板橋海鮮広場で貝を食べたあと、海口の老街へ向かった。
この旅の最後に、どうしても飲んでおきたかったお酒があった。
それが、海南島の地酒、山蘭酒(Shān Lán Jiǔ)である。


この一週間、海口市内の酒屋を5〜6軒巡ったが、どこにも山蘭酒は置いていなかった。
昔はレストランでも提供されていたが、今では地元の人もあまり飲まなくなり、山蘭酒専門の酒屋か一部のお土産屋か地方で個人的に消費してるぐらいしか出回っていないらしい。
それでも諦めきれず、今回の旅で三度目となる海口骑楼老街へ。
古いアーケード建築が並ぶ通りが夜には、建物がライトアップされ、柔らかな黄色の光や色鮮やかなランタンの光が街を照らしている。
この街は、夜に歩くのがいちばん美しい。


山蘭酒を探して歩いていると、拾光里という店の前に掲げられたメニューが目に留まった。
そこには、芒果腸粉(マンゴー腸粉)の文字。この旅で、もうひとつ食べておきたかったものだった。


米粉のクレープのような生地に、熟したマンゴーが包まれている。
腸粉(チョンフェン/Cheung Fun)は本来、広東・潮州地方の伝統的な米粉クレープの点心で、中身は海老・牛肉・チャーシューなどの塩味系が基本である。
しかし2010年代以降、特に広州・深圳・香港・海南・福建南部などの南方エリアで、フルーツや練乳・マンゴーソースを使った“甜品腸粉(スイーツ腸粉)”というカテゴリーが生まれた。
海南島は南国フルーツが豊富なため、「芒果腸粉」が特に人気で、街角の甜品店や夜市では必ず見かける存在。
海南版の芒果腸粉は、広東の「米クレープ+練乳」よりも軽やかで、ココナッツの香りをまとった米粉の皮にマンゴーを包み、仕上げにマンゴーソースをかける。
南国らしい、やさしい甘さが口に広がった。


マンゴーの余韻を味わいながら、もう少しだけ山蘭酒を探してみることにした。



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