に認定されたのだが、その後、ギネスはセントアンドリュースを世界最古のゴルフコースとして認定しなおした。
これは1552年に出された「ハミルトン大司教の憲章」に、セントアンドリュースのリンクスでウサギを繁殖させるウサギ小屋の設置を許可する内容が書かれていたのだが、それにあわせて「ゴルフ、フットボール、射撃、その他あらゆる娯楽」も引き続き、使用許可を出したことが書かれていたことを確認できたのが理由である。
マッセルバラは最初は7ホールで開場し、1832年に8ホールに、更に1870年に現在の9ホール(2954ヤード、パー34)に拡張。
このゴルフ場が面白いのは競馬場のトラックの中にコースがあるのだ。最初にゴルフコースがあり、その後、それを囲むように1816年に競馬場が建設された。
1874年から1889年の間に6回も全英オープンの会場になったコースでもある。
かつて全英オープンは1891年までセントアンドリュース、プレストウィック、マッセルバラの3コースのみで開催されていた。
最初は一人でラウンドするつもりだったが、1つ前の組の地元の年配のゴルファー二人組が一緒にラウンドしようとお誘いがあったのでジョイントした。
1番ホールはいきなり競馬場のトラック越えの240ヤードもあるパー3だった。
同伴プレイヤーはそんなにゴルフは上手ではないのだが、垂直なソッドウォールバンカーからのバンカーショットは簡単に脱出していたのが印象的だった。
スコットランドの初ラウンドが、17世紀から存在していた歴史あるゴルフコースからのスタート。
素晴しい旅のプロローグだった。
マッセルバラでのゴルフを終えて、宿泊しているガランの街に戻ってきた。
ランチをガランの街のオールドクラブハウスというレストランで食べることにした。
この建物はその名の通り、ランチの後、ラウンドするガランゴルフクラブの1889年に建てられた古いクラブハウスだった。
まずは、イギリスで一番ポピュラーなラガーのカーリングで喉を潤した。
スコットランドの漁師のスープ、カレンスキンク(スモーク鱈のスープ)は、スモークされた鱈の風味がスープに溶け込んで美味しかった。
そして、モンクフィッシュ(鮟鱇)のフィッシュアンドチップスもいただいた。
右にあるモルトビネガーをたっぷりかけていただくのがイギリス流の食べ方。
ガランの丘の上に広がるコース
スコットランドゴルフ旅の第2ラウンドはガランゴルフクラブNo.1コース。
ガランゴルフクラブの設立は1882年だが、ここガランのリンクスでは350年以上も前からゴルファーがプレイをしてきた歴史がある。
ガランゴルフクラブより設立が古いディレントンキャッスルゴルフクラブ(1854年)もこのガランのリンクスをホームコースにしている。
このように昔から、ガランのリンクスではゴルフがプレイされていたが、コースのレイアウトが記録に残っているのは1840年の7ホールのレイアウトが最初の記録のようだ。
その後、1878年には15ホールにメンバー達が拡張。そして1884年には全英オープンを4度優勝したウィリー・パークが18ホールに拡張。
1898年にはガランNo.2、1910年にはガランNo.3をその息子のウィリー・パークJr.が設計し、No.1のコースの改造も担当した。(ウィリーパークJr.も全英オープンを2度制している)
3番ホールはThe 500 World’s Greatest Golf Holesに選ばれている。
ちょうどラウンドした前週にNo.1とNo.2のコンポジットで2015年のスコティッシュオープンが開催されていたばかりでその観客スタンドなどの撤去作業中の中でのラウンド。
広大なガランの丘を贅沢に使用し、のんびりとした空気が流れるリンクスだった。
今夜はガランのコースのすぐそばにあるザ・メインコースというイタリアンで。
前菜は、モッツァレラ・ディ・バッファロー(モッツァレラチーズと自家製トマトジャムとバルサミコソース)
オリジナルカクテルのザ・ゴルファー(ウォッカ、シャルトリューズヴェール・ペルノ、レモンジュース、アンゴチュラビターズ)がさっぱりして美味しい。
メインはハギス・ラビオリ。ハギスをパスタで挟んでウイスキーとクリームソースで味付けしたスコットランド風イタリアンで。意外な組み合わせだが美味しかった。
そして、デザート代わりに店名を名付けたカクテルのメインコース(ヘンドリックジンに秘密のお酒にキュウリをたっぷり)でしめた。
スコットランド3日目
今日の朝食も昨日と同じくシェ・ルー・レストランで。
昨日はフル・スコティッシュ・ブレックファストだったので今日は別のものに。
イギリスの朝食の定番メニューのひとつのキッパーをオーダー。
鰊の燻製で、レモンバターで味付けしていた。
燻製の燻された香りにレモンがあい、朝だがスコッチが欲しくなってしまった。
今日も2ラウンド。
午前中はルネサンスクラブ。
午後からは今回の旅で最も楽しみにしているコースの1つのノースベリックをラウンドする。
ヨーロッパ初のトム・ドーク設計のコース
スコットランドゴルフ旅の第3ラウンドはルネサンスクラブ。
開場は2007年。設計はトム・ドーク。ドークが初めて、ヨーロッパで設計したコースだ。
ドークのコースは、アメリカ・オレゴン州でパシフィックデューンズとオールドマクドナルド、オーストラリア・タスマニア島でバーンボーグルデューンズとラウンドしてきて、どのコースも素晴らしかったので楽しみだった。
ラウンドした感想は、パシフィックデューンズやバーンボーグルデューンズに比べると大人しい印象を受けた。土地の持っているポテンシャルの差なのだと思う。
世界で最もコピーされたホール、レダン
スコットランドゴルフ旅の第4ラウンドはノースベリックゴルフクラブ。
地元の人達はウエストリンクスという愛称で呼んでいる。
これはノースベリックの街に東側にグレンゴルフクラブというリンクスがあり、こちらをイーストリンクスと呼ぶに対して、ノースベリックが西側にあるからのようだ。
ノースベリックゴルフクラブは1832年に設立。
各ホールにはホール名がつけられている。
15番のパー3のレダンは世界中のコースでコピーされている名ホールと言われていて、今までもコピーされたレダンホールはいくつかのコースで経験してきたが、そのオリジナルを体験できるということで、ラウンド前から楽しみにしていた。
米国ゴルフマガジン社が発表しているTop 100 Course in the Worldに2007~2023年と現在もランクインしていて評価は年々上がり、2023年は30位になっている。
そして7番、9番、15番ホールは、The 500 World’s Greatest Golf Holesにも選出されている。
更に15番のレダンはこの500ホールの中から18ホールだけ選ばれるThe Best Links HolesとThe Best Green Sites in The World(もっとも優れたグリーン周りのホール)に、7番ホールはThe Best Short Par4sも選出されている。
実際、ラウンドした感想は、素晴らしいコースで感動の連続だった。
海岸線を活用したホール、ブラインドでその先がどうなっているのか想像力を掻き立てられるホールなどワクワクするホールが続くが、一番驚いたのはコース内に石垣があり、その石垣も上手にレイアウトに組み込まれていたことだ。石垣の方がコースを造るより前にあり、それを取り壊すことなく活用しているのが面白かった。
一番楽しみにしていたレダンホールは、ティーイングエリアに立って「えっ!?」と思わず声をあげた。
ティーからグリーンの左サイドは見えるが、正面の丘でグリーン全体が見えないのだ。
今までいくつかのレダンホールをラウンドしてきたが、想像していた景色とは全く違ったので驚いたのだ。
ティーショットを打ってグリーンに向かって歩いていくとグリーンが見えてきた。
感動と驚きの連続のラウンドで、今まで私がラウンドしたコースの中で一番好きなコースはペブルビーチゴルフリンクスだったのだが、それに匹敵するぐらいの感動を覚えた。
ペブルビーチとノースベリック。
ペブルビーチは感動がダイナミックに伝わる緩急があるコース。
ノースベリックは感動がずっとジワジワと続き、全ホールがワクワクするコース。
感動の波が違うので比較できず私の中では両方No.1のコースになった。
わかりやすく一言で感動の波を説明すると、動がペブルビーチで静がノースベリックだと思う。
ガランの街でルネッサンスクラブ、ノースベリックと2ラウンドした後、夕食は宿泊先のグレイウォールズホテルのレストラン「シェ・ルー・レストラン」でいただくことにした。
すでに二日連続、朝食をいただいていて、その時にも紹介したが、フランス、ブルゴーニュ生まれのアルベール・ルーが展開しているレストランでアルベール・ルーはイギリスで初のミシュラン三ツ星を獲得したル・ガブロシュをオープンした偉大なシェフ。
まずはハギス。ハギスが苦手な方でも食べることができそうな上品な味付け。そもそも見た目がハギスだとわからない。
その後は、クリームスープに、卵をたっぷり練りこんだタリアテッレとデザートはピーチとクリームブリュレ。どれも素晴らしい料理だった。